回想~酒と煙草にむせる夜《MK23歳・・・ホテルマンになる前の話》 | MK’S BAR

回想~酒と煙草にむせる夜《MK23歳・・・ホテルマンになる前の話》


着ているスーツや時計は高級ブランドばかりで・・・・・


少し、一般人とは違う危ない雰囲気をプンプンさせて・・・・・


しかし、その常連客はたいそう僕を気に入ってくれて・・・毎晩の様に店に来てくれた。





大阪帰り、まだホテルマンになる前の話。


母の店を手伝っていた頃に出会った・・・・・東京弁を喋る、少し変わった男の話。









その男の名前はすでに忘れた。



しかし男は僕のことを 『Mちゃん』 と呼ぶ。



店には女の子がいるのに・・・なぜだか彼は、僕との指し呑みが好きだった。






しかし、とっても理屈っぽくて・・・・・


『あの客達は野球の話をしているけどさ。 硬球の直径が何センチで・・・・・バッターボックスからファーストベースまでが何メートルかわかってるんだろうな?・・・それを知っていなければ野球の話をする資格はないよ』



万事がすべて、こんな感じ。



えらく僕のことを気にいって頂いて・・・・・

『スポンサーになるから・・・・・独立して店をしないか?』


・・・・・・何度も誘われたけど、かなり怪しいので・・・・やんわりと断り続けました。









男が最後に店を訪れた夜の会話・・・・・




『Mちゃん、明日から入院する事になった』


「え?どこか悪いんですか?」


『・・・うん・・・・・癌なんだよ・・・』


「・・・・・大丈夫なんですか?」


『いや、自分の身体は自分でわかる。・・・・・もう長くはないよ・・・』


「え~~?ほんまですか~~?そんな事言わんと~~~」


『・・・・・よかったら、お見舞いに来てよ。○○医大病院にいるからさ』





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






それっきり、男は二度と店に現れなかった。


僕はとうとう、見舞いには行かなかった。





彼は何かを僕に伝えたかったのだろうか?



僕の人生の中で・・・なんとなく引っ掛かっている・・・・・ある場末のスナックでの話。



ヤクザな彼、45歳・・・・ただのMK、23歳の時の・・・・・夜の話。



酒に煙っていた遠い夜の話・・・・・。