第11回歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議が、5月25日に文部科学省の会議室で開催されましたので傍聴に行ってきました。

歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議では、本年1月に「第1次報告~確かな臨床能力を備えた歯科医師養成方策~」をとりまとめ提言をしていました。

1.歯科医師として必要な臨床能力の確保

2.優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施

3.歯科医師の社会的需要を見据えた優れた入学者の確保

4.未来の歯科医療を拓く研究者の養成

この提言に基づきフォロ-アップ小委員会が設置され、大学における歯学教育の状況を分析するためヒアリング・現地調査を行ってきました。その結果をまとめた報告がありました。

<全体的な取り組み状況について>

第1次報告の提言を踏まえた改善の取り組みに着手されていることはうかがえたが、質の高い歯科医師を養成する観点から、現状の教育課程に改善が必要な歯科大学・歯学部も散見され、教育内容の改善や入学定員の見直し、優れて入学者の確保などの検討を望みたい。

<フォローアップで見られた課題について>

(1)診療参加型臨床実習の改善・充実、到達目標の設定、臨床能力評価の状況

臨床実習の遂行に必要な大学病院の患者数が明らかに不足しているごく少数の大学を除けば、多くの大学で最小限の患者数を確保できている。しかし、患者数は確保できている場合でも、大学の取り組み姿勢によっては、臨床実習中の学生が、十分な経験を積むことができず、ひいては十分な臨床能力を身につけることができていない例も見られた。また、臨床実習中の学生が、十分な経験を積むことができるような大学においても到達目標の定、臨床実習中又は臨床実習終了後の臨床能力の評価方法が不十分な例が見られた。

(2)留年者等に対するサポートの実効性

留年等成績不振者に対し、モチベーションを維持するための授業内容や個別指導などの工夫は見られるものの留年者数や国家試験合格率の状況の改善に結びついていない例が見られた。

(3)優れた入学者の確保

競争率が限りなく1倍に近づくなど入学者選抜が機能していないと思われる例が見られた。

(4)定期試験問題および答案

出題形式が一部、単純想起型や多肢選択式となっており、学生に考えさせる問題なっていないケースが見られた。また、定期試験の答案や得点分布から学力不振者が多いと思われる例があった。

(5)研究者養成

将来の研究者養成に資するための学部教育における研究マインドの養成については、研究室配属などを行っていても必修でなく希望者のみが配属することとなっており、実際の配属者がごく少数にとどまっている例が見られた。

<今後の取り組みについて>

23年度入学者選抜の結果及び歯科医師国家試験の結果等を踏まえながら、必要と判断した歯科大学・歯学部に対して書面調査、ヒアリング、実地調査を活用してフォローアップを実施する。診療参加型の臨床実習定義については、歯学関係者間でも必ずしも共通理解がされていない状況であった。この状況を改善するため、我が国の歯学部が目指すべき診療参加型実習の定義のあり方について議論すべきである。

以上のような所感の報告がありました。


多くの歯科大学・歯学部が厳しい指摘を受けていました。歯科医師過剰の中、需給調整の入学定員の問題もありますが、各大学で画一的な歯科医師の養成ではなく、個性的な特徴のある歯学部作りを行い、魅力アップも必要ではないか思いました。