久しぶりにこのブログでマネジメントについて考えてみたい。
先日の新聞の記事に「リーダーの謙虚さ → 部下本領発揮」とあった。
要旨は、
職場のリーダーの謙虚さが高まると、自由にものを言える雰囲気ができ、
組織全体のコミュニケーションが促進され、
部下のパフォーマンスが高まり、成果となって現れやすい。
※『社会心理学者 松井明子・東大特任教授』調査より
これは、マネジメントにおいて今ウェルビーイングと共に盛んに言われている、
"心理的安全性"はリーダーの謙虚さと繋がっているということだ。
それは私が多くのリーダー・経営者と接しながら感じていることで、正に我が意を得たりだった。
■謙虚さとは何か
ただし、このリーダーの「謙虚さ」とは何かということになると誤解も多いように思う。
今お付き合いさせて頂いている会社の社長が、
「リーダーはう驕るとダメですね。リーダーは謙虚さが大切ですね」とよく口にするようになった。
若い社長だが大事な事に気づかれたんだなと思っていた。
ところが、ある役員から「また、社長が飲み過ぎて朝の会議に大幅に遅刻してきたんです」と打ち明けられた。
以前にもそうした話を聞いていたので、時々社長には酒の怖さを伝えていた。
経営者と社員が飲むときは、
「一流は一次会で上がり、二流は二次会に行き、三流以下は三次会どころか最後まで居座ってしまう」
等と伝えたりもしていた。
しかし結局は、その例えの三流以下と同じ事をやっていた。
「謙虚」という言葉を新選国語辞典から引いて見ると
「へりくだって慎ましいようす」とある。
この社長は全く謙虚さをはき違えていることになる。
どうもこの「慎ましいようす」というのがイメージできないようだ。
イメージできないというより、リーダーシップとは“慎ましい”と逆のことと捉えている。
これは私が産業カウンセラーの講師を目指して研修を受けている時、
小杉さんは「慎ましさが足りない」と何度も指導者より指摘されていた。
だからよく分かる。
私も「慎ましい」ということは、リーダーには全く必要ないことと思っていたのだ。
■謙虚な人間の強さ
私はこのブログを書きながら『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵の言葉を思い出した。
「平常、目立つまい、目立つまいと心がけている者に限って、いざとなると良う働いてくれるものじゃ」、
これは「平常“慎ましい者”に限って、いざとなると良く働いてくれる」とも取れる。
近々この社長と面談する予定だ。
その社長に、現代のリーダーシップの鍵となる「謙虚力」は「慎ましさ」でもあることを、
どう伝えていこうかと今から思案している。
自分自身の心にすぐに頭をもたげてくる「おごる」心と戦いながら。
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