「俺たちだってしっかり紅葉してるのによ。だあれも見てくれん」
「その他大勢ってのは、めっちゃ損だよなあ」

　……という陰の声が聞こえたからではないんですが、定番の木以外の葉もひっそり色づいていたので、ご紹介。(^^)

　ヒメシャラです。
　幹も枝も細く、葉も小さめ。花は美しいんですが、あまり主張するタイプの木ではありません。どちらかと言えば地味。でも、紅葉は美しいんですよ。その割に着目度が低いのは、木のサイズが中途半端で普段から『その他大勢』の位置付けだからでしょう。(^^;;

　画像の木も上はケヤキに押さえられ、下にシラキの紅蓮の炎。俺も目一杯がんばってるのになあとぼやきが聞こえてきそうです。

　ヒメシャラ以上に地味なのがアズキナシの黄葉。本来なら、もっと黄金色に輝くんですが、先ほどのヒメシャラ同様に上にケヤキの蓋がどかんと乗っているので日当たりが今いち。日陰の葉は、あまりきれいに色づかないんですよね。

　俺はもっとゴージャスなのにと不満顔ですが、黄色から最後は茶色に枯れ込んでしまいますからねえ。

　葉が大きくて存在感たっぷりのトチノキですが、紅葉はまるでだめです。ご覧のありさまで、とても鑑賞できる色合いではありません。

　でも、葉が大きいですから、落ち方も豪胆。ばっさばっさと音を立てて落ちます。色よりも、動きを楽しむ木なのかもしれません。

　ユリノキは、その年々で紅葉の美しさが変わります。条件のいい年には緑、黄、橙、赤、茶と様々な色のコントラストの妙を楽しむことができるんですが……。今年は夏の猛暑の影響か全体にくすんだ感じになってしまいました。

　え？　それはあんたの撮影の腕が悪いからだろって？　もちろんです！　えへん！（←困った時には、とりあえずいばるやつ（笑））

　これはこれで美しいのかなあ。枯れ草色になってしまったモミジバフウ。本来であれば、先ほどのユリノキ同様に赤や紫などが混じったとてもカラフルな紅葉を見せてくれるのですが、夏の乾燥で葉のダメージが大きかったのでしょう。色が変わるというよりも、枯れ果てたという見てくれになってしまいました。

　まあ、こういう時もあると開き直るしかありません。

◇　◇　◇

　落葉樹は、大なり小なり落葉前に葉の色を変えます。変化した色が美しいかどうかは、植物には意味がありません。本家とその他大勢を分けるのは、あくまでも人間側の都合なんだよなあと。

　今はただの裸木になってしまった木々の梢を見上げながら、そんなことをぶつぶつ呟いています。

　掃いても掃いても減らない落ち葉の山
　　てっぺんに芋を置いてみる

The Other POV　by Khloe Rose

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そのたおおぜい