関係性の構築、 その先にあるもの
訪問看護の支援は、先ずは利用者さんとの関係性を構築することが支援の目標になることが多いです。利用者さんとの良好な関係を作る、信頼してもらえる存在になる、これはどの利用者さんの支援にも言えることです。
では、何故関係性を構築しなければいけないのかを考えたことはありますか?
訪問看護は利用者さんのお宅に訪問看護師がお邪魔させていただき、一定の時間一対一で話しをするのですから、関係性が悪いと、その時間はとても居心地が悪い時間になります。
利用者さんと訪問看護師との関係性が良好であれば、利用者さんも訪問看護の時間を楽しみに思ってくれるかもしれません。会話も弾むと思います。
でも、関係性の構築は、それが目的ではありません。
例えば、利用者さんが就労支援への通所が滞りがちだとします。本人は仕事がしたい気持ちはあるが、その気持ちが日々持続するのが困難です。
訪問看護では、通所継続できるように、支援しますが、利用者さんから「その話はもうしないで欲しい。」と希望されました。
考えたら当然だと思います。誰だって自分ができていないことを言われるのは嫌ですよね。利用者さんの希望だから、今後一切就労支援の話は禁止です、なんて思ってしまう訪問看護師がいるとしたら、どうでしょう?
関係性を構築している訪問看護師だからこそ、その利用者さんに届く言葉があるのではないでしょうか?禁止ワードを作るのではなく、別の角度からの支援を模索するべきでしょう。そして、利用者さんが就労支援を継続して、仕事に繋げていくことが、訪問看護の支援です。
いくら利用者さんの希望で就労支援の話をしないで欲しいと言われたからといって、その言葉だけを守ることが利用者さんの将来を考えるとプラスにならないことは想像できます。
必要な時に必要な言葉を届ける、時には伝えにくい言葉になるかもしれません。それでも、それが支援であるならば、伝えないといけない時が来ます。その時に、利用者さんに言葉が届くように関係性を構築しなければいけないのです。
訪問看護師が利用者さんにとって嫌なことを言っても、利用者さんが、「〇〇さん(訪問看護師)が言うのなら、信じてやってみようかな。」と思ってもらえるような関係性を構築して下さい。