無心という重要な要素に気を配っていなかったのかもしれない。望みや意志によって自己を動かすことではなく、ただ、その瞬間を楽しみ、自然な移ろいへと目を配る集中力。
今日は雨上がりの朝。屋外で活動できない代わりに室内で家族とゆったりとした時間を過ごす。雨の日とは心の休息日、読書日和とも言える。
待ち望んだ美術書が届き、画家ハンマースホイの絵画を鑑賞していた。彼の作品を眺めていると、自我は消え、無我になる。彼の描く自然や室内の風景から呼び起こされる心情は、どこか記憶にも馴染みがあり、あたかもその場に居合わせるかのように純粋に引き込まれる。
その簡素さと静寂感は、忘れていた部分をやんわりと思い出させてくれる。穏やかさ、心地よさ、そして儚さ、これらが混ざり合い、一日の移ろいと自然が一体となっている違和感のない雰囲気がある。
空っぽだった部屋に住居を決め、足を踏み入れた瞬間から、次第に無用な物を詰めてしまい、簡素な暮らしにあれこれ付け加えてしまうと、足元にある生活の美しさに気づきにくくなってしまう。
ハンマースホイの作品を眺めていると、心が清められ、簡素な状態へと振り戻される、貴重な作業になる。
読んできた書物や、今日鑑賞した絵画の文化を通して深く考えてみると、デンマークの美術には惹かれるものがあることに気づく、収穫のある日となった。

