下見に行く当日の朝。
なんとな〜く予約を入れたアパートが気に入らない予感に襲われ、未練たらしくポチポチとスマホで部屋探しを続けていると。
とあるお部屋が何故か輝いて見えたんですよね。
でも、駅から遠い!(15分以内で探してはいるけど、できれば10分以内の方がそりゃいいわけで。そこは13分表記にはなっているけど、実際歩くと15分は軽くかかりそう…)
家賃が高い!(ギリギリ予算内だけど、かなり苦しいギリギリだから、安い方がありがたい…)
う〜ん、どうしよう…あ、もう出かける時間!
と、特にチェックをせずに慌てて家を出て不動産屋さんへ。
そこでやはりあの部屋が気になるので、聞いてみることに。
「あの、今朝サイトで見つけたばっかりなんですけど。〇〇町△丁目の物件で、こんな感じのアパートで…ええと慌てていたのでチェックしてなかったんですけど。確かこちらのお店でも扱っていたような…こんな特長で…」
と輝いて見えた部屋の話をすると。お店の端末で探してくれ、「あ、これですか?」
それは間違いなく、あの部屋

「それです!そこ、今日見れますか?!」
「ちょっと待ってください、オーナーさんに聞いてみますね…」と電話。
どうもやり取りから、今日は他に二件ほど下見の予約が入ってるらしかった。
電話を置くとお兄さんは「見れるみたいだから、ここもご案内しますね」としか言わない。
うーん、そんなのんびりしてていいのか?
先に下見した人が申し込んじゃったら?
焦った私は「できれば先にこちらを見せてもらえませんか?!」とお願いしてみる。
お兄さんは「別にいいですよ。」とあっさり言ってくれたので、まずそちらから行くことに。
アパートの駐車場に到着すると、お兄さんが「あ、どうも〜」と頭を下げる女性が。
訳の分からないまま、とりあえずこちらもペコリと頭を下げる。
その人はすぐどこかにいなくなり、とにもかくも私達はお部屋へ。
実際に見てみると、そこは部屋がキレイなだけじゃなくて、日当たりも風通しも見晴らしも良い。
料理がしやすそうなキッチンに、たっぷりの収納。部屋の窓からは緑もちゃんと見える。
それに何だか部屋が温かい気がする。もちろん物理的な気温のことじゃなく、温かな空気で包んでくれるような、そんな感覚。
とても気に入ったけど…でも、やっぱり家賃と駅からの距離が難点ではある…
とにかくもう一件見て、それから考えよう。
そう思ってお兄さんと車に乗りかけた時。
先ほどお辞儀をした女性がまた現れ、お兄さんを手招きする。そして何やら二人でお話し。
お兄さんは車に戻って来ると「実はあの方オーナーさんなんですけど…お忙しい方で普段はなかなか会えないんですけど…今よかったら少しお話ししてみたい、とのことで、どうしますか?」
へっ?!いきなり、お話し、って何?!
とパニックになりながらも、ああそうか、一種の入居審査なのかな、じゃあ行かねば、などと判断し、オーナーさんの元へ。
オーナーさんは優しそうな素敵な方だったけど、
こちらは緊張しているので、思いっきり猫をかぶりながら、思いっきり不自然な引きつり笑いをして、しどろもどろ。
何を話したのかあまり覚えてないけど、こちらのことは何も聞かれなかった。
ここは良い所ですよ、とかそんなことを仰ってた位。そして最後に「入ってもらえたら嬉しいけど、まだ他のお部屋も見に行かれるのよね。それからゆっくり決めてくださいね。では仕事に行くのでこれで」と去って行かれた。
お兄さんと次のアパートに向かったけど、そこはネットの写真で見るより暗く、何だか湿気が籠っていた。
見終わった後、お兄さんに「どうしますか?」と聞かれ、しばし考える。
「正直、最初に見たお部屋の方がやっぱり気になりますが…家賃が高いのと、えき」
「あ、あそこ家賃下がったばっかりなんですよ〜。ネットに載ってた〇万円じゃなくて、△万×千円ですね」
家賃が下がったばかりの上に、オーナーさんにも偶然会えた。しかもオーナーさんに「入ってもらえたら嬉しい」と言って貰えた。これはあの部屋とご縁がある

そう思った瞬間、頭の中にあの家具はあそこに置いて、台所にはあの家具を置いて、と部屋のシミュレーションがグルグルと浮かび…
それに気付いた時、なんだ、もう本心では決めてたんじゃないか、と理解し。
「あの部屋に決めました!」と伝えると、お兄さんの方が一瞬驚いていましたが、すぐに
「うん、そういうもんですよ。部屋を決める時って。そして案外その方がよかったりするんですよね。」
と言ってくれた。
早速お店に戻り、申し込み。
今回は前回より遥かに早く新しい部屋を決めることができました

つづく