北海道の旭川市で2021年3月、いじめを受けていた中学校2年生の女子生徒が自殺した事件で、市の再調査委員会(尾木直樹委員長)は、「いじめがなければ自殺は起こらなかった」という調査結果を公表しました。

 

この事件は、女子生徒が2019年にいじめの被害にあったことから端を発し、女子生徒が自殺を図った後、他校に転校。その後もいじめの疑いがあったものの、市教委はそれ以上の調査をせず、2021年3月に女子生徒が凍死体で発見されました。いじめの重大事態にあたるとして、市の総合教育会議(市長+教委の会議)が市教委に調査を求め、市教委が組織した第三者委員会は「いじめとの因果関係は不明」と結論付けました。納得しない遺族側が再調査を求め、上記のような調査結果が判明したのです。

 

再調査委員会は、医学的心理学的見地からの調査はもとより、SNSの膨大な投稿を精査するなど、時間はかかりましたが、非常に丁寧な調査を行い、いじめとの因果関係を明らかにしました。自殺から実に3年間、再調査委員会の緻密な調査には敬意を表しますが、それまでの市教委や学校の報告や調査は一体何だったのか、疑問が残ります。

 

↑日本テレビの放映

 

【参考】

文部科学省が示した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(2017年)では、次のように記述があります。

○ 学校の設置者及び学校は、いじめを受けた児童生徒やその保護者(以下「被害児童 生徒・保護者」という。)のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たること。

 ○ 学校の設置者及び学校として、自らの対応にたとえ不都合なことがあったとしても、 全てを明らかにして自らの対応を真摯に見つめ直し、被害児童生徒・保護者に対して調査の結果について適切に説明を行うこと。