ここまで時代物でしたが、
続いての四幕目は、世話物となります。

鳥井又助切腹の場

又助(松緑さん)は餌屋(魚の釣り餌を売る)をしています。
御家乗っ取りを企む望月弾正一味により、
多賀家の重宝、金鶏の香炉紛失の罪をきせられた
主人、花房求女(松也さん)を匿っています。
求女は病鉢巻。歩くことができません。
移動するときは座ったままです。

又助には、妹おつゆ(梅枝さん)と
盲目の弟 志賀市(玉太郎くん)がいます。
梅枝さんのおつゆは幸薄そうな健気な美しい娘さん。
おつゆは求女の世話をしていますが、
求女の病の治療には、百両もする高価な高麗人参が必要と
医者に見立てられたので、身を売る決意をしました。
それを聞いた又助は「よく言ってくれた!」と
妹が苦界へ行くことを許します。
主人のためとはいえ、妹の苦界行きの決心を褒めるなんて、、、

おつゆと求女は相思相愛の仲ですが、
病が良くなったら身請けするからと
求女も認めちゃって、酒を飲み交わして祝言して、
おつゆは出ていきました。
お金のために、つらい決断です。

志賀市は、小さいながらも按摩をして家計を助けていますが、
近所の子にいじめられてかわいそう。
又助はそんな弟を思いやる心優しい兄さんです。
志賀市はお琴の稽古に通っていて、
お師匠さんの家に出かけて行きました。

家老の安田帯刀(染五郎さん)がやってきました。
殿様の正室、梅の方が殺された現場に
求女の刀の鞘が落ちていたので、
又助に事情をうかがいに来たのです。
又助は自分が斬ったのがお柳の方ではなかったと知り、
愕然としました。
「知らなんだ、知らなんだ、、、」
帯刀は「武士らしく言い訳をせよ」と。
武士らしい言い訳って??

様子を聞いていた求女は、「人非人めが!」
「私のせいにして陥れるつもりか!」
「又助兄妹とは縁を切る!妻でない、家来でない」と
打ちすえます。
又助兄妹には世話になっているのになぁ、、、
忠臣と思っていたからこそなのでしょう。

又助は、
忠義のためと思ってしたことが、もったいなや。
多賀の刀で切られよう、と切腹を決意しました。

志賀市が帰ってきて、
「お師匠さんに褒められました」、兄さんに聴かせるようにと
琴を貸してもらってきて、「妹背川」を弾き語りします。
玉太郎くん凄いです。お芝居好きで、お稽古熱心なのでしょうね。
感動しました。

弟の琴の弾き語りを聴きながら、又助は切腹しました。

帯刀は「あっぱれ、でかしおった」
「帯刀様、身の言い訳は立ちましょうな」
「仔細を残さず申せ」

勘平腹切に似ているけれど、
策略にかかって間違った相手を斬ってしまったのだから、
切腹せずにすむ手はなかったのかな、と思ってしまいました。

求女は真相を聞いて、自分も切腹しようとしますが、
帯刀は「家臣の忠義を無駄にするな」と制しました。

おつゆが身売りの百両を持って戻ってきました。
又助は「薬を手に入れ、ご本復を。願い叶うて上なき喜び」
と最後まで主人を思い、
「志賀市のこと、黄泉路の障り」と弟を心配しますが、
帯刀は求女の帰参と、志賀市のことを引き受け、
おつゆを身請けして求女と添わせると伝えました。

「かたじけない」「それならこれでこの世の別れ」
又助は息絶えてしまいました。
「おさらば~」

帯刀はやはり器の大きい良い人でした。
悪者成敗へと期待が高まります。

岩藤と又助、松緑さん大活躍でした。
悪役の女方の岩藤は綺麗で大きかったし、
又助は情感がとてもよく伝わってきて、すばらしかったです。

大詰へ続く、、、