東三国勉強会も早くも5回目を迎えました。
参加者にはかなりなストレスをかけてしまっていますが、その成果もあってか徐々に発表内容、パワーポイント、発表方法など、それぞれが創意工夫を行うようになってきました。
受講生の疲労度合いや設定した時間を軽く無視してしゃべりたいことをしっかりしゃべる、小滝イズム満載の勉強会になってきたことはとても素敵ですね![]()
今回のテーマは「聴覚刺激(口頭刺激)」
PNFでは聴覚刺激を以下の目的で利用します。
①運動の理解を助ける
②運動の開始、終了の合図
③目的とする運動の協力を求める
④リズムの導入
⑤心理的効果
特に目新しい目的ではありません。要するに運動学習を進める上でのフィードバックの手段のひとつと言えるでしょう。
しかしその使い方については、実はいろんな配慮が必要になります。今回は次の3つについて考えていましょう。
①声のトーンについて
②リズムについて
③聴覚vs視覚
①声のトーンについて
「聞いてもらえる声」とは?
基本的には、よく通る声=高周波数(高い)の声と言われています。
身近なところでは皆さんご存知ジャパネットたかたの高田社長がその代表例ですよね。高周波数は脳を活性化するといわれていて、胎児に届く母親の声は高周波だそうです。
ただあまり高すぎると、だんだんうるさく聞こえてくるので注意が必要でしょう。
「声の大きさ」が与える影響
これについては多くの研究がされています。詳細はそちらに譲りますが、声量の増大が収縮力を向上させることはすでにエビデンスといえるでしょう。
最近の若い理学療法士を見ていると全体的に大人しいだけでなく声量が落ちているように思います。逆におっさん理学療法士でやたらうるさい人もいて、これはこれで迷惑ですが・・・
カラオケでは皆さん鍛えているはずですので、ここぞというときはしっかり声を出していきましょう!
②リズムについて
リズム運動には自己ペース運動と外的ペース運動があります。聴覚刺激は外的ペース運動になります。
では、聴覚刺激を続けたときにはすべて外的ペース運動になるのでしょうか?
実は間違いです。聴覚刺激を入れた後の筋収縮の反応速度を調べてみると、1~4回目の間に反応速度は著しく短縮し、5回目以降は変化を認めなくなります。健常者の場合はスピードなどの条件にもよりますがほとんどが5日目以降で安定するそうです。ということは1~4回目までは外的ペース運動といえますが、5回目以降は自己ペース運動に移行するといわれています。その証拠にリズムのスピードが1300msec以上になってくると聴覚刺激よりも早く筋反応が生じてきます。4回目までにリズムを学習し、自分でリズムを作り出すのです。
問題は、自己ペース運動と外的ペース運動の神経機構が異なることにあります。
自己ペース運動ー大脳皮質基底核ループ
外的ペース運動ー大脳小脳ループ
の関与が大きいといわれています。想像しやすいのがパーキンソン病です。基底核に問題のあるパーキンソン病では自己ペース運動が作りにくく、そのためメトロノームやリズミカルな口頭指示があると歩行しやすくなります。この際には小脳ループの代償を使っているといえますね。
運動学習の観点から行くと、自己ペース運動を確立させたい場合には、早いリズムでテンポを変えずに口頭指示を与え続ける。逆に外的ペース運動(要するに外的刺激に適応する能力を高めたい)を確立させたい場合には、リズムをゆっくりとテンポを変えながら口頭刺激を入れていく必要があるといえます。
③聴覚vs視覚
視覚刺激に比べて聴覚刺激が優っている点はどんなところでしょう。
1)刺激を入力する範囲が360°である
これは大きなメリットですね。口頭刺激は横からでも後方からでも入れることが可能です。視覚のようにいちいち対象物に視野を合わせる必要がありません。
2)反応速度が速い
これは情報量の違いによるものが大きいと考えられます。視覚ですと情報量が多すぎるために、必要な情報を選択する時間が必要になります。その分反応が遅れる傾向にあります。
3)イメージを作ることができる
視覚刺激ではそのままの状態が情報として入ってきますが、聴覚ではそれを頭でイメージする作業が必要になります。それが運動学習を進める可能性を持っています。ただしイメージングが苦手な人には逆効果かもしれませんね。
聴覚刺激といっても見方によって様々な可能性を秘めています。
特に心理学の分野では研究が進んでいますので、ぜひ勉強してみてください!
