昨日の続きです。
俺のベルトは手垢だらけなんですよ。念願のベルトが本部から届いて、一番最初に腰に巻いたのは、名前も知らない居酒屋のバイトの女の子ですから。
...いい話ですが、そこは奥さんに巻かせてやれよ、と思いますが(笑)。公務員の恋人がいたのにストーカーのようにして落として、夫婦で月収12万という生活をしてきた奥さんに。
そんな事言ったら自分にプレッシャーかかっちゃうよ(笑)。俺に負けたらゴキブリ以下だもん。
亀田家(誰だったか忘れた。どうでもいいや)の「内藤はゴキブリ」発言に対して。冷静に切り返してますが、凄く怒ってたらしいです。内藤の出身地、北海道にはゴキブリがいないので、内地に出てきて初めて見て、本当にビックリして怖くて、ほとんどトラウマなんだと。だから。
絶対勝てるなんて言えない。アイツ強ぇもん。だけどこれだけは約束出来る。俺は絶対に諦めない。みんなで獲ったベルトを、しがみついてでも守りたい。
3度目で勝った前王者、ポンサクレックとの4度目の対戦(2008・3・8)を控えて。勝った試合は、ボクシング史に残る大激闘で、感動の戴冠でしたが、ポンサクレックの不調と慢心に助けられたと言われました。僕も、少しだけそう思っていました。挑戦者となったポンサクレック陣営は、日程、開催地、グローブの色に至るまで駆け引きを重ねて興行を有利に運ぼうとし、ポンサクレック本人も完全に仕上げた上、かつて2度勝っている内藤を、研究しつくしてきました。試合はそのポンサクレックに前半空転させられながら、33歳にして増強したスタミナと戦略で押し返し、勝ちに等しい感動的な引き分けでした。
それにしても、試合前に「絶対勝つ」と言わないボクサーを、僕は初めて見ました。だから信用できるんだよ。
息子にもボクシング教えるつもりです。プロにしたいわけじゃなく、人の痛みがわかる人にしたいから。殴られたら痛いんだよってことが、人の気持ちが分かる子にしたいから...イジメ嫌いなんでね。普通の子でいいんですが、それだけは知って欲しいと思います。
泣きながら入場してきて、あんなに凄い殴り合いをやる。どもりながらも、なぜかピコッとオイシイことを言う。内藤の不思議な魅力は、「人の痛みがわかる」ことから来ていると、僕は思います。それが「強い」ということのヒントになると、いつも内藤を見ていると思います。いや、俺そんなにいい人じゃないから、ヤメテヨー(亀田の反則問題でボクシング界を救ったヒーローのように扱われることに対して)
...知ってるっつうの(笑)。リング降りたら完全に不審人物じゃん。川嶋×ムニョス戦の解説なんて、「あー、うー、」「あーこりゃもったいねーなー」とか、飲み屋で見てるオヤジみたいだったし。えっ、もう呑んでんの?っていう。....というか、リング上の動きも昆虫みたいなんですが。
夢も希望もコネも、自分の居場所すらなかった僕に、ボクシングは生きるすべを与えてくれた。妻と出会ったのも、ボクササイズに来た所属ジムでした。気の弱い僕ですから、リングに上がるのは怖くて仕方がない。でも、この拳に賭けるしかないんです。もう体がボロボロで、あと何回リングに上がれるか分からない。だからプロとしてお客さんに納得してもらえる試合をしたい。
昨日の冒頭にアリバイのように書きましたが、人間性や背負ってるドラマでボクシング観てるわけじゃないですよ。清水選手にだって、乗り越えてきた敗北や、周囲の思いや、背負ってるものはあるだろうし。リングで見せたものがすべてですよ。それに用があるんですよ、僕は。
でも、こうやって内藤の足跡を言葉やら試合の映像やらでさらってみて、あらためて思いました。
まだ、内藤大助の時間だ。
内藤と、内藤を支える周りの人たちと、入れなくてもいいけど何もしてないけど僕らファンの夢は、まだ終わるわけにいかない。
あと3日!!