薄毛同盟② | MK’S BAR

薄毛同盟②




その小説の詳しい・・・・・事の顛末は忘れた。




コナン・ドイル原作、名探偵シャーロック・ホームズシリーズ『赤毛同盟』

その『赤毛同盟』の事務所において・・・・・

毎日百科事典を、2時間転写するだけで日給2万円。

但し、見事なる赤毛の紳士に限る。


『マット・マートンかよっ!!』

(※注釈:阪神タイガースの200本安打を放った赤毛の助っ人外国人打者)

思わず山花祐樹は、古い回想の中で自問自答してしまう。



そして、『赤毛同盟』は突如として解散する。

目的はこの質屋の主人である赤毛の男を一定期間、外に連れ出すこと。

留守となった『赤毛の男の家』にこそ、この一団の目指す目標と狙いがあった。

おぼろげながらも・・・・・確かこんな物語だったと記憶している。



『なんとなく似ているな・・・・・』


『赤毛同盟と薄毛同盟か・・・・・』








PURURURURURUUUUUUUU♪


朝刊に目を通して、社員の報告書を手にしたところで不意にデスクの内線電話が鳴った。

ハッと、我に返る。

山花が新進気鋭の青年社長へと戻る瞬間だ。

『いかん、いかん!何が薄毛同盟だ!俺には他にやるべきことが山の様にある!』

敢えて、演じる様に厳しい声色で応答する。


『もしもし、山花だ』





秘書の声は聡明で・・・そして理知性に満ち溢れていた。


『社長、薄毛同盟事務局長の西野照一様からお電話です♪』





漆黒にあつらえた高級本皮のソファが朝日を眩しそうに浴びている。

つい今しがたまで厚い雲で覆われていた曇天の空が嘘の様だ。

『薄毛同盟』なる組織の事務局長、西野照一からの奇襲攻撃とも取れる電話に・・・山花は混乱していた。

空を覆う雲は存在していても・・・彼の頭部を覆ってくれる毛髪は、もはや無いのだ。



『はい、山花ですが?』





山花祐樹は意を決して、西野照一と対峙した。








つづく。


(多分・・・・・)





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