妻と久しぶりに20年来のクライアントでモーニングアカデミーのメンバーでもある新潟市古町の「藪蕎麦」さんに行った。
十日町市より新潟市古町までは1時間半だが、藪蕎麦さんの「鴨南蛮そば」が食べたいの一心で道中は気にならない。
美味しい食べ物には理屈でない不思議な力がある。
■芥川賞作家新井満が愛した味
藪蕎麦さんの鴨南蛮は12月~2月迄の季節メニューだ。
美味しかった。
二人でふーふーと言いながらあっという間に食べた。
今年の鴨肉は特に歯ごたえがあった。
「歯ごたえ」が大好物の私には絶品だった。
ネギは以前より甘みが増した感じがした。
鴨肉とネギにはこんがりと焼いた跡があった。
これが秘訣かと思った。
あらためて、やっぱり新潟市出身で藪蕎麦さんを愛した芥川賞作家新井満が何度も雑誌や本に紹介した味だなと思った。
新井満は北海道に住んでた時も年越しそばは必ず藪蕎麦さんのそばだったという。
帰り際に店主の岸本さんが挨拶に来てくれた。
「鴨肉の歯ごたえとネギの甘みは焼くことで増します。一手間増えるのですが、その方がお客様が喜んでくださるので」と仰られた。
■藪蕎麦さんのそばを食べてから死にたい
「藪蕎麦」さんのそばは、他の物とは代え難いものとなっている人がいる。
その人達は子供の頃から何十年とやぶ蕎麦さんの味に親しんできた。
その味はその人の人生の一部になった。
その人達は人生を終えることを覚ると懐かしい藪蕎麦さんの味を思い出し、藪蕎麦さんにやってくる。
そして「死ぬ前にもう一度藪蕎麦さんのそばが食べたかった」という。
一口しか食べられずに帰ってしまう人も多い。
それでも、「よかった。ありがとう」と言って帰って行かれる。
私も年を重ね、子供の頃に十日町の実家、自然が豊で食材の豊富な中で育ったことが人生に大きな影響を与えていることを感じるようになった。
だから、そうした人の気持ちがよく分かる気がする。
■創業の味を絶対に守り抜く
その味は、藪蕎麦さんはよく語っておられる「絶対手をぬかず、創業の味を守りぬく」によって保たれてきた。
今、利益優先、売上げ優先によって創業の精神や味を忘れてしまう店や会社が多い中、それは貴重な言葉だ。
マネジメントの父ドラッカーは説く。
「利益のみを追う企業は必ず目先のマネジメントになる。その結果、その後維持発展するための資産形成機能を失い、業績を急に悪化させることとなるものである」、と。
昨今の政治や企業の不祥事を見るにつけ、この言葉が益々重要になってきている。
藪蕎麦さんは利益を追わず、目的である「創業の味を守りぬく」に徹しておられる。
今年のSMIビジネス塾のテーマは「ドラッカーと論語」だ。
時々藪蕎麦さんの「創業の味」を思い出しながら、ドラッカーの言葉を皆さんと深めていきたいものだ。
《令和6年2月のフォローUPセミナー予定》
■第22期SMIビジネス塾
◇日時 令和6年2月20日(火)◇今月のテーマ「組織の目的を考える」
◇会場 新潟ユニゾンプラザ4F小会議室
■第38期SMIモーニングアカデミー
◇日時 令和6年2月18日(日)◇今月のテーマ「マネジメントを理解する」
◇会場 東横イン駅前4F小会議室(※今月は第3日曜日です)
《令和6年3月のフォローUPセミナー予定》
■第22期SMIビジネス塾
◇日時 令和6年3月19日(火)◇今月のテーマ「マーケティングとコミュニケーション」
◇会場 新潟ユニゾンプラザ4F小会議室
■第38期SMIモーニングアカデミー
◇日時 令和6年3月10日(日)◇今月のテーマ「論語を経営に役立てる」
◇会場 東横イン駅前4F小会議室