先日の海でのこと。
私が座っていた場所のすぐそばの砂の上に、
小さなブロンズの蜘蛛がいました。
目をこらさなければ見えない、
風ですぐに吹き飛んでしまうくらいの、小さな小さな蜘蛛。
なんでこんなところに蜘蛛がいるんだろう、
そう思ってしばらくその蜘蛛を観察していたのですが・・・
おもしろいことにこの蜘蛛、
砂が盛り上がっている高い砂山にばかり進もうとするんです。
登れずに、すぐに滑り落ちてしまうのに、
それでも、何度も何度も砂の高みばかり目指すの。
だんだん気の毒になって、前に道をつくってみたりもしたのだけれど、
最終的にはまた、高みを越えて進もうとするのです。
道がそこにしか見いだせないのか、それともそういう習性なのか。
その姿を上から俯瞰してずっと見ていたら、
不意に、思うことがありました。
進みやすいなだらかな道を進むのは簡単なこと。
でも、それじゃあダメだって、この蜘蛛は教えてくれているのかなって。
少し目を離す時間があり、しばらくしてからふと先ほどの辺りに目をやると、
いつのまにか蜘蛛は、たくさんの砂丘を越えて遠くまで進んでいました。
風が吹けば飛ばされてしまうのに、
傾斜のきつい砂山は簡単には越えられないのに、
それでもどこかを目指し、前へ突き進んでいました。
一見、越えられないと思うような高い壁、道のり。
でも、無理だろうと思っていても、
自分の瞬発力か、何か別のものの力か、
それとも運なのかはわからないけれど、
何かの拍子にそれを越えることはできて、
そうやってひとつずつ、ひとつずつ、山を越えて進んでいくのだと、
この小さな蜘蛛に身をもって教えられたような気がしました。
何もない砂浜での、
かけがえのない印象的な出来事。
小さな蜘蛛が教えてくれたこと。