「おう、ちょっとお邪魔するぜぃ」
ビシッと開かれた入り口の戸から
ズカズカ、のしのし現れたのは
歳は60がらみ、頭は少し禿げ上がり
眉間に深いシワを寄せて
厳しい目つきを、横目に狡猾な
笑みを浮かべた
和装姿の、いかにもな老人
そして、図々しく
入り口に近い客席に
足を投げ出して
どっかと、座る
そして、若い衆と思われる
異常に痩せて白いズボンに
派手シャツ
また、かっちりすぎるほど
頭にポマートを塗り付け
金の目立つネックレスをした
これまた、いかにもな人物も
奥の席に座り
驚いて立ち上がった
別の人が食べていたそばを
なんとずるずると勝手にすすり始めた
(しかし、一同怖ーいお人に気が向いて、誰も気づかない)(のをいいことに、蕎麦を食べ続けている、いったいこの人は何をしに来たのだろう??)
一同みな、恐怖から立ち上がって
自然ににぃねえちゃんの後ろに
隠れるように逃げた