訪問看護の場面から必要な支援を考えてみました
後編


利用者さんから他の支援者に対しての不満言動があった場合の支援

 支援①他の支援者に対する不満の気持ちを共感
 支援②利用者さんのしんどさを共感
 支援③解決策を一緒に考える
 支援④利用者さんのできていることを評価して伝える
 支援⑤他の支援者の想いや立場の理解を深める
 支援⑥難しい問題なので即答せずに宿題として持ち帰る

 前編では①、②について考え、共感は共感ポイントを見極めることが大事であることを話ししました。

 この後の支援は、前編の共感の支援を十分実施したからこそ、意味のある支援になります。

 なので、共感の支援が無かったり不十分だと、この後の支援が成り立たなくなりますので、注意が必要です。

 私の考える支援は、②を十分に実施した後に、④→⑤を伝えて訪問看護を終えるようにしています。

 では、③と⑥を選ばない理由ですが、この場合の解決策は利用者さんの捉え方を変えて利用者さんがその支援者への接し方を変えることだと思います。相手を変えるのは難しいが、自分を変えることで相手が変わることは多くの人が経験しているのではないでしょうか。
 ③解決策を一緒に考えるのは、場当たり的な解決策を探していくことになりますし、それでは根本的な解決にはならないと思います。⑥宿題として持ち帰るのは、利用者さんに訪問看護が解決してくれると過度な期待を抱かせる可能性があります。期待した解決策が、『あなたが変わって下さい。』では、利用者さんもがっかりしてしまうのではないでしょうか。

 ④は、利用者さんがしんどさや辛さがある中でも、それでもこんなことを頑張っている、あんなことができている、あなたにはこんな時でもそれができる力のある人なんですよ、というメッセージを利用者さんに送る支援です。これは、利用者さんの思考がマイナスに傾倒して、何事にもプラスに考えにくくなっている思考をフラットに戻す支援です。

 最後に⑤は、支援者にも、利用者さんに対する想いや都合があって、今に至っていることを簡単に伝えます。例えば、「支援者の〇〇さんも、利用者さんのことを強く想い過ぎて、ルールに厳しくなっているかもしれませんね。」や「利用者さんに特別な期待を寄せているのかもしれませんね。」みたいな、プラスの言葉を伝えます。そして、その詳細には多く語らず訪問看護を終えて、利用者さんが一人になった時に、語った言葉の置き土産について考えるのではないでしょうか。

 まとめると、先ずは利用者さんの想いに十分に共感します、十分過ぎるほどに、次にしんどさの中でもできているこに気づいてもらい、最後に対象の支援者にも想いや都合があることを考える機会を提供する、という支援です。

 これで絶対に問題が解決するかどうかは分かりません。利用者さんとの関係性によっても違うでしょうし、利用者さんのその場の感情によっても違うと思います。

 支援は、その問題を解決する為にあるのではなく、その利用者さんがこれから社会に出て行く時に必要ソーシャルスキルを身に付ける為にあると思います。

 長々と書きましたが、誰かに伝えたい想いが強かったんだと思います。