MK'SBAR、よもやま話し。 | MK’S BAR

MK'SBAR、よもやま話し。


「マスター、何か怖い話でも聞かせてよ」

客は二杯目のジンバックを空にして、不意に言った。


『稲川様、夏ももう終わったと言うのに、いささか季節外れですね』

三杯目にオーダーされたのはなぜかレッドアイで・・・・・


『私の話は本当にあった怖い話ですから、オチもありませんし大して怖くないですよ♪』

「それでもいいから」と言うものだから、そんな条件付きでさして怖くもない話を披露する事にした。



カララン。

トクトクトクトクトク・・・・・・



話しの前にウイスキーのロックを一杯。










10年以上前の話になりますかね。

うん、僕がまだホテルマンだった頃の話なんですけどね。

その頃は僕は宴会部に所属していて・・・・・

その夜もあるパーティがあったんです。

宴会が終わって、後片付けと復旧作業をして・・・・・

バンケットフロアのチーフ(責任者)でしたから・・・・・。

当時勤めていたホテルの暗黙のルールが、バンケットのチーフはすべての宴会が終わった後

各宴会場のチェックをして最終消灯をする事。

だったんですよ~~、まあこれが結構めんどうくさい作業なんすけどね。

で。僕もその夜、そのルールに乗っ取って全宴会終了後・・・・フロアを廻っていた訳です。

え~~と・・・・・

そのフロアは確か10階にあって・・・・・

小・中の宴会場が三つ。五つのスパンで仕切れる大きな宴会場がひとつ・・・・だったかな?

その小・中三つの宴会場の照明を落として、最後に大きな宴会場のチェックをした。

特に変わった事もなかったので、宴会場の袖にある音響照明室に入って最終電源を落とした。


『音響照明室』は、わかりやすく言うと袋小路の行き止まりみたいな構造になっていて・・・・・

うん、この宴会場を出るには『音響照明室』から再び宴会場へ入って、

ゲスト用出入り口のドアからホワイエに出なけらばいけない造りになっている。



こんな感じかな?



________________________

                       音響室 

                             


                        ス

                        テ

                        |

                        ジ


________________________


    ドア     ドア     ドア  



僕は『音響照明室』で最終電源を落として、

その部屋から繋がっているステージ上に出た。

そしてステージを降りて進行方向左手のゲスト用ドアからホワイエに出てエレベーターで1階まで降りる。

で、ですね。

宴会場のステージを降りた瞬間ですよ。

人とすれ違ったんです。

僕はステージを降りて・・・・・

彼はステージに上がって・・・・・・

彼と言うからには・・・・・

真っ黒な様相ながらもスーツを着ていたんですよね、その人。

だから僕も疑う事もせずに、男の人かな?と。



こんな感じ・・・・・・。

_______________

                 音響室

          


                   ス  

              彼→  テ

              ←MK  |

                   ジ


_______________


ドア    ドア    ドア




ハッ!!として彼を追跡するも・・・・・

どこにもいない。

ゲスト入り口のドアは僕の目の届く範囲内だし、ステージの奥は当然行き止まりで、

音響室は出口の無い密室。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。













以上です。

申し訳ありません、ドキっとするオチがなんにも無くて・・・・・・(笑)









僕の持論ですが・・・・・

巨大な建物にはやっぱり霊魂達は集結してしまうもので・・・・・・


病院、学校、そしてホテル・・・・・・・・♪







『稲川様、もうそろそろ怖い話は終わりにしましょう♪』


カラン♪

カララン。

トクトクトクトクトクトク・・・・・・・・