悪友 【ドア】 に拉致られる。
「お前、１時間くらい時間あるンか？」
そう言って電話をしてきたのに、２１時に会って２４時を過ぎ、２時に帰ってきたということは、延々５時間である。
まぁ・・・・僕も話したのだが、彼の喋りは止まらない。
彼は昔、ある芸人の付き人なるものをやっていた。
東京方面で、何やら色々な悪さをして６年ほど前に実家の大阪に帰ってきた。
それからダラダラと実家で過ごしながら、今は４１歳就職浪人の出来上がり♪と言ったところが彼の素性。
詳しくは知らないが大筋では、まぁこんな所だ。
しかし彼は照れ屋でシャイで、偽証天国の、口から先に生まれたような男。
大部分は欺瞞と自己顕示欲の塊である。
だから友達らしき者は、もしかしたら・・・・・・・居ないのかも知れない。
彼は語る。
「やっぱ東京がええよ。やっぱ情報の中心やん」
大手企業が東京方面へ向かっている事を指し、彼は言葉を続ける。
・・・・で、彼は曲がりなりにも芸人というものをカジッてきたものだから、僕が俳優を志し舞台に今度立つことになった事を伝えると途端に顔が険しくなり、
「お前みたいな薄っぺらい人間に何が出来るねん？」
的な言葉を僕に浴びせかける。
なるほど、なるほど。
勉強になる。
彼は言葉を僕向けながら、もしかしたら自分にも向けているのかもしれない。
就職浪人であり、両親の年金で暮らしている彼は東京で燃え盛った分、今はクールダウンをしているのかも知れない。
自分はアングラの劇団で舞台に立った。
４人くらいの小さな劇団で、３人くらい客演がいた。
昭和２０年代の戦争時代の話で学徒の役だった。
セリフは忘れた。
東京弁は完璧で演出には文句ひとつ言わせなかった。
・・・・との事で、僕にとつとつと俳優の心構えなどを説いてくれた。
僕判断でその言葉の幾つかだけはチョイス！（なるほどと納得のものもあり！）
その他は捨てる・・・・・というかスルーの方向で・・・・・・・（すまぬドア）
それにしても彼はまだ喋り足りなそう・・・・・・・・
違う方向へその情熱をうまく向けられないものか？
もしかしたらこの【熱量】を再利用できる術はないものか？
そんな事を考えさせる悪友【ドア】。
まったく・・・・・・変な奴だなぁ♪