中村又五郎、歌昇襲名披露


お二人の襲名披露はもちろんですが、
6月の公演で、若手の役者さん方が良かったので、ぜひ観劇したいと思い、出かけました。
2週間前の観劇です。


演目は、双蝶々曲輪日記の「角力場」と、「傾城反魂香」の義太夫狂言が2題並びました。




「角力場」

吉右衛門さんの濡髪長五郎に、歌昇さんの放駒長吉が挑みました。

長五郎は、大きくて余裕があって、床几に座っているだけで、存在感があります。
長吉は、長五郎との取組に勝ったけれど、理由があって、勝ちを譲られただけでした。そうとは知らずに嬉しそうにしていたり、偉そうな歩き方を教わったり、まだ初々しい感じです。

長五郎から、実は、と聞かされて、悔しがりますが、やはり長五郎にはかないません。
いくら長吉が怒ったところで、本気で当たったらビクともしないでしょう。
実際の人気力士と素人力士の関係は、こんな感じなのだろうな。
若い長吉の悔しさが、よく伝わってきました。
まさに、歌昇さん、体当たりの好演でした。

つっころばしの若旦那、与五郎は種之助さん。勇ましいお役の印象がありましたが、なよなよのお役もなかなかです。真面目に演じていらっしゃるようでいて、ちゃんと可笑しさも表現されています。
21歳の種之助さん、これからも楽しみです。

遊女吾妻の米吉さん。
吾妻と与五郎が一緒の場面はなく、出は少なかったですが、誰が吾妻を身請けをすることができるのかが、この場のきっかけとなっています。綺麗で品のある吾妻でした。




「傾城反魂香」

又五郎さんの浮世又平と、芝雀さんの女房おとく。
又五郎さんは平成十年以来、二度目の又平だそうです。


又平は、言葉がうまく出ないので、師匠の土佐将監光信に認められません。一所懸命な気持ちが空回りして、ちょっとさえない感じです。
そんな又平を一所懸命に支えているおとくはおしゃべりですが、また、空回り気味です。

同じ将監の弟子の修理之助は、絵の才能を認められ、印可の筆と新たな名、光澄を与えられました。

修理之助は隼人さん。気負っているようではなく、平常心で振る舞っている感じに好感が持てました。お行儀の良いお弟子さんでした。


又平は、修理之助に先を越されてしまい、将監に懇願しますが、やはり認められません。

歌六さんの将監。感情で認めないのではなく、師としてのけじめのようなものなのだと思いました。


又平は真面目なのです。言葉が不自由でありますが、生き方が不器用なのでしょうか。
嘆き悲しみ、絶望した又平は、死まで決意しますが、最後に手水鉢に自画像を描くことしました。真剣に、死を覚悟した魂を込めて描いています。その自画像は、厚い石板を突き抜け、遂に将監に認められました。

将監は、又平に、土佐光起の名と紋付袴、印可の巻物と筆も与えました。

舞を軽やかに舞い、節に合わせて謡う又平は、とても嬉しそうで、はしゃいでいるかのようでした。

おとくと手をとりあっての、幕外の引っ込みは、微笑ましいです。二人で頑張った甲斐がありました。又平はこれから力を発揮していくのでしょう。

又五郎さんの又平、真面目で一途なところが良かったです。


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