【論説】ボウフラには一定の行動原理 行き当たりばったりの政治で有権者をなめると後が怖い 中日春秋 | ≪最新ニュースとキーワード≫怒涛の更新

【論説】ボウフラには一定の行動原理 行き当たりばったりの政治で有権者をなめると後が怖い 中日春秋

今はもう見ることも少なくなったが、ボウフラには一定の行動原理があるそうだ。
動物行動学者の日高敏隆さんのエッセーで教わった。
▼ボウフラはあの蚊の幼虫である。
ふだん庭の甕(かめ)などの水面に浮いているボウフラは、振動を感じると瞬時に水の底に潜る習性がある。
危険から逃れようという二つの本能の働きによる。
太陽の光から遠ざかろうとするマイナスの走光性がその一つ。
▼もう一つは振動を感じて重力の方向に向かおうとする走地性だ。
ふつうは太陽光の反対側と重力の方向は同じだから、危険回避の動きが二重に保証されていることになる。
太陽の光のない夜も走地性のおかげで難を逃れることができる仕組みだ。
▼では、透明な容器にボウフラを入れ暗い部屋で下から強い光を当てたらどうなるか。
振動を与えると、ボウフラたちは完全な混乱に陥ってしまう。
光の反対方向(上)への動きと、重力の方向(下)への動きが同時に現れ、上か下かと戸惑うばかりだという。
▼昨今の世相もよく似た動きが見受けられる。
介護サービスのコムスンや駅前留学のNOVAの不祥事は、企業の利益確保が優先し、社会的責任の方向を見失った結果だろう。
「私」と「公」の区別がつかないのだ。
“消えた年金”問題も役人や政治家が右往左往するばかりで、納得できる方向が見えない。
▼議論も尽くされず重要法が成立する一方で、国会会期の延長だ。
参院選投票日は七月二十九日にずれ込む。
年金問題に冷却期間を置くつもりなのか。
行き当たりばったりの政治で有権者をなめると後が怖い。
■ソース(中日新聞�http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2007062102025842.html