松塾10年史 第4回
退職金
俺があてにしていた退職金が振り込まれたのは、ポスティングのバイトを始めて間も無くのことだった。
柏崎には、一足先に退職金が振り込まれていた。柏崎の勤務していた会社は、腐っても上場企業。4、5年しか勤務していない割には、結構な額の退職金が振り込まれていたような気がする。
しかし、流石にこれだけでは心許ない。俺は、自分の退職金が振り込まれるのを柏崎と共に心待ちにしていた。
そして、、、
遂に退職金が振り込まれた旨の通知が届いた。
期待に胸を膨らませ、内容を確認すると、
3,090
と書いてある。
単位は?
3,090千円?
いや、そんなはずはない。俺が勤めていた会社にそんな甲斐性はない。
では、3,090百円か?
それも可能性としては薄い。柏崎の会社より退職金が多い訳がない。
まさか、、、
嫌な予感は的中した。
3,090円
なめとんか!?
たった5年とはいえ、俺は、この会社に滅私奉公して来たやないか!それが3,090円!?しかも、なんやねん!この
地味に90円の端数は!
当時の消費税率は5%、
せめて3,150円振り込んどけや!
我々のあてが外れた瞬間であった。
つづく