水谷孝のブログ「つれづれなるままに」

みなさんこんにちは!

 

ご機嫌いかがですか?

 

前回からの続きです、、、

 

銀行からの借入を最小限に抑えるため、買い入れ価格の3分の2だけを銀行から借りて、残り3分の1を頭金として直接売り主に支払うことにして、しかもその頭金を、売り主に頼んで1年間の12回の分割払いにしてもらったことは、妻の才覚でしたし、そしてその後、モグリに近いような、超格安のリフォーム業者を探し出して(どこでどうやって、そんな超格安な怪しい業者を探し出したのかわかりませんが、妻にはそういう変な才能もあるのです。笑)、全員が買うのを反対したほど、古くて汚なかったマンションを、妻の母親・妹・伯母さん・兄嫁の、全員が目を三角にして、口をあんぐり開けてしまうほど、素晴らしい「鍼灸とヨガのセンター」に変身させてしまった妻の功績は本当に大きかったと思います。

 

おかげで、僕がスペインに行った時には、鍼灸開業のための物だけを揃えれば良かったので、ほぼ1ヶ月でスピード開業することが出来ました。

 

もしも妻に「超安値の古くて汚くて誰も買わないようなマンションを買って、それを超安値で全リフォームする才覚」というものがなかったならば、頭金を貯金してから物件を買わなくてはならなかったので、もしそうなっていたら、開業までにだいぶ時間がかかったと思います。

 

妻から「やっとヨガと鍼灸のセンターが完成したから、いつでもこっちに来ていいわよ。」と連絡をもらった時、僕はまだ宇都宮に新しいビジネスホテルを建設して、オープンさせる仕事の途中だったので、すぐにスペインに行くことはできませんでした。

 

全てを終えて、成田から飛行機に乗って、パリに行き、そこで待っていた妻と子供たちと、2年ぶりに再会して家族水入らずで、2泊3日の短いバカンスを楽しみ、そしてパリを出発して無事にスペインのイルンに入ったのが、1990年4月25日のことでした。

 

イルンに着いて、翌日には開業準備を開始したのですが、当時困ったことは、当時まだ鍼灸後進国だったスペインでは、鍼灸用品(鍼や艾その他)が手に入らなかったことでした。

 

当時ヨーロッパの中では、鍼灸先進国だった、フランスやドイツでは、鍼灸用品が販売されていたことを後で知りましたが、僕がスペインに行った時は、そういう知識も情報も持っていなかったので、最初の頃は、日本の友人に頼んで送ってもらっていました。

 

この時ほど「持つべきものは友だなぁ」と実感したことはありませんでした。

 

何しろ鍼灸師が、鍼と艾を持っていなければ、仕事になりません。

 

今ではスペインでも鍼灸が盛んになっているので(フランスやドイツ程ではありませんが)、全ての鍼灸用品はスペイン国内で買うことが出来ます。

 

鍼灸を職業とする僕にとっては、本当に便利で良い時代になったなぁと思います。(感慨無量です)

 

僕が妻の手伝いで、開業準備を開始した時、妻は僕の手伝いをしながら、同時に開業を近隣住民に知らせるための、宣伝チラシをすぐに作り始めました。

 

妻が考えた宣伝文句を聞かされたとき「よく平気で嘘がつけるもんだなぁ。嘘は絶対によくない。」と思ったので、妻に「嘘はよくないよ。」と言ったところ、妻は「あなたには良い宣伝文句を考える才能はゼロなんだから、全て私に任せていればいいのよ。」と言って、一蹴されてしまいました。

 

ちなみに、その時に出来上がった、宣伝チラシに書いた文句は次のようなものでした。

 

「イルンのみなさん!ついにここイルンの町に、日本から経験豊富な偉大な鍼灸師がやって来ました!どこに行っても治らなかったという人は、ぜひ来てください、、、」

 

穴があったら即入りたくなるような文句でした。(笑)

 

妻の神経は一体どうなっているんだと思いました。

 

当時の僕は、ビジネスホテルの総支配人の仕事をする前に、千葉県の松戸のクリニックで、2年くらいの臨床経験を積んだだけの、新米にちょっと毛が生えた程度の鍼灸師でしたから、当然のことながら、妻が考えた嘘の宣伝文句に猛反対しました。

 

僕「嘘はよくないよ。それに長い間病気に苦しんで来た人が、このチラシを見て希望を持って来て、それで治らなかったらどうするの?君はいいよ、治療するわけじゃないんだから。治療するのは僕なんだよ。責任があるんだよ。こんな嘘を書くのは絶対に嫌だよ。普通に''何月何日に鍼灸とヨガのセンターがオープンします‘’だけで十分だと思うよ。」

 

妻「普通の平凡な宣伝チラシを配って、人が来ると思うの? これくらいセンセーショナルな宣伝文句でちょうどいいのよ。だからあなたは何も考えないで、ただ来た人たちを治すことに専念してよ。」

 

ということで、いつものように押し切られて、この(穴があったら入りたくなるほど恥ずかしい)宣伝チラシが何千枚も各家庭に配られることになったのでした。

 

続きは次回のお楽しみに!

 

それではまた来週の金曜日にお会いしましょう!

 

みなさんお元気で!

 

スペインのイルンより心を込めて、、、

 

水谷孝