スペインバスクからこんにちは!その11.イルンでの生活の始まり | 水谷孝のブログ「つれづれなるままに」

みなさんこんにちは!

 

ご機嫌いかがですか?

 

前回までのブログで、僕が住むスペインのバスク(バスク州あるいはバスク地方とも呼ばれています)というところが、スペインのどのあたりにあるのか、ということと、バスクがとても美しいところ(あくまでも僕の主観ですが)だ、ということはお分かりいただけたかと思いますので、いよいよ今回から、1990年の4月25日に、バスクのイルンという、人口6万人の町に着いた時からの直感の日々を、つれづれなるままにお話ししていきたいと思います。

 

イルンで住む家は、すぐに決まったので(妻の伯父さんが住んでた家が、空き家になっていたので、その家に住まわせてもらえました。)、家を探す手間も省けましたし、住居費の心配もしなくて済みました。

 

なのでイルンに着いて、すぐに取り掛かったことは、車を買うことと、鍼灸(しんきゅう)とヨガのセンターの開設準備をすることでした。

 

車については、すでにお話ししたように、最後の最後に気に入った車を見つけることができたので、僕も妻も大喜びでした。(10ヶ月後に、大きな事故に遭うことになるのですが。)

 

イルンに着いて、何を置いても一番最初に車を買いたかった理由は、日曜日の休みの日に、家族をいろいろなところに連れて行きたいと思ったからでした。

 

以前にもブログに書いたことがあるのですが、僕には変な癖がありまして、僕の車にいろいろな人を乗せて、人が行きたいところに送って行ったり、楽しいところに連れて行くのが好き(と言うよりも、趣味のようなもの)なのです。

 

なので、妻は僕のことを(少々嫌味を込めて)タクシードライバーと呼ぶのです。(妻は、僕のそういうところが馬鹿のように思えたそうです。笑)

 

早速車を買った最初の日曜日に、みんな(妻と子供たち、妻のお母さんと伯父さん、そして僕の6人)で、フランスバスクのアンダイエの海に行きました。

 

イルンの近くには、二つの海がありまして、一つの海はイルンから車で5分のところにある、同じスペインバスクのフエンテラビア(バスク語ではオンダリビア)という、人口1万5千人の美しい港町にある海で、もう一つの海は、こちらは車で7,8分のところの、川向うのフランスバスクのアンダイエ(バスク語ではヘンダイア)という、人口1万3千人の美しい町にある海です。

 

どちらもイルンから近いのですが、イルンの大半の人たちは、ただ純粋に海に入って泳ぐことだけが目的の場合は、スペインバスクのフエンテラビアの海に行く人もいますが、長い砂浜を歩きたいとか、広い砂浜で子供を遊ばせたいとか、砂浜で日光浴をしたいとか、サーフィンをやりたいとか(もちろん純粋に泳ぎたいときも)、そういう目的の場合は、ほとんどの人はフランスバスクのアンダイエの海に行きます。

 

どうしてフエンテラビアよりも、アンダイエの海の方が、人気があるのかと言いますと、Google earthでご覧いただければお分かりになると思いますが、海としてはアンダイエの海の方が美しく、また砂浜も幅が広く長さもはるかに長いので、フエンテラビアの海よりも、人気があるのです。

 

しかし街としては、フエンテラビアの市街地は、中世の城壁に囲まれた、とても美しい街なので、フエンテラビアはとても人気があります。

 

ということで、車を買って最初の日曜日に、家族6人でアンダイエの海に行きました。

 

アンダイエの海に着くと、妻とお義母さんと子供たちは、早速長い砂浜を歩き始めました。

 

僕と伯父さんは、持って行った折りたたみのイスに座って(伯父さんは、脳梗塞の後遺症で、歩行が困難でしたし、僕は歩くのがあまり好きではないので。)、二人でおしゃべりをしました。

 

当時の僕のスペイン語は、まだまだ片言だったので、僕と伯父さんは、お互いを理解しようと、頑張って身振り手振りを交えて意思の疎通をはかりました。

 

理解しようと思う心があれば、けっこう理解できるもので、その時に伯父さんは、子供たちのことでとても嬉しい話しをしてくれたのです。

 

僕がまだイルンに来る前のこと、伯父さんと僕の息子たちの間で、次のような会話のやり取りがあったそうです。

 

息子たち「ダニエル伯父さん。伯父さんはどうしていつも寂しそうな顔をしているの?」

 

伯父さん「誰も伯父さんを外に連れていってくれないから寂しいんだよ。」(伯父さんは、その1年前に起こった脳梗塞の後遺症のため、一人では外に出られませんでした。)

 

息子たち「それなら心配しなくてだいじょうぶだよ。僕たちのパパが来たら、すぐに車を買って、ダニエル伯父さんをいろいろなところに連れていってくれるよ。だから安心して。」

 

伯父さん「それが本当なら嬉しいけどね。」

 

という会話をしたそうです。

 

伯父さんは「どうせ子供たちの言うことだ。」くらいに思って、全く期待していなかったそうです。

 

伯父さんからこの話しを聞かされた時、二年間離れて暮らしても、二人の息子が優しい子に育っていることがわかり、とても嬉しくなりました。

 

僕は伯父さんと息子たちの間で、そんな会話があったことなど全く知らずに、イルンに着いてすぐに車を買って、伯父さんに「ダニエル伯父さん、今度の日曜日にみんなで海に行きましょう。」と言って、早速その日曜日にアンダイエの海に行ったわけですが、伯父さんと二人で、イスに座って話しをした時に、伯父さんが「君の息子たちが私に言ったことは本当だった。」と言って、息子たちが伯父さんに言ったことを、僕に話してくれたのです。

 

伯父さんからその話を聞かされた時は、「子供たちというのは、父親が思っている以上に、父親のことをよく見ているのだなぁ」と思い、あらためて「子供たちのまえでは、気をつけて行動しなくては、、、」と思いました。

 

もっとも、息子たちはいつも母親が「あなたはいつも車で誰かをあちこち連れて行ってばかりいるから、まるでタクシードライバーね。」と、父親に揶揄して言っているのを聞いていたのかも知れませんが。(笑)

 

続きは次回のお楽しみに!

 

それではまた来週の金曜日にお会いしましょう!

 

みなさんお元気で!

 

スペインのイルンより心を込めて、、、

 

水谷孝