前回の続きです…と言っても児玉語録に書かれていたことをそのまま転載します。



3連覇


「水谷、単複2冠の三連覇おめでとう。
新聞紙上では「風格」「貫禄」とかの言葉が踊ったが、
本人にとっては苦しい内容だったと思う。
「すべての選手が、自分の苦手なところにボールを集めてくる。
全日本で勝つのは、本当に難しいと年々感じる」(朝日新聞)
「早くも若手から追われる立場になったが、

(伸び盛りの相手だから)こちらから仕掛けないと押される」と

常に攻撃を心掛けたという(日本経済新聞)


私も、大会2日前に、大試合に臨む基本的な考え方をチェックすることを
アドバイスするメモを渡した。
だが、特にシングルスの初戦では、想像以上の固さがあり、驚いた。
しかし、勝ち進むにつれ、徐々に動きが良くなってきて、
決勝戦の直前には、フットワークを交えた集中力の高い練習をしていたので、
これなら「必ず勝つだろう」と確信できた。


「落ち着いて得点、失点を振り返り、


作戦をどんどん変えられた」(読売新聞)

成功する人は、成功することを信じて疑わなかった人です。」


4連覇


「水谷隼選手、全日本単複4連覇おめでとう。
今回は、ドローが決まった時から、水谷のシード側に強豪が集まり、
かなり厳しい組合せとなった。そのために、却って気持ちが引き締まり、
精神的にも充実した準備が出来たのではないかと思う。

正月元旦の明大合宿所でのミーティングでも、

水谷の醸し出す雰囲気はいつもと違っていた。

オーラを感じた私は、「水谷は今年も勝つ」と確信できた。

それにしても、周囲からの期待と4連覇の実現に向けた不安と

プレッシャーによく耐え、勝ち抜いた。
特に、準決勝 張一博選手との試合は、

お互いに死力を尽くした素晴らしい内容だった。
5ゲーム目の7-9、あと2点で敗退という場面で、

タイムアウトを取り、気持ちを切り替えて、
思い切った攻撃が出来たという事は、

すごい精神力で賞賛に値する。本当に素晴らしかった。


張選手も、この試合が彼の卓球人生の中でも
最高の部類に入る内容の出来だったのではないだろうか。
「このような試合は、永久に終わってほしくない」と思えるような、

卓球の醍醐味を味合わせて貰い、

観る人に感動を与えてくれた事に感謝したいと思う。

両選手に心から拍手を送りたい。」


5連覇


 水谷隼選手、全日本5連覇おめでとう。

 昨年12月に行なわれた、プロツアーグランドファイナルで優勝し、
世界ランクも7位となった。周りからは『水谷の優勝は間違いないだろう』
と思われ、また多くの人から、「新記録の5連覇、期待してるよ」と言われ、
かなりのプレッシャーがあったと思うが、
それらを全て跳ね除け、前人未到の大記録を成し遂げた。


今大会では、「相手につけ入るスキを与えるな。どんな選手と当たっても、
自信を持ち過ぎて受け身になるな。1ゲームから圧倒的に攻めて、
『やはり水谷選手には敵わない』と思わせてしまうことが大事だ。
勝つときは、ぶっち切りで勝とう・・・・・・・
この1点だけをアドバイスしたかった」という話を、1週間程前にした。
勿論、水谷選手本人も高山監督もそのつもりでいたので、
3人の間で再確認が出来たのである。


【読売新聞】 水谷5連覇 「ダブルス敗戦で闘志に火」
水谷にとっては、技術以上に、精神面が充実した一年だった。
「卓球で大事なのは、自信なんです」胸を張って言い切る。
相手の駆け引きに勝つため、心理学の勉強も始めた。
体力面、体調管理の面でも、怠りがない。
世界での地位も、着実に上げている。「世界」を感じさせる強さを持つ21歳。
水谷を本気にさせる、国内のライバルがもっと欲しい。


【朝日新聞】 水谷圧巻、史上初の5連覇 「思っている以上に、自分は強いのかも」
男子史上初となる5連覇へ。「ここでできなかったら、一生できない」と奮い立った。
正月も休まない。筋力トレーニングは、誰よりもこなした。
外出時は、マスクをし、手洗いやうがいを慣行。
「最高の準備で、すきをなくした」 不安、重圧はあった。
世界ランク7位のプライドが支えた。


【日本経済新聞】 水谷男子初V5 「全試合圧倒・成長見せつける」 
「世界と勝負」力強く
「周りが、僕の優勝をだれも疑っていなかったので、出来るだけ簡単に
優勝したかった」と言ってのけた。
日本代表の宮崎監督は、
「若手を引っ張っている水谷だが、その彼が一番成長度合いも大きい。
磐石の力を十分に見せてくれた。心強い日本のエースになってきた」
と評価した。5月の世界選手権(オランダ)では、「これまでで最高の
成績が出せると思う」と約束した。


【毎日新聞】 水谷5連覇 「バック完成 見つめる先に世界の頂点」
「勝ちに行くというより、(相手の挑戦を)はねのけたという気持ちが強い」
それほど圧巻の強さだった。「最高の準備をしてきた」と言う。
昨年の4連覇以降、海外の選手から、弱点として狙われてきたバックバンドを、
徹底的に磨いてきた。
「世界選手権では、最高の成績が出せる気がする。もう一つ壁を越えたい」
日本卓球界の若きエースの目は、世界の頂点を視野に捉えている。


優勝インタビューで、水谷選手がプレッシャーから解き放たれたように、
語った言葉は、「連覇した過去4年間より、さらに練習したし、誰よりも
努力してきた。だから優勝できた」
そして、「僕は僕が思っているよりも、強いかもしれない」と言い切った。
誰がどれだけ練習したかなど、知るはずも比べようもないはずなのに、
こう言い切れることに、この一年間の精進と精神面での充実さを
窺い知ることが出来た。つまり、本来「日本一を決める大会では、
日本一練習した者が必ず勝利する」ということを
肝に銘ずるべきだと。

彼はそれを実践しただけだ、と言いたかったのだろう。


武道ではよく「自分に勝て」と言われるが、勝負はたとえ相手が誰であれ、
「自分との闘い」ということを戒めた言葉だ。
水谷選手は、5年分のプレッシャーをものともせず、自分に勝ち切った。

自分にとって苦手なことでも、やらなければならないと思って習慣にすれば、
訓練の質も上がるし、面白くもなる。
そうなれば、どんどん意欲も高まってくるし、効率も良くなるものだ。



6回目


「水谷隼、全日本6度目の優勝おめでとう。
昨年の10月、彼と食事をしながら、いろいろ話し合ったとき、
彼はその中で、「今度の全日本は絶対にリベンジします」と決意を語った。

私は常に、「言葉には力がある」と強調しているが、
彼はそのことを全日本の大舞台で実証してくれたのである。

もう一度強調しておきます。
「強い言葉からは、強い結果が得られる」
「明るい言葉からは、明るい結果が得られる」
「言葉は意識を変え、意識は行動を変え、行動は結果を変える」
このことは頭で理解するだけではなく、腹に落とし込み、心で納得しよう。」



世界選手権後


男子が、初戦でギリシヤに負けた翌朝、倉嶋監督に電話をし、
水谷選手には、次のようなメールを送った。
「お早う!隼も本調子ではないけど、しっかりと責任を果たして、
完全に実力が付いてきたと思う。他の二人は心の問題、
ここは開き直って気持ちを切り替えること!それには笑い飛ばすこと。
ドーパミンが出て体中にエネルギーが充満します。選手のリーダーとして明るく笑顔で、
みんなを引っ張って行って下さい!期待しています!」

水谷選手の返信
「おはようございます。前回、前々回と予選で一敗してからのメダル獲得だったので、
再現してみせます。ご連絡ありがとうございます。」

倉嶋監督
「わざわざご連絡ありがとうございます。お心遣いに本当に感謝しております。
昨晩のミーティングで最後の瞬間まで、決して諦めないこと、
あと少しの勇気と思い切りがプレーに必要だということを話し、チームを再出発させます。
開き直って、今日からまた、ひとつひとつ頑張ります。ありがとうございました。」

このように二人からの返信を貰い、
日本は必ず立ち直り、結果を出してくれることを確信した。

水谷が大黒柱としてその重責を全うし、内容も良かった。
特にドイツ戦オフチャロフとの一戦はすばらしかった。明らかに実力が付いてきたと思う。
他の選手は技術の問題ではなく、
心・体のレベルが低く、特に心の強化が急務である・・・と感じた。

卓球競技は、昔から80%以上精神力の勝負だと言われている。
私は、大事な試合の前には、いつも紙に書いて選手に伝えている。

リードしたら、勢いに乗って、それ以上に思い切れ!
苦しいとき、負けているときは、開き直って思い切れ!
どんなことがあっても、“もうだめだ”と思うな
まだ、「プラスαの力」が残っていると思え!
“気力”と“執念”が相手より優っていれば、必ず「勝利の女神」が
微笑んでくれる・・・これは真理だ!etc
今回の日本チームに、これらのことを照らし合わせてみても、
大きな教訓とドラマがあったと思う。


メンタルの強化、バックハンドの強化を何年も前に意識していることが分かる。

今では普通に使えるYGサービスも、勝負どころで使えるようになるまで3年かかったし継続してやり続けることが大事だと思う。



おやすみ//