乱歩読歩~『押絵と旅する男』 | MK’S BAR

乱歩読歩~『押絵と旅する男』



江戸川乱歩の短編作品の中に『押絵と旅する男』と云う物語がある。



MK’S BAR-LASTORDERが来ない夜-Season 3



明治から大正時代に存在した・・・・・

当時最高層を誇った建造物、浅草の凌雲閣~通称十二階。


ある日、十二階の展望台から覗き込んだ望遠鏡に写った美少女に青年は恋をする。

憑かれた様に青年は、日々十二階に通いレンズ越しの少女への愛を深めてゆく。

しかし、青年の愛する美少女は作家によって描き込まれた『押絵細工』だった。


※『押し絵』~布細工等による貼り絵の一種。




なんとも奇怪で不思議な物語だろうか。

大正浪漫を象徴する浅草十二階を舞台に、『覗く』という行為の淫靡でエロティックな世界。

それでいて純粋で、はかなくも哀しい物語。

この短編小説のすべてに、乱歩ならではの世界観、価値観が凝縮されているのだと思う。








雲が手の届きそうな低いところにあって、見渡すと東京中の屋根がごみみたいにゴチャゴチャしていて、品川のお台場が盆石のように見えております。眼まいがしそうなのを我慢して下を覗きますと、観音様のお堂だってずっと低いところにありますし、小屋掛けの見世物がおもちゃのようで、歩いている人間が頭と足ばかりに見えるのです。どこの魔法使いが建てましたものか、実に途方もない変てこれんな代物でございますな。~《江戸川乱歩による浅草十二階の描写》







僕が『押絵と旅する男』と『凌雲閣~浅草十二階』を知ったのは1990年代のこと。

多分、同作品の映画化をきっかけに原作を読んだ記憶がある。


それ以来、『押絵の中の美少女』ではなく『浅草十二階』に思いを馳せている自分がいる。




たったの十二階。

されど十二階。





某媒体で、東京スカイツリーの姿を目にして・・・・・

ふと、浅草十二階と大正浪漫への想像を掻き立てられた。



MK’S BAR-LASTORDERが来ない夜-Season 3




浅草十二階、凌雲閣・・・・・高さ52メートル

東京スカイツリー・・・・・・・・高さ634メートル