手わざニッポン | 装飾工房『瑞緒 mizuo』よかよかブログ

装飾工房『瑞緒 mizuo』よかよかブログ

螺鈿細工、漆芸品、装飾品、工芸品を制作する福岡の工房。
日々の作業の様子、体験談などをご紹介します。

最近、不況のニュースが流れる中で、各メディアでは、「日本の技術力を見直し、新たな活路を見出すべきだ」という論調が目立つ。「確かにその通り!」と思う。何と言っても、わが国は技術立国である。手仕事を大事にしてきたお国柄で、今日まで世界の中でその存在価値を高めてきた最大の理由は、技術力を育んで来た民の意識と行動の結果である、と思うわけだ。

1980年代、私がまだ中学・高校生だったころ、アメリカ社会では既に企業買収や投資による利益追求が進んでいたのを覚えている。お金を回すことでさらにお金を儲けるシステムが開発され、もてはやされた訳だが、「良いものづくりを忘れた国は、今に痛い目にあうぞ」と若輩ながら思っていたら、それから数年間、アメリカは経済不況に陥ってしまった。しかし、今度は日本がバブル崩壊でアメリカに追随。

現代社会は、今回の不況によって、もう一度原点に立ち戻る機会を得たのではないか。虚構を廃し、実質に目覚めるべきだと思う。日本は、からくり人形を作っていた時代から、教育と技術力で時代を乗り切ってきた。その流れを大事にして後世につなげないと、この国の未来は暗い。私も「ものづくり」の端くれだが、まだまだ至らない所こそあれ、その一助になるよう努力と行動を惜しまず頑張らねば、と最近よく考える。

日本ができることはたくさんあるはず。エコ産業などは、既に世界のトップレベルなのだから、世界をリードして行って欲しいと、関係筋の方々には切に願う。「過大な発展」は「過ぎたるは及ばざるが如し」という結果を招くと考えられる時代だ。リサイクルや無毒化システム、太陽光発電などを日本の技術力でさらに進めることが出来れば、世界中で喜ばれるだろう。「手わざニッポン」が世界の中で最大限に生かされ、脚光を浴びる日が来ますように。