わたしはモス


ある日の昼下がり


夫が庭で愛犬と戯れている


「ロン!ロン!」


「うふふ…お前可愛いなぁ」


ワンワン!


「あっ やめろやめろ! 可愛いなぁ」


「あれっ ⁈ お前 モスだっけ⁈」


「ロン…モス…⁈」


「あれェ〜⁈」


ワンワン!


可愛がってる割には


扱いが雑


ワンワン!


ワン〜〜…


「よしよし! 可愛いなぁ〜!」


「なんかお前…母さんに似てるな…」


「……んーーー」


「わっ!やめろやめろ!! 可愛いなぁ」


ワンワン!


疲れて家に入って来る


そこへ息子がやって来る


『よっ モフ 元気だったか』


ワンワン!


『あれっ 母さんは?』


「どっか行っちゃったよ」


「いっつもいると思うな」


『家と母さんはセットみたいな感じが


してたけど…』


「最近はいない事多いよ」


「行ける時に行きたいとこに


行っとくんだって」


『良いことだよね』


『親父は?』


「俺か俺はもう家に居る」


「あまり家に居なかったから


家に居たい」


『実感だよね…』


『はい! シュウマイ!お土産


一緒にビール飲もう!』


『まんじゅうもあるよ!』


ワンワン!


[おっ ロン!モフ!]


ワンワン!ワンワン!