二幕目は、阿古屋が登場します。芝雀さん。
阿古屋は、景清の妻。琴を弾いています。
子、人丸(福太郎くん)がいて、禿として側にいます。
赤っ面の岩永左衛門は市蔵さん。
阿古屋を景清の牢へ連れて行こうとします。
阿古屋には先客がいました。
秩父庄司秀忠、獅童さん。
着流しに紫の帽子を付けての登場です。
景清のもとへ行くよう、説得していました。
岩永には、6人の竹田奴が付いていて、ぴょんぴょん跳ねています。
阿古屋を花魁道中で、景清の牢へ連れて行くことになりました。
阿古屋の衣装は、豪華で、芝雀さんは貫禄ある傾城でした。
市蔵さんの岩永が、金棒引きをして先導するのは、
初春歌舞伎らしい贅沢な感じです。
景清のいる大牢の前に、阿古屋と人丸が呼ばれてきました。
阿古屋は、自分が言っても景清は簡単に口を開くまい、とか、
岩永に悪態をついたり。「フグやオコゼに瓜二つ。」
「慮外ながら阿古屋でござんす。拷問なんかは怖くない。」
歌舞伎らしく、見応えがありました。
ベテランの役者さんが、しっかり固めていました。
そこへ重忠がやってきました。
今度は捌き役のお姿です。
獅童さんは、このような硬いお役が
素敵にお似合いと思いました。
牢の前に重忠一人になると、
簡単に口を聞かぬこと、感服つかまつった。
男と男の達引を。ということで、
景清は自ら牢に入った理由を明かしました。
景清一人をに手を焼いている、
源氏の力の無さを知らしめるため。
二人の問答の中で、景清は、
「民百姓を守護し、天下泰平の世を作りたい」。
平家も頼朝も目指すところは、同じでありました。
両者は和解して、
重忠は牢の鎖を切って、花道へ立ち去って行きました。
ここから、津軽三味線の上妻宏光さんが演奏を始めます。
太棹だけど、竹本のベンベンとした重い音とは少し違って、
繊細なバチさばきは、長唄の三味線のようで、
両方が足されたような、歌舞伎の音楽として新しい感覚でした。
牢の中で、景清が力紙を付け、仁王襷を着けています。
景清の頑なだった心情の変化を、
津軽三味線が豪快かつ繊細に表現していて、
耳でも目でも、大変楽しめました。
景清が最強の姿となって牢破りをすると、
軍兵との立廻りとなります。
津軽三味線と細棹三味線の合奏が、
独特のミュージックを奏で、彩を添えて、
リズミカルな立廻りになりました。
牢の黒い幕が落とされると、
巨大な海老が現れました。
大きな鏡餅の上で、景清が大きな見得を切りました。
海老蔵さんの真骨頂を見た思いがしました。
睨みは無かったようでしたが、
これぞ荒事!市川團十郎家!
大詰は解脱。
暗転して、花道から景清が静かに登場し、
本舞台で、鐘の中に入りました。
この場面は、鼓、笛、謡と、能がかりと、
上妻さんの独奏です。
切なく哀しい感じですが、悟りへと導くような音楽でした。
鐘から出てきた景清は、髪を落とし、隈取りも無くなっていました。
芝雀さん、獅童さん、萬太郎さん、廣松さん、新悟さん、
福太郎くんが天人の姿になって、一緒に舞い、
穏やかにあの世へ旅立って行きました。
若手の役者さんも
姿が美しくキマっていました。
歌舞伎十八番、特に海老蔵さんの荒事を満喫しました。
上妻さんの津軽三味線の演奏が入っていたのは、
効果的で良かったです。
古典物では難しいでしょうけれど、
復活物や新作で、このような試みは面白そうです。