警部補古畑任三郎~『消えた花嫁』プロローグ。 | MK’S BAR

警部補古畑任三郎~『消えた花嫁』プロローグ。



『おや?』



違和感を感じた。何かが違っている。


何なんだろう?


しかし・・・錯覚とも取れる自分自身の感覚は、この際どうでもいい。



『大変な事になってしまった』



宮城県の結婚式場・・・・・ 

『モンドセレクション宮城』のブライダルマネージャー、ケッコンシキ仕事人はため息をつく事しか出来なかった。










「あっ!!」


「けいぶ~~~っ!!」


「こっちです!こちらです!! ウヘへへへ♪」




宮城県警捜査一係、古畑任三郎警部補は・・・・・自転車から降りる際に荷台に引っ掛かったコートを怪訝な表情で取り払いながら部下の頭部に視線を投げやった。


『ああぁぁ~~~、君、また髪の毛薄くなったぁ?』



「うへ!?」


赤面したコウヤンは両手で、前髪の部分を咄嗟に隠した。





ぺちっ!!


(痛っ!!)





東北は思いのほか、冬が早くやって来る。

今は10月で・・・東京はまだ、心地よい秋のはずだ。

こんなにも、風に冷たさを感じてしまうのは・・・決して薄くなった俺の頭髪だけが原因ではない。



・・・・・ない、ない・・・・・・・ないはずだ!








「けいぶ~~、最近めっきり寒くなりましたね~~~!!ウハハハハハハ♪」



今から、事件の経緯を上司に説明しなければならない。


ここ数年の東京暮らしに於いて、北国の冬の厳しさを忘れていたコウヤンはスーツの襟の乱れを正す。

「北海道はもっと、さっむいどう!!」

口には出せない、洒落た言葉を心の中で封印して・・・コウヤン刑事は口を開いた。










秋の空は、雲の動きが早い。


式場の窓から見えていた青い空は、すでに失くなっていた。


いつの間にか・・・東北の空は分厚い灰色の大きな雲に覆われていた。