　本来あるべき姿が変形してしまうというのは、あまり好ましいことじゃありません。それが致命的ではないにせよ、不便でしょうがないからです。
　わたしも加齢に伴って指が少し曲がってきました。へパーデン結節というやつですね。まだ強い痛みを伴うほどではないんですが、どうにも情けないです。

　植物にもそういう変形は珍しくありません。本来変形するのがならいならば、それは変形とは言わないわけで。何かに「変形させられる」わけです。
　で、変形してしまった枝は通常の枝葉を見慣れている我々の目に非常に奇異に映ります。

「なんじゃこりゃ？」

クヌギハナカイメンフシ

イスノキハタマフシ

エノキハトガリタマフシ

ケヤキハフクレフシ

ヌルデハイボケフシ

サクラハチヂミフシ

エゴノキハヒラタマルフシ

　見るだけで寒いぼが立ちそうな変形ですが、全て虫こぶです。植物の芽や新梢、新葉に取り付いて組織を変形させ、その中に住み着いてしまう虫たちの仕業。タマバチ、タマバエ、アブラムシ類、フシダニなどがこういう変形を生じさせます。植物にとってはメリットがないと思うんですが、枯れてしまうこともないので、まあ……しょうがないのでしょう。（笑

　虫たちにとっては変形した植物組織の内部が隠れ家と食堂になるのでとても快適だと思いますが、我々が鑑賞する上では決して歓迎できません。

ツツジもち病

　同じ変形でもこちらは菌類による病気。防除するにこしたことはありません。

　これは虫こぶではないんですが。シオジの葉が変形してぐちゃぐちゃに丸まっていました。原因なしでこうなることはないはず。丸まった中を覗き込むと……。

　いますねえ。アブラムシというにはとんでもなくでかいやつが。(^^;;

　北方では珍しくないんですが、トドノネオオワタムシ。いわゆる雪虫じゃないかと。本来の分布域から外れているので近縁他種かもしれませんが、トドマツとトネリコ類の間を季節によって乗り換えるアブラムシです。シオジもトネリコの仲間なのでひどくやられたのでしょう。このアブラムシがたかると、新葉がきれいに展開せず、ひどく屈曲、変形します。

◇　◇　◇

　虫や病気による変形は珍しいことではなく、恒常的に見られます。それが全体ではなく一部の変形で済んでいるから、歪められる植物も生き延びてこられたのでしょう。
　これが環境の異変による変形だとすれば、そこに棲める植物は最終的になくなります。今後そういう事態が起こらないことを、心から祈りたいと思います。

　身体と心の歪みは
　　時として連動することがある
　どちらも歪まないのが一番理想だけれど
　　なかなかそうはいかない
　ならば一方の歪みが他方まで歪ませてしまうのは
　　どうしても避けたい

Deformation　by 富樫雅彦

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