行軍したり泥だらけになってはい回ったりするのは
一晩寝ればなんとかなる。
ところが、飢えはどうしても我慢できない。
食べられないというのはものすごくきついですよ。
飢えれば人肉だって食べようという気持ちになるんだから。
仕方がないんでその辺の野草を煮て食べたりしたんです。
まずいのもあるんだけど大体は酸っぱいんです。
内地に残っていた銃後の
国民のほうがよほどつらい目を見ている。
たとえ、戦火に逢わなかったとしても飢えに苦しんでいる。
正義のた めの戦いなんてどこにもないのだ。
正義は或る日突然逆転する。
正義は信じがたい。
逆転しない正義とは献身と愛だ。
それも決して大げさなことではなく
眼の前で餓死しそうな人がいるとすれば
その人に一片のパンを与えること。
自分はまったく傷つかないままで
正義を行うことは非常に難しい。
正しいことをする場合必ず報いられるかというと
そんなことはなくて逆に傷ついてしまうこともあるんです。
ぼくらも非常に弱い。
強い人間じゃない。
でも、なにかのときには
ぼくの人生のテーマソングである。
生きていることが大切なんです。
今日まで生きてこられたなら
少しくらいつらくても明日もまた生きられる。
そうやっているうちに次が開けてくるのです。
震災も永遠に続くことはありません。
アンパンマンは“世界最弱”のヒーロー。
ちょっと汚れたり、雨にぬれただけでも
ジャムおじさんに助けを求める。
でも、いざというときには
自分の顔をちぎって食べてもらう。
そして戦います。
それは私たちも同じ。
みんな弱いけれどそうせずにはいられないときもあるのです。
アンパンマンのテーマソングは
「なんのために生まれてなんのために生きるのか」
というのですが
実はぼくはずいぶん長い間
自分がなんのために
生まれたのかよくわからなくて
闇夜の迷路をさまよっていました。
もっと若い時に世に出たかった。
ただし遅く出てきた人というのは、
いきなりはダメにならない。
こんなことしてて
いいのかと思っていたことが
今みんな役に立ってる。
無駄なことは一つもないですね。
ぼくら夫婦には子供がなかった。
妻は病床にアンパンマンのタオルを積みあげて
看護婦さんや見舞い客に配っていた。
アンパンマンがぼくらの子供だ。
人生の楽しみの中で最高のものは
やはり人を喜ばせることでしょう。
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「逆転しない正義とは献身と愛だ。」
この言葉はとても深く、重い言葉ですね。
そして、
「なんのために生まれてなんのために 生きるのか」
これは一生のテーマかもしれません。
その場の困ってる人に何をしてあげられるのか、
どんなときでも優しさを忘れない人が
一人でも多くなれば、きっと今よりも素晴しい世界になると思います。