海の向こうで戦争が始まる | 日々幸進(ひびこうしん)

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会社への出勤が電車になった事もあり、(おまけに慣れてきた事もあり)小説を読む気になった。

随分と小説なるものを読んでいない。

どれくらい読んでないかといえば・・・・・・・・

正直、5~6年は読んでいないかも知れない。



・・・・で、短編で手頃なものから始めようと手にしたのがコレ。


【海の向こうで戦争が始まる】


村上龍の第2作目の小説である。


僕はコレを読んだのは、20歳くらいの時だ。

およそ20年前・・・・・


気持ち悪かったのを覚えている。(褒め言葉ですよ)

生々しい描写や、吐き気を催す書き方、背筋をゾリゾリと悪寒のヤスリでかけられるかのような不快感!

それらのオンパレードが、行間一杯に埋められ息が詰まりそうだったのだ!


そうしたトラウマの如き作品を、20年経った今、僕がどう感じるのか?


果たして・・・・・


想像以上に、全く同じ印象しか持てなかったのである。

久し振りに読む小説としてはヘヴィ過ぎたチョイスであった!


狂気に満ちた文面を少し書き出してみよう。



【戦争は恐ろしい。みんながそう思っている。それは正しい。いつだって戦争は恐怖だ。私も怖い。小便を漏らしそうになる。しかし、考えてみろ。恐怖の裏側にはいつも何があった。恐怖の向こうにあるものは何だ?それは熱狂と興奮と恍惚だ。戦争は退屈しない、きょう一日何をしようかなどと考える必要はない。人間の肉は柔らかいものだ。お前達が考えているよりはるかに柔らかいぞ、少なくとも見飽きた女とのあれよりはいい気分になる。これだけは間違いないことだ。銃剣が人間にめり込むのを見るのはたまらないことだ、】



これらのような文面が息をもつかせずに、紙面を真っ黒に染めていくのだ。

それらのイメージは屍にたかる数え切れないハエを想像させる。

白い余白があまりないのである。

すざまじい熱量である。


今、読み返しても、まったくあの時に読んだと同じ 【異国の戦争風景】 を垣間見る事が出来て怖かった。


タイトルにもセンスが感じられるが、文章を叩きつける嵐のような自然現象的な怖さを持つ作家だと思う。


村上龍。


僕が好きな作家で、5本の指に入る作家である。