二つの負荷試験
私自身がこれらの負荷試験についてよく理解が出来なかったので、自分なりに調べてまとめておくことにしました。本来であれば、主治医の先生に教えていただくべきでしたが、検査入院前後は気持ちに余裕がなく詳しくお聞きすることも出来ませんでした。
理解が不十分で誤った思い込みもあるかと思いますのでご注意ください。
検査入院中に行われた内容は次の通りです。
① ホルモン日内変動検査
② 畜尿検査
③ 生理食塩水負荷試験
④ CRH負荷試験
⑤ DDAVP負荷試験
①②④⑤はクッシング病の検査で、ACTHとコルチゾールを測定してその数値によって診断がなされるものです。
③のみ原発性アルドステロン症の検査でした。どちらかというと、アルドステロンの検査はおまけについたような気もしました。あくまでも、クッシング病の検査が最優先されるべきものでした。
主治医の先生は
「あらためて検査入院というのも大変だからアルドステロンの検査も一緒にしてしまいましょう」
とのこと。クリニックの先生は「何回か検査入院をします」と言われていたので、意外でした。しかも、1種類の検査で大丈夫なのかなという思いもしました。
後で知ったところによると、現在は1種類の検査で診断が確定するそうです。
今回の検査入院で理解しづらい検査が
④CRH負荷試験と⑤DDAVP負荷試験でした。
これら二つの検査は、検査開始前の30分の安静の後に薬剤を投与して、以後投与時を含めて5回採血をしました。使用する薬剤が異なるだけで検査過程は同じでした。
① 9:00
② 9:30
③10:00
④10:30
⑤11:00
30分おきに採血するので、看護師さんも忙しかっただろうなと思いました。
検査時にはまず入院担当の先生より、
「この検査では、頭が痛くなったり、気持ち悪くなったり、嘔吐することがあります」
続いて看護師さんからは
「気持ち悪くなったら、すぐにナースコールを押してくださいね」
と言われたのでかなり怖い検査なのかなと心配しました。
私は痛みよりも、とにかく吐き気に弱いので、いかにこれらのことを避けることが出来るかどうかばかり気になる人間です。
気持ち悪くなったり、吐いたりしないようにと祈りました。
結果としては心配していた吐き気に見舞われることもありませんでしたし、顔が軽く火照るくらいで済んでよかったです。
CRH負荷試験が一番身体に負担がかかったように思いますし、実際検査時の説明からして最もリスクが感じられるようなものに思えました。
夕方になって、主治医の先生が見えて翌日の検査の説明がありましたが、
「明日の検査(DDAVP)より今日の方が負担はあると思いますよ」
とのことで、やはり自分自身で感じた身体の変化は自然な反応なのだなと思いました。
さて、本題に入りますが文献によると次のようなことが明らかになりました。
① CRHは直接ACTHの分泌を促し、DDAVPは本来血友病や中枢性尿崩症の治療薬として使用されるもので様々な作用の結果としてACTHの分泌を促進させる。(文献1)
② CRH負荷試験は下垂体腫瘍が大きい場合に、まれに下垂体に卒中を起こす可能性がある。(文献1)
③ 脳下垂体に腫瘍がある場合、「下垂体卒中」という下垂体に出血や梗塞を起こす可能性がある。ただし、ほとんどの場合は一過性のものであるために経過観察で良い。(文献1)
文献によって私が理解したところによれば、このようなことらしいのです。
CRHとは、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンという長い名称ですが、本来は脳の視床下部から放出されACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を放出させるはたらきらしいのです。これを人為的に投与するので脳下垂体にはかなりの負担をかけてしまうようで、結果として頭痛や嘔吐を引き起こすことがあるのかもしれません。
確かに看護師さんが採血の時間以外にも様子を見に来てくれました。
もちろん、病院では万一に備えて脳外科などとの連携も緊密なので心配はないのですが、さすがにこのような思わぬ副作用が心配される可能性のある検査は入院で、しかも設備の整った総合病院でないと無理だと思いました。
結局、私はなんとなくぽやんとした気分で、その日はウトウトして過ごしました。
翌日行ったDDAVP負荷試験は、
「昨日の検査より負担は少ないですよ」
という投与する際の主治医の先生からの説明通り、何ともなく時間が経過していきました。
クッシング病自体まれな疾患ですし、詳細な検査内容が記されている文献もあまり見られませんでした。
現在経過観察中で、今後再びこれらの負荷試験を行う可能性もあるかもしれません。私自身の今後の為にまとめてみました。
文献1
『内分泌機能検査実施マニュアル 改訂第3版』診断と治療社 2019
P39
1.CRHは下垂体ACTH産生細胞を直接刺激する。
2.クッシング病と異所性ACTH症候群の鑑別に有用である。
3.中枢性副腎不全の診断、障害部位の評価にも有用である。
P39
「投与後一過性の顔面のほてり、頸部の緊張、動悸、気分不快が出現することがあるが重篤ものはない。下垂体腫瘍が大きい場合にまれに下垂体卒中を誘発する可能性が示唆されている」