【コラム】営業利益を吹き飛ばす「土壌汚染」のリスク [6/22] | ≪最新ニュースとキーワード≫怒涛の更新

【コラム】営業利益を吹き飛ばす「土壌汚染」のリスク [6/22]

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/f/41/「工場跡地の宅地利用、土壌調査・全面義務付け」の記事が5月23日、日経新聞に掲載された。
土壌汚染対策法は2003年2月に施行され、有害物質を扱った工場などが操業を終えたときには、土地の所有者や購入者が土壌を調査することが義務づけられている。
今回、環境省が検討しているのは、この施行より前に操業をやめた工場跡地にも調査を義務づけようというもので、来年の通常国会にも改正法案を提出する考えとか。
環境省によると、全国で土壌汚染されている可能性のある土地は東京都23区の2倍の広さ(11万3000ヘクタール)で、資産価値は約43兆円に上るという。
既にマンションが建てられている場合には対象に含めない見通しだというから、この改正法案が施行されたとしても、現在使用されている不動産すべてが対象にはならない。
しかし、土壌汚染は、今後、金銭的に大きな負担を企業に強いるようになるのではないかと危惧している。
まず第一に43兆円分の資産価値はまもなくなくなる運命だと考えられないだろうか。
そこには減損会計の存在がある。
以前にも書いたが、土壌が汚染されているのであれば、上場企業などにおいては「リスク開示義務」の対象になるであろうし、資産の減損をせざるを得なくなるのではないかということだ。
そうだとすると、不動産会社、メーカーの資産43兆円は消えることになる。
そうなればバランスシート(純資産比率)は大きく変化する、というのがわたしの結論だ。
第二の危惧、「日本版スーパーファンド没さらに怖いことに、これを浄化しなければならないとなれば、いったいいくら費用が必要となるのかということだ。
特にこうした工場用地は地方に多い。
つまり、「地価が安い割には面積が広い」ということである。
地価を考えると、土壌汚染対策費用が大きくのしかかってくる大きな原因となろう。
例えば、坪1万円、敷地10万坪の工場があるとしよう。
汚染されている物質にもよろうが、坪当たり5万円の費用がかかるとすれば、地価の5倍のコストがかかる計算となる。
仮にこれをそのまま全国に当てはめてみると、43兆円の資産を復活させるために5倍の215兆円の費用が必要になる。
トヨタの営業利益が2兆円とすれば、107.5年分の利益がなくなる計算となる。
トヨタが出した決算はメーカーとしては世界最大かもしれない。
日本のメーカーのなかには空前の利益を出している企業も増えてきた。
しかし、こうした費用を利益に換算した場合、利益はいったいいくらまで減少するのか。
考えただけでゾッとする。
第二に危惧するのは米国の「スーパーファンド没的な法律が施行されるのではないかということだ。
スーパーファンド法は汚染責任者を特定するまでの間、浄化費用を信託基金(スーパーファンド)から支出するという法律だが、その潜在的責任当事者の範囲の広さ、そして責任範囲の広範さに特徴がある。
なにしろ有害物質の輸送業者や融資金融機関まで潜在的責任当事者に含まれるのだ。
わたしはこの5月23日の記事を読んだとき「日本版スーパーファンド没は近いのではないかと感じた。
この法律が出てくれば大企業、中小企業に関係なく強制的に浄化費用を負担せざるを得なくなる可能性がある。
に続く