直吉  亀三郎さん
おえん  梅枝さん
助蔵  松也さん

おえんは、やくざの直吉は夫婦だったけれど、
弟分の助蔵と駆け落ちをして三年。
直吉に追われるのを怖れながらの暮らしですが、
見延山に参拝に行った帰り、峠で猛吹雪に遭い、
山小屋に避難しました。

おえんの梅枝さんは、助蔵と共に難を逃れようと
たくましい感じ。
夫を捨てて若い?別の男に走ってしまう、
これも色気というのでしょうか。

助蔵の松也さんは、若い色男、
頼りなさそうに見えるので、放っておけないような。
身体も気も弱そうで、
陽の光を見ると直吉に見えてしまうから、
避けていると言います。

おえんが助蔵を介抱していると、
直吉が山小屋に入って来ました。
偶然なのか。
おえんを探していたわけでもなさそうです。

ここからが、この作品の眼目です。

直吉に見つかった二人は、
自分が悪かったから、自分を殺してくれと、
お互いをかばい合います。

やくざの直吉ですが、二人を見つけても、
突いたり殺したりするとは言ってねえ。
それより(囲炉裏の)火が消えたら事だ。
と、度量の大きさを感じさせます。
良い人過ぎて怖いかも。
亀三郎さん、兄ぃ、カッコいいです。

女の幸せのために諦めた。

ところが、おえんが助蔵に口移しに薬を飲ませるのを見たら、
二人に、出て行ってくれと、態度が変わってしまいました。
さっきのは負け惜しみ、てめえの心が今わかった。
女がかわいいから未練がある。腹いせだ!

自分の女房を寝取られたのだから、本心はその通り。
とっても素直な直吉さんです。
凄む声がよく響いて、亀三郎さんの持ち味、イイです。

それから、
二人とも、外に出るには及ばねえ、
と、さっと刀を抜きました。
刀を抜いた姿、キマっています。

二人の態度が一変しました。助けてくれー
つい乗せられた私がバカだった。
死に損ないの面倒をみるのはイヤ、
本当は露ほどおまえのことは忘れたことはなかった。
と、命乞いをするおえん。

有り金全部渡すから、女を殺してくれ、という助蔵。

これでは笑うしかない直吉。
刀を納めました。

色より恋より情けより、命を大事に生き延びろ。
と言って、直吉は猛吹雪の中を出て行きました。

兄ぃ、どこへ行くんですかい?どうかご無事で~(私の心の声)

いくらおえんに惚れていても、
こんな本性を見せられたら冷めてしまいますね。

残された二人、今までのように仲睦まじくとはいくはずもなく。
直吉の復讐ですね。
直吉は嘲るように笑いながら、スッポンへ消えていきました。

人が窮地に立たされたときに露わになる心の奥底。

実際に遭遇したら、、、
人間は恐いですねぇ。哀れでもあります。


宇野信夫作品でした。