先日まで3回に渡って全国学力調査をテーマに書いてきましたが、今日OECD(経済協力開発機構)の国際学習到達度調査(PISA調査)の結果が発表されました。2012年の65カ国・地域の15歳51万人が対象となった調査で、日本は6400人が参加しています。
 
今回は、日本の平均点の順位が上がり、PISA型学力の向上が明らかになったということで、新聞やテレビで大きく取り上げています。2003年の「PISAショック」(トップクラスだった日本の平均点の順位が下降した)から約10年。学力の回復は、ひとえに学校・先生方をはじめとする教育関係者の地道な努力の結果だと思います。もちろん、毎年の全国学力調査の影響は非常に大きかったと思います。このあたりのことは先に送らせていただいて、まずは今回2012年のPISA調査の結果を整理しておきましょう。
 
文部科学省の国立教育政策研究所が発表しているPISA調査の結果を見てみましょう。これによると、日本の順位は、数学的リテラシー(数学の知識とその利用能力)は前回2009年の9位から7位、読解力は8位から2位、科学的リテラシーは5位から4位に上がりました。また、それぞれの平均得点は2003年以降で最高点だっとということです。また、OECD加盟国34カ国の中で比較すると、日本は数学2位(1位は韓国)、読解1位、科学1位でした。国際的にみて、かなりの上位に位置していることがわかります。
 
また、今回は数学に関する「質問紙調査」に重点が置かれたとのことですが、「数学への興味・関心」について肯定的な答えが増加したということで、学習への興味・関心が以前より高まっていると考えられるようです。ただ、一方で、「数学の本を読むのが好き」という項目については、肯定した答えは17%で、全体の平均30%を下回っているということです。
 
それから、子どもを取り巻くインターネットと学力の関係については、平日に30分から1時間利用する生徒の得点が一番高く、利用しない生徒と1日に6時間以上利用する生徒の得点が特に低い、という結果が出ました。(これは調査せずとも、何となくわかる結果ですね。)
 
最後に、参考までに他国の状況も見てみましょう。まず、数学・読解・科学の上位3カ国・地域は共通で、上海・シンガポール・香港です。また、日本がすぐれた教育モデルとして学んできたフィンランドは、数学12位・読解6位・科学5位で、前回の6位・3位・2位から下降しました。韓国は5位・5位・7位。アメリカは36位・24位・28位です。各部門の最下位は・・・、これはやめておきましょう。
 
2003年の調査参加国・参加地域は41で、前回2009年・今回2012年は65カ国です。国や地域の増加により、それだけ注目度は上がってきていると予想できます。