• 16 Jan
    • フォトブックで作品集はフレキシブルに 続きです。

      ↑前回の記事です。前回の記事ではTOLOTさんのフォトブックについてご説明しましたが、今度はsarahさんのフォトブックについて、少しご説明します。こちらはA5版で作りました。小さいスクエア版もあります。版形はTOLOTさんより一回り大きめの展開です。こちらは本文46ページ。他に薄めの24ページと厚めの96ページがあります。表紙は写真がかなり大きく入ります。フルカラーでないともったいないのですがそんなわけでもう季節外れのイラストが。表紙はカバーなんですよね。中身(笑)TOLOTさんより紙は薄くて同人誌に近い感じです。そう、フォトブックは左綴じ。普段の漫画の同人誌とは逆になります。ガチで漫画を載せようと思うときは工夫した方がいいなと。まあ、やりませんけど。フルカラーイラストも相性とか画像が良ければこうして一頁一枚できれいに出ます。これ、私がアナログイラストをスマホのカメラなんかで撮影したものを加工しているので向き不向きが出るだけで決してsarahさんが悪いわけではないのです。キャプションが入るのも書体が選べるのもノンブルが入るのも嬉しい仕様です。一頁に画像は四枚まで入ります。ラフ、線画、完成品と並べて載せることも出来ます。一頁に関連のあるイラストをまとめたり。コマを割るようにストーリーを見せたり出来ます。前回、汚れた画像は小さくすることで解消出来そうです。通常の写真の補正機能がこうしたイラストでは画面に汚れのようなものが出てしまうらしく、補正をオフにする機能を現在準備してくれているとのことで今後、かなりの改善が期待できます。奥付けです。裏表紙。背表紙にタイトルも入ります。カウントしたところフルカラーイラストは39枚モノクロは59枚が入っています。ヴァンパイア編が多めですがいつもの亮と美月もわりと入ってますね。こんな感じです。フォトブックで作品集、長々とご案内して来ましたがこれにてご案内を終了します。ご購入にはコメント欄やTwitterのリプライで一声かけてくださいね。

      NEW!

      9
      テーマ:
    • フォトブックで作品集はフレキシブルに。

      さて。フォトブックで作品集をつくる試みですが↓こんないきさつでsarahさんでのフォトブックも画面が汚れる原因から、こちらで出来る予防策構成からの抜本的な対策も見えてきましてかなりいい状態に持ってくることが出来ました。今のところ、作品集を「欲しい」「気になります」と反応下さっているかたが数人。だからもう、個別にお話をして選んでいただくようにします。なのでTOLOTさんのフォトブックとsarahさんのフォトブックで画像がどんなもの何枚で版形とか厚みとか、なるべく手に取った雰囲気も伝わるようにご説明して選んでいただくようにしたいと思います。まず、TOLOTさんのフォトブックです。表紙がフルカラーでないのは単に私がこのイラストで作ったから。フォトブックですから、すべてをフルカラーに出来るんですが、あえてしていません。ハガキサイズのA6版。ビニールのカバーがついてきます。構成は書いてある通り、ヴァンパイア編が多め。gooブログでは鉛筆で描いたラフ絵をスマホで撮ってアプリで加工してアップしていたので原画はろくなものではないです。スマホの画像でフォトブックに落とし込むのが一応最善策なんですよね。コウモリ兄弟と亮、美月のお話とか漫画未満なエピソードを入れてあります。ぶっちゃけブログ見ればいいのかもしれないけど本というものの中にパッケージングされると雰囲気も変わっていいじゃないか。ね。こういうフルカラーでもないけどなんか色がついてるなー的なやつはアプリでいじったやつです。ずいぶんと前に描いた絵も入れてあります。背表紙あります。紙は厚みがあって、しっかりした本です。ページを開こうとするときにも紙の抵抗をほんのり感じたり感じなかったり。このQRコードはたぶんTOLOTさんのホームにでも飛ぶんだと思うんですけど、興味のある方は飛んでみて、くらいなかんじです。一頁に一枚の画像で本文62ページ中フルカラーページ34ページモノクロページ28ページで構成されてます。お値段は本が500円。送料はおまけにつけるものによるんですが、140円から250円の間です。次回の更新で、sarahさんのフォトブックの方の作品集のご案内をいたします。お楽しみに。

      3
      1
      テーマ:
  • 12 Jan
    • sarahさんからリプ届く( ´ ▽ ` )ノ

      こちらの記事をごらんになったそうでTwitterからご連絡をいただきました!sarah [サラ]プチプラフォトブック@cheetah_sarah@taku_ryow 突然失礼します!検索からきました、つながるフォトブックsarah[サラ]です。この度はご利用いただきありがとうございます!今回、ブログを拝見させていただきご連絡いたしました。画像に黒ずみやノイズが発生しているとのこと、申し訳ありません(続)2018年01月12日 10:00sarah [サラ]プチプラフォトブック@cheetah_sarah@taku_ryow データにないノイズが発生するのは、自動補正機能によるものと考えられます。ただ、再注文で同じ画像(=同じ処理)を利用したのに黒ずみが発生することは通常の工程ではないものと認識しておりますもしよろしければ品質改善のためお客様のデータで検証させていただいてもよろしいでしょうか(続)2018年01月12日 10:02sarah [サラ]プチプラフォトブック@cheetah_sarah@taku_ryow 検証し、補正機能を外すなどの対応をした上で、品質に明らかに改善が見られれば新しいものををお送りさせていただきます。ご検討のほどよろしくお願いいたします。もしよろしければDMにてご注文番号をお送りください。長文失礼いたしました..!2018年01月12日 10:02正直、ビックリしました。このあとDMでやりとりさせていただき詳しい状況をご説明して親切丁寧な対応をしてもらっています。元々イレギュラーな利用をしているので本当に申し訳なく大変ありがたいです。逆にいうと、これで改善できない場合はうちのスマホからの画像がsarahさんでフォトブックにしてもらえるに足るものではなかったということになるのでそれはこちらの不備!でしょう( ´ ▽ ` )ノ潔く身を引きます。てなわけで、フォトブック作品集の話はちょっと再検証で保留になります。結果をお楽しみに!(*≧з≦)

      15
      1
      テーマ:
  • 10 Jan
    • フォトブックで作品集その後

      こんにちは。新年を迎えて初めての更新です。昨年はカラーイラストをわりと(私にしては)たくさん描きました。美月と亮のヴァンパイア編も生まれてgooブログでちょっとしたラフ絵や小説での展開もしておりましてこれを一冊に出来ないかと試行錯誤していました。で。スマホの画像フォルダから入稿できるフォトブックでの実現を目指して試作品など躓きながら作ってまして。「sarah」と「TOLOT」でそれぞれの短所長所などを考えながら実際にオーダーして出来上がったフォトブックを見比べておりました。コミティアに持っていくかは分かりませんがTOLOTさんでお願いすることになりそうでA6版(ハガキサイズ)の64Pで作ります。64Pなんてすごいボリュームと思われるのですが1Pに画像1枚なんで、内容的にはそうでもないです。sarahの方は必ず1~2枚画像が黒ずみます。もともとイレギュラーな利用をしているし校正もないので一冊作っては汚くなった画像をスマホのアプリで処理し直してまたオーダーします。でもまた、他の画像が黒ずみます。一回目に問題なかった画像が同じものを送っているにも関わらず二回目には汚くなる、手の尽くしようがないです。一回目に汚くなった画像。写真では分かりづらいのですが。二回目、白く飛ばして入稿したら何とかなりました。一回目、問題なかった画像が。二回目、汚なくなってしまいました( ;´・ω・`)sarahは1Pに複数枚の画像が入れられてキャプションも文字数がたっぷり入れられるのがありがたいのですが、本当に残念です(。・´д`・。)TOLOTのフォトブックで作品集を作り画像はかなりダブってますがsarahの試作品フォトブックをおまけにするのも面白いかと思いました。TOLOTの作品集は実費500円をいただくことにいたしました。完成したら改めてご案内します。完全受注生産となりますので興味のある方は声かけて下さいね。

      14
      2
      1
      テーマ:
  • 31 Dec
    • 今年もお世話になりました。

      今年は去年より余計に本を出したりカラーイラストも描いたり手探りながらかなり多目の活動が出来ました。それもいつもいいねを下さったり、お声かけくださる皆さんのお気持ちを栄養にして出来たことだと実感しています。今年は本当にありがとうございました。来年からもよろしくお願い致します( ´ ▽ ` )ノ

      20
      2
      テーマ:
  • 29 Dec
    • フォトブックで作品集

      こんにちは。ど年末ですね。近場の温泉施設ででろっとしてます。Twitterやgooブログでも書きましたがフォトブックで作品集を作れないか試行錯誤しています。今年は秋のコミティアに卓上カレンダーや年賀状名刺タイプのカードなど私にしては極めて珍しいカラープリントグッズを展開した訳なんですが。もともとスマホしか使えない中でなにかカラープリントのグッズが作れないかと探していたのがきっかけです。同人誌を作る規格でもないしカラーイラストを表現する仕様でもないので、印刷の再現度的なものはどうにもしようがないんですけど。今、オンデマンドの印刷屋さんがかなり格安でフルカラー印刷をやってくれますが、殆どがデジタルデータでの入稿となっています。まあ、紙原稿での入稿もかなり違った色味で印刷されるのは承知の上なんで。もっとちゃんとやれば何とかなるんだろうけど。お絵かきソフトも扱えないのでまあ、今出来そうなものを(笑)sarahというサービスのフォトブック。こちらはこのフォトブックのみの展開で、これはA5版。もう少し小さいのもあった。フォトブックなんで左綴じ。ようするに横書きの綴じ方です。こちらの特徴は一頁に複数の画像が入れられるキャプションが二行に渡って書き込めるというところ。複数枚の画像のレイアウトは縦横の比率なのかおまかせでぶっ込まれます。でも上手く活かせれば漫画風に画面に並べることも。内容はカラーイラストからgooブログで載せてる鉛筆ラフのカットとかで構成してます。ハロウィンで出来上がったヴァンパイア編からいつもの亮と美月を詰め合わせ。カラーイラストの色の再現は少し暗くなる感じ。スマホから送った画像が粗いのか暗いのか少し汚く出てしまうところもあって色々要検討。こっちが卓上カレンダーや年賀状をお願いしたTOLOTさんのフォトブック。こちら小さいサイズです。色味がsarahより明るく出る気がします。こちらは一頁に一枚の画像。キャプションも入れられるけど画像を切られるのでなるべく入れたくなかったです。そんなこんなで来年始めにでもこんなんできました~とご案内させていただきます。sarahの方は44ページくらい?で550円TOLOTの方は64ページくらい?で500円画像の点数としては同じくらいかな。一冊からの受注が可能なので完全受注生産でやります。もし興味もっていただけたら連絡下さい。次のコミティアは5月に出ますがこのフォトブックは別活動で進めます。よろしくお願いします(* ´ ▽ ` *)

      12
      3
      1
      テーマ:
  • 14 Dec
    • 個展に伺いました

      こちらのブログでもご紹介させていただいたことのある「はらだなおみさん」の個展が新宿のスコップカフェで開催中なんです。詳しくはこちらを。↑はらださんのブログです行ってきました!夕方の中途半端な時間に行ったので控えめにチャイを一杯美味しゅうございました。カフェ内撮影出来るのかお聞きしようかなと思いましたが実際に来ていただいた方がいいなと思ったので あえて写真は撮りませんでした。この日ははらださんご本人もお友達と来店されていて少しお話もさせていただきました。ラッキーでしたよ。隠れ家的なカフェの雰囲気とやさしくて淡い色調の水彩で描かれた少女たち暖かい飲み物でひと息ついてゆったりした気分になれることうけあいです。こちらでも冬の少女たちを堪能できます。スコップカフェさんで販売しています。コミティアにも出されると思いますが詳しくははらださんまでお尋ねください。缶バッヂもあります。さて、こちらは漫画家はらだなおみさんの作品が読めます。こういう4コマ誌は似たタイトルがあり分かんなくなりますがこの表紙です。ちらっ。給食を食べていたのは40年前なんだけど(中学はお弁当だった)いまだに懐かしいですね!

      24
      2
      テーマ:
    • オフ会に行きました(*≧з≦)

      突然で申し訳ないのですが先日開催されたムッキーさんちゃんこさんお食事会に行って参りました。最近なかなか東京に行かないもので緊張しました。今の世の中、Googleさんとかが色々ご指導下さるので何とか行き着けたのですが後から聞けば大変遠回りをしたようでなんだか情けなかったです( ´-ω-)ムッキーさんもちゃんこさんも大変にお綺麗で私がTwitterで呟いてた「ネオ叶姉妹」はお二人のことなのでございます。それなのにとても気さくに接して下さってババアは鼻の下びろーんでしたよ。一緒に写真も撮って下さって。でもその写真改めて見ますとね自分がどうにもだらしない顔で写っていまして。若い女の子にデレデレのおやじ。みたいなんですよね。その後ろにムッキーさんの旦那様Jさんが写り込んでいてなんかすごく申し訳ないキモチになった私。←それもどうか。写真をアップするわけに行かないから私が似顔絵を。と思ったんですが相原りょう(たく)@taku_ryow自分の画力の限界って案外低いとこにあった。うぬう。 https://t.co/WYTdyoV6es2017年12月14日 08:17あまりの自分の画力のなさにうちひしがれたのです。でも、描いた。描きましたッ!実はTwitterにアップした下描きをペン入れしたんですけど久々に失敗。またまたうちひしがれました。そこで開き直り、だいぶ自分のキャラクター的なものに寄せて、自然に描けるようにしました。で、描いてみたのがこれです。あー。なんかやっちゃった感たっぷり。お二人とももっとお綺麗です。似てないじゃないもう何やってんのたくったら!!( ノД`)…オフ会が始まり、まずはお二人への質問コーナー。お二人とも国際結婚をされ海外で暮らしてらっしゃるので質問もそんな事情をお聞きする質問からブロガーとしてのご苦労など色々な質問に淀みなく、楽しい回答を下さるお二人のMC力の高さに笑いながらも感じ入りました。じゃんけん大会(豪華景品有り)では希少な果物から、ブログネタになりそうなお品など参加者全員に行き渡るように用意されていましたじゃんけん弱いんで不安だったんですがここ数年のどん底運気を一掃するようなラッキーなものが当たりました!ほんと良かった(*´ω`*)ちなみに左肩が五十肩であげると痛いくせしてじゃんけん左手でしようとしたりして慌てて下ろしたりしてました( ´-ω-)今回はムッキーさんの旦那様Jさんも、とても心のこもったおもてなしをしてくださいました。何て言うかな、私ぜんぜん英語分かんないんです。でもブログで既に気持ちが通じているなぜそんな風に思うのかわからないけどすごく嬉しかったです。ついサンキューベリマッチって怪しいあいさつしながら握手してもらってしまいました。ちゃんぽんさんにも機会があればお目にかかってみたいです。で。最後にムッキーさん、ちゃんこさんからお土産をいただいてお開き。帰宅してから開けてみると。キター(* ´ ▽ ` *)ちゃんこさんのお茶!お店に並んでてもおかしくねえ。今日家事を終えてから淹れました。以前お茶会で初めていただいてすごくカンドーしたあのお花みたいなバニラっぽいいい香りだ!!それでいてさっぱりとした味わい。ちゃんこさんらしいお茶だなと思いました。そして、ムッキーさんのお土産。クッキー?ビスケット?いや、これに同梱されていたこれがすごい。takomal さんのフィギュアJさん!!すげえ!!事実箱開けて雄叫びました。ああ、カップ麺食べれない(*≧з≦)ジャンクフードをやめたい方は冷蔵庫に貼っておくとよろしいみたいなマグネット仕様!!本日のお茶の時間くまと牛のビスケット。手足の欠損が認められるも袋内から無事回収(* >ω<)美味しゅうございました。なんか今さらですが。リンクです。ムッキーさんのブログはこちらからちゃんこさんのブログはこちらからtakomalさんのブログはこちらからお二人とも美人なのにちっとも気取ってなくて旦那さんと仲良しだしブログも面白いのです。改めましてお疲れ様でした。一足早いクリスマスプレゼントをいただいたような1日でした(* ´ ▽ ` *)

      19
      テーマ:
  • 11 Dec
    • 年賀状の件

      今年もどんどん押し迫って参りましてここで改めましてお知らせです。こちらでお知らせしたか定かではないのですが年賀状のお話です。今回本当に珍しく年賀状をプリントしました。秋のコミティアでおまけにしたんですが、その年賀状で年明けのご挨拶をさせていただくことに致しました。こちらです。これが届きます。もし、こういう同人ぽいやつが届くと家のものの手前ヤバい、とかうち喪中なの、とかいや、もう君から挨拶とかいいから、とかこの年賀状は遠慮します、という方お早くご連絡ください。コメント欄いつも開けてありますので一言いただければありがたいです。この年賀状。本のおまけにしたので本を買ってくださった方に同じ年賀状でご挨拶をするのもなんだなと。幸いなことに(幸い?)ご住所いただいてる方の中で本を買ってくださった方がごく少数だったのでその少数の方々には手描きの年賀状でご挨拶しようと思いました。こんな。これはまだ描いてる最中ですがもうほとんど出来てます。今回はリクエストは伺わず勝手に描きましたよ。どれがどなたのところに行くかはお楽しみ(*´ω`*)ということになってます。今年はアメブロの活動がかなり緩やかになりましたがとりあえず絵は描いてますしTwitterで主に呟き、ラクガキを上げてます。gooブログでもマイペースでエッチありもエッチなしも更新してます。よろしかったら来年も覗きに来てもらえたらとても嬉しいです(*≧з≦)よい年の瀬をお迎えくださいね。

      14
      テーマ:
  • 07 Dec
    • 珍客にも程がある2

      「賞平くんは馬鹿だろう?」理科準備室で美月にこき下ろされている賞平。「そんなこと言ったって。」54歳ベテラン高校教師とも思えぬふて腐れて消え入るような情けない声を出している。「美雪ちゃんと仲直りするときはどうしてるわけ?」「それは。」賞平は夫婦で気まずい喧嘩をすればいつも以上に強引に夜の営みにもっていきいつも以上に激しく抱いてやるのだが今、そんなことまで言って美月が同意するとはとても思えなかったので止めておいた。「どうせ体で会話とか言うんだろうけど。」分かっているならへんな質問すんなよ!と突っ込みたいのをウズウズしながら堪えているがやはり黙っておいて正解だったと次の瞬間に賞平は思い知らされる。「もう少し早く言ってくれたらな。20年越しだなんて。もう関係修復不能だよ。」「仕方ないよ。どうせ俺が悪かったんだ。」「賞平くんが気まずいってレベルならそんなことはどうだっていいんだよ?努の心の傷になってるのが深刻なんだから。」「そ、そんなに深刻そうにゃしてなかったぜ?」「卓が言ってたよ?」卓が言うところの、20年振りの再会の後の努の反応だ。なんて?ねえ、なんて?(涙目)「ありのままを受け入れてくれてたなんてどうして勘違いしてたのか、自分が腹立たしい。」賞平は突っ伏した。ああ。完璧に誤解されてる。「俺は自慢じゃないが、卒業式にはわりとませた女生徒から告白されるんだ。」「。」美月はじっとりした横目で賞平を見る。「最初で最後でもいいから抱いて。なんてマジで何度も言われてきたんだ。」美月はふ、と鼻で嗤う。「そんなやつらに抱きつかせたこともねえしましてや、キスなんかさせたこと一度としてないんだぜ。」「でっ?」努には、何でか、近くでそんな匂いをさせてくると動けなくなった。そんな調子で何度か頬にキスされたんだ。初めは怖かった。ホモに体、落とされそうですごく怖かったんだよ。「何回か助け舟は出してやったじゃんか。」そうだ。美月のおかげである。努は賞平に屈託のない笑いを見せるようになり甘えてすり寄ってくるようになった。それを賞平は、佑樹の嫉妬の視線に焼かれつつ頭を撫でてやる余裕も出来たのだ。「だけど、あの時の努のキスは。」「感じちゃったんだ。」賞平が必死に濁そうとする肝心なあたりを美月が掬っていく。わざわざ大きな盆に取り分けて、裏表検分しているかのようだ。「ああ。そうだよ。抱きしめそうになったから大袈裟な身振りで離れた。」あの時は恥ずかしくて情けなくて別にあいつはそんなつもりじゃなかったろうにもう俺を誘惑するなよ!って大声で叫びそうだった。その気になるのは俺の勝手だし制御がきかなくなるのは恥ずべきことなのだから。「かわいかったんだよ。たまらなく。」もう何人もの男と経験して上手にしてくれそうだからってだけで最後に抱いてなんて言ってくる次の日からは女子高生ではなくなる性欲の塊の女なんかより努のキスは純粋で遥かに可愛かったのだ。「さて。この誤解を解くべきか。」美月はあまり顔色を変えずに呟いた。賞平はあんまり恥ずかしいので積極的に誤解を解いてほしいとも言えず自分が解くなんてとんでもないなと羞恥のお炊き上げの如く大きな炎に焼かれるままだった。「好きにしな。」「え。」予想に反して美月は完全に放り出した。俺、知ーらね。である。「言いたかったら言えばいい。全部素直に話せば努もわかってくれるよ。」多分、ね。と思わせ振りに付け足した美月。「美月は。どう思う?」「賞平くんと努のことだからね。」美月はさっさと教材を持って出ていってしまった。賞平は頭を抱える。誤解なんだ。俺は、嫌だったわけじゃない。いや、嫌じゃなかったことがすごくショックで。俺は生まれてこの方、恋愛対象に同性を入れたことはただの一度だってありゃしないんだ。それは分かってもらいたい。お前が女を恋愛対象に入れていないように俺は男を恋愛対象にはしていない。性的に興奮する対象にはしていない。俺には三年間学校に隠してまで愛し合ってきた愛しい女房がいるのだ。たかだか頬にキスされたくらいで自分で自分のコントロールが効かなくなりそうに昂るなんて、いや、昂りそうになるなんて女房への裏切りにだってなりかねない。あの時の狼狽えぶり、あの心臓鷲掴みの感覚が頼みもしないのに甦ってくる。「ああ。これ全部説明したら。完全に愛の告白だ。」だから、これは自分の胸のうち、まででなんとか消してしまいたいなんとか鎮めたいそんな感情だったのだ。いや。いまはそんなことない。断じて、ない。「そんなの。うそ。」美月はバータイムのローズマリーであっけらかんと全てをまるっと喋っていた。まあ、他の人には聞かれないように。明がいなかったので良かった。「恥ずかしいんだね。言わないと思う。」「でも、美月には言ったの。」「言わせちゃった。」美月にはそんなところがある。受け止めてくれる認めてくれるそう思うから、心の奥の気持ちまでこの女には話してしまう。「こわい女だね。」「癖になるでしょ?」美月も努も笑った。「許してやって。賞平くんはさ最後まで努も歩も大事にしてたんだから。」「分かってるけどさ。分かってたから、余計にショックだったんだから。」「でも、誤解だって分かって。どうよ?」美月は小首をかしげて努に訊いてくる。「男らしくない。小さいおとこ。」「大きい男なんて、実はそういないだろ?」「まあね。」「男なんて小さくって。可愛い。」「その通りだね。」努はそう言ってからぷすっと吹き出した。「どうしたの?」「いや、俺も男じゃない?なのに。」努はきっと、パートナーである佑樹を思い出している。美月には分かった。確かに小さいかもしれないけど。自分だけを見てくれて。暖かい彼を努はとても愛しく思っている。むしろ、小さいからこそ好きだ。自分の中に収まって、ぴょんぴょんとやきもちをやく彼が。好きだ。「亮さんは?小さいの?」努としては、亮のことは小さいとは思わない。夫婦としての亮を見ていても、美月を包んでいるのは亮の方だと思う。「あたしに合わせてくれるからね。」美月は何を思い出してか、くふんと笑う。「でも変に男を意識して意地張ってることがあるから、あそこらへんは小っちゃいと思う。」亮は美月をいつまでもか弱い女の子として男である自分が守ってやりたい。そんな愛し方をしたいだけなのだ。努にはよく分かったのだが、女って案外そんなところに気づいてあげないんだなと面白く思った。「今度は賞平くんと来てね。」「そうだね。そうする。」努は全部知らない振りでちゃんと賞平に接してやることにした。まあ、賞平は全部バレたと瞬時に理解するだろうけれど。

      11
      テーマ:
  • 06 Dec
    • 珍客にも程がある

      「嘘でしょ。」努は第一声『いらっしゃいませ』を客に目線を送らずに言い終えた。卓が明らかにその客に対応した気配がしたからである。今、言い終えてその客を確認したことに安堵をおぼえている。客に『いらっしゃいませ』を言い切ることなく絶句してしまうのは、あれきりにしたかった。「久しぶりだね、元気だった?」これは卓が客に言った挨拶だ。「ん。何とか、な。」客はまた素っ気ない返事で応じたが二人の間に店員と客以上のものが流れているのは声音で分かった。「何しに、来たの?」亮と同じくらいここに来る理由が解らない人に努はあまりと言えばあまりな直訳すぎる質問を浴びせた。「じゃあ、帰るよ。」多少気に障ったのか、客はカウンター席から軽く腰を浮かせた。「二人とも大人げないでしょ。」卓がその場を収めてくれた。「何でこっち来ないんだよ。」賞平は少し拗ねている。確かに初めはこいつが怖かった。中等部の問題児、美月が担任していたやつはだいたい俺に回ってきた。ホモセクシャルバリバリの男子は初めてだった。そりゃ今までにもホモセクシャルが全く居なかったわけではないが、ここまで隠さないやつは居なかった。目が。俺の男を見ている。俺はノーマルだ!そんな目で見ないでくれ。やつの目が冷たく笑う。「怖いの?こんなに簡単で気持ちいいのに。」だから、怖いんじゃないか。「あっという間にイかせてあげるよ。」知ってる。こいつにはもう恋人がいる。俺にちょっかいかけるつもりなんか毛頭ないのだ。いとも簡単に堕ちそうな自分が怖かった。美月の助言で、賞平と努は和解した。というか、色々誤解だったり曲解だったり余計な感情や先入観を取っ払って二人が解り合えたのは美月のおかげだった。賞平は、かといってあまりこの双子に深入りしたいわけではなかった。卒業したあとはやりとりも途絶えた。それに。「怒ってんのか?まだ。」「賞平くんがそう思っているだけ。」賞平と努がへんな空気を出し始めて卓はカップを派手に鳴らしてしまった。「し、失礼しました。」ボックス席にも客はいたので卓は奥まで通る声で謝罪した。その流れでカウンターの賞平を見ると彼は複雑な表情をしていて、それを正面で努が感情を圧し殺そうとしてるのに逆に不機嫌さで一杯の無表情な能面で迎え撃っているのだった。「卓。俺は裏にいるから。何かあったら呼んで。」努は珈琲を淹れ終えたが、賞平に出そうとはしない。顎で卓に指示してさっさと奥へ引っ込んだ。「来るんじゃなかった。」「あのさ。賞平くん。聞こえるように言ってるつもりだろうけど無駄だよ。」卓はいつも努が苦手な「女子の甲高い声」を遮るため用意されている耳栓とヘッドフォンが装着されたのを目視で確認した。バックヤードで帳簿のソフトを立ち上げている気配も感じ取れた。「何したの?賞平くん。」賞平は、女が怒って喋らなくなるときには無条件で男が白旗を上げねばならないのをいつも不条理だと思いながら、これ以上の解決策が永遠に見つからないという真理も受け入れなければならないと思っている。「いや。努は女じゃないじゃないか!」「?」頭の中をぐるぐる考えが迷走して急に口をついて言葉に出てしまう。弱い。男ってのは、弱い。「扱いづらい女みたいだ。」「そうかな。俺はいつも手のひらで転がされているけどね?」卓はニコニコしながら賞平を見る。その満面の笑みが『俺は良好な人間関係築けてるけど?え?ダメなの』どや顔で馬鹿にしに来てるように思えてならない。「なんか、最近あいつ、亮と仲良いっていうじゃないか。」「親父はね。基本、たらし人間だから。」賞平も亮のことはずっと見ていて分かる。あいつなら、すんなりと。きっと努を努として自分が男だとか関係なく努と接することが出来るのだろう。もし、迫られたにしたって。断らずに諦めさせることが出来る。きっと俺みたいになすすべもなく狼狽えて自意識過剰な言動でやつを傷つけたりしないんだろう。あれは、卒業式のことだった。数えきれないくらいの子供たちを何度も送り出してきた。正直、男と女として拗れそうな娘も何人も送り出した。『最後に、抱いて。』『馬鹿言え。』そんなやりとりをしたときにも自分はさほど動揺しなかった。「ねえ。賞平くん。」それなのに。「お礼のキス。」努は猫のように身をくねらせて自分の肩から頬に上ってきた。ふわっと唇が触れた。それだけだったのに。賞平は努から跳ね退き、頬を何度も手のひらで拭った。「ばか。何すんだよ。」賞平と努は最悪の別れをすることとなった。「で?努さんは?」「凍りついてたよ。」「だろうね。」賞平だって、まずいと思った。汚いものに触れたような仕草をして努がショックを受けたようなうちひしがれたような悲しいというよりは冷たい仕打ちに凍りついた姿を見てすぐに言い訳したかった。汚いのはお前がしたキスじゃなくて。それを性的にも肯定した俺だ。多分、お前はそんな風に思ってはいない。なのに。「あれから、同窓会だって三回くらいやってていつも会ってるんだ。口聞いてもらえたこと一度もないけど。」「えっと。何年たったの。」「20年?」「そんな大昔のこと、まだ引きずってんの?」「ていうか、努見たろ?ずっと機嫌は損ねたままだ。」卓は呆れたように、目の前の50がらみの恩師と店の奥に姿を隠した雇い主をかわりばんこに見た。「お袋か?」そんな昔のことをまた今さら何故?と訊こうとして、訊く前に答えを見つけた卓。「まあ、100%美月というわけでもない。」賞平と努の間にそんなわだかまりがあったなら美月が放って置こうはずもない。会って話せば氷解することもある、そんなふうにそそのかしたとしてもおかしくない。「でも、俺は努さんと賞平くんがどのくらいの関係だったか知らないしな。」仲が拗れて辛いのは拗れる前に仲が良かったからでありそう仲良くもないやつと気まずい出来事があったって別れりゃ終いであろうから。卓はあまり想像出来なかったけどまさか、今の親父並みに懐かれていたのかもしれないなと自然に不味い顔になった。「俺はさほど生徒とはベタベタしねえ。」「だよね。」賞平は男子とも女子とも取る距離は一緒だ。生徒とは気安く話すが、深くは話さない。だが生徒から近づく気配は見逃さず、何かあれば頼るに気後れさせるようなことはない。「努とは、打ち解けられてからはわりとベタベタしてた。」「えっ。ベタベタッ?」卓は驚きを隠さない。「ああ見えて、あいつは好んで俺に頭を撫でられに来た。」「う。」卓が嘘だろと言おうとして口をつぐんだ。「うちのバイトにあることないこと吹き込むのはやめてくれない?」努がヘッドフォンも耳栓も外して卓の横に立っていた。努はテーブルからランチメニューを回収していく。カウンターから一番遠い、奥のボックス席に行ったあたりで賞平がため息をつく。「やっぱり駄目か。」賞平が帰って行った後。卓は軽い気持ちで訊いてみた。「もう、ずっと許さないでいるんですか?」努は切な気にため息をつくと、どうしようもないといった風に笑う。「何だろうね。普段は忘れてるの。でも、思い出しちゃうんだよ。彼の声を聞くとね。」努は敏感に感じとる。賞平が、ホモを異形の不気味なものと見て怯えているのを。怯えているのを隠すように虚勢を張るのを。一時は近づけたと思った。ホモの厄介な男子生徒としてでなく真利村努という一人の人間として彼に認められたと思っていたのだ。卒業式の日。お別れは寂しくて辛かったけれど。今まで、ありがとう。彼の頬にキスをした。へんな意味ではなく。感謝の気持ちを込めた。賞平は跳び退いて、何度も頬を拭った……。「俺のありのままを受け入れてくれてたなんてなんでそんな勘違いしていたのか。自分に腹が立つんだ。そういうこと。」「俺にするみたいには行かないんですね。」「卓は、年下だし。許してくれるの知ってるし。」努は卓の耳にふざけてキスする振りをした。「親父は、どうしてんですか?」卓は、亮が努にこんな戯れをしかけられたらどうしているのかと思う。想像できない。「亮さんは、可愛いねって褒めてくれるよ?皆、そんなお前が好きなんだなって。」「なるほどです。」「なにさ、それ。んもう。」努は少し咎めるように笑う。亮はさりげなく、自分を男とか女とか恋とか体とかそういった領域から外すのだ。「でも、亮さんが俺に惑わされたりしたら卓だって困るでしょう?」「ま、惑わしたいんですか?」「あと一押しかなあと思うこともあるんだけど。無理だよねえ。」「え。」「美月が許してくれないだろ?」「お袋、かあ。」美月は、たまに『努と女子力対決しても敵わない』とかいって萎れることがある。まあ、隣の亮がそれを笑い飛ばして自分を抱き締めるのを分かってそんな言い方をしている。卓も承知しているから心配はしない。「じゃあ、お袋が許す許さないは関係ないとしたら。落とせる自信があると?」努は笑った。「前に美月が言ったんだ。もし努が亮を取れると思ってるなら、気を持たせるような失礼な真似するなって亮に言い含める…って。」美月は思った以上に「女」だった。努はそう言って話を終わらせた。卓は少し意外だった。最近、努が美月を『女性の親友』といった新しい関係性でもって大切にし始めた。その上で努は、多少ならず美月に対する態度を変化させているのだが、美月にはそういったものは見られないように思う。でも、努と亮を取り合うようなそこまではないにしても、自分が亮にとって唯一無二の女であると堂々と主張するようなそんな言動をするとは。どんな話の流れだったかにもよるけれどどちらにしても卓にはちょっと意外だった。まあ、逆に言えば美月は亮を旦那とか子供等の親父とかいうもの以前に「愛する男」として見ている。やっぱり、息子としては照れ臭い気持ちもある卓であった。

      11
      テーマ:
  • 24 Nov
    • コミティアでした&通販のお知らせ

      11月23日はコミティア122に何とか出来上がりました新刊を携えて参加してまいりました。いつもの立て看板。スペースの設営ができたの図今回は立ててあるものが二つあり。立て看板&ホワイトボード今回は既刊三種と新刊四種類とシンプルで初の試み、年賀状をおまけにしました。その上、おっかなびっくり作った来年の卓上カレンダーをひと月(一枚)ずつこれもおまけにしちゃった。ホワイトボードに貼りきれず隙間にぽこぽこ置いてあり(笑)うちにしては沢山の方に遊びに来ていただきとてもたのしい1日を過ごさせて頂きました。で、卓上カレンダーの売れ残りですが。こいつとこいつ。歩と朱美(笑)そんで努(おじさんバージョン)自分では、このおじさんバージョンの努は大変気に入ってて、パートナーの佑樹はヤキモキしながら店のバックヤードから見守ってるイメージでニヤニヤしちゃうんです。双子でそれぞれ売れ残るなんて。で、いつもコミティアでは一人で出展するのでスペースを空けるときには外出してます看板を出します。一回のイベントで30~1時間しか登場しないレアな看板なのでご覧下さい。そんなわけで新刊の通販を始めます。毎度地味ですがA5版 28頁 200円送料140円です。2017年現在の亮と美月が1985年にタイムスリップというざっくり過ぎますがそんな話です。街に出たり、時代考証での面白いギャップのシーンとかはないのでそこはご了承ください。主に50の亮と18の美月が出会うお話で展開してますが機会があれば50の美月が18の亮と出会うやつも描きたいですね。もし興味あるかたおられましたらコメント、メッセージ、Twitterでリプ、DMなどいただけましたらご案内いたします。入金はちばぎん、三井住友銀行ゆうちょ銀行への振り込み郵便為替、切手での対応もいたします。ご相談下さい。

      24
      テーマ:
  • 22 Nov
    • 明日はコミティア

      お久しぶりです(*´ω`*)相原りょうこと、たくです!11月23日コミティアに出ます、し47aでお店出します🎵新刊もコピー28頁でめでたく出来上がり今回もすれすれですが何とかなりました。相原りょう11/23し47a鶴屋@taku_ryow出来たよ。新刊出来た。諦めなければ何とかなるという見本。 https://t.co/CsstC9SUTc2017年11月21日 18:38相原りょう11/23し47a鶴屋@taku_ryowなんか、本が出来たら気が抜けてしまいお品書き的なやつ描ける気がしねえ。あ、これはおまけにする年賀状でしゅ( ´-ω-) https://t.co/BYnKSjUyAL2017年11月21日 18:55最近はgooブログでR15、18記事と一緒くたに美月や亮のこと、近況もろもろ書いて上げているのですがやはりアメブロの方が見易いと思われる方もいらっしゃるのかなあとこちらにもイベント時だけ更新しておこうかなと思います。gooブログ 新刊についての記事①gooブログ 新刊についての記事②gooブログ 最近の近況新刊のタイトルなんですが「夫婦善哉 GO TO 1985」に変更しました。From 2017にするつもりだったけどこっちの方が分かりやすいかなと。もし当日コミティアに来られる方良かったらぜひし47aまでお運びいただけたらと思います。何かお買い上げいただいた方には年賀状や卓上カレンダーのどれか一枚おまけにつけます(*´ω`*)年賀状は三枚100円で販売も致します。例のようにコミティアが終了しましたら通販も受付いたします。新刊は200円送料が140円です。こちらのコメント、メッセージTwitterのリプライ、DMで「GO TO 1985通販」の旨書いて連絡くだされ。よろしくお願いします😆

      15
      テーマ:
  • 11 Oct
    • 明と歩2

      『明さんにキスされた。あいつ、最近おかしいんだよな。』美月は歩からのメールに首を捻る。『あんたからなんかしたんじゃないの?』『はじめ、しつこく絡まれて。バカにすんなと思って、こっちからガッツリ吸ってやったんだけど。そしたら長いのかまされて、ち○ぽ揉まれた。』『やっぱりあんたからしたんじゃん。』『ん。まあ。』『今夜はローズマリー行くから。あんたも顔出して。』『ん。わかった。』美月はまたも首を捻る。歩と明。あいつら、そんな関係だったかな。美月がローズマリーに着いたのは7時を大分回ったところだった。バータイムはまだまだ浅く、常連客は一人も来ていない時間だった。「あれ?美月。いらっしゃい。」努が少し憂いのある瞳で微笑んだ。この子も隠し事の出来ないやつだなと胸が痛んだ。ちょっと面倒なことになってるみたいだ。「母さん、どうしたの?」卓は今日、バータイムに三時間だけ入っていると言う。町内会の会合が終わったばかりでテーブルは片付いていたが洗い物をいっぺんにやっつけているようでいつものカウンターからの声とはボリュームが違っていた。「いやあ。今日はデート。」「はあ?何言ってんだよ。」バカバカしいと大きなため息をついた。流しの水音が止まり、しばらくして卓がグラスとワイルドターキーを鷲掴んで美月の前に立つ。「今日はロックで行こうかな。」「え?飲みづらくない?」「正直、飲みづらいぐらいでちょうどいいよ。」二人の会話に首を傾げる努。氷が邪魔で飲みづらい、といった次元の会話でこれに頷く人は少なそうだ。「誰とデート?」なんだかんだ気になる卓。「歩。明が先に来れば明と。」努が複雑な表情で苦笑した。「歩、美月に相談したの?」「ん。でもそんなに深刻な感じじゃなかったよ。」ドアベルが鳴る。誰が入ってくるか。三人が固唾を飲んで見守る中、顔を出したのは行彦であった。沢田行彦。いつも明とつるんでいる三人組の一人だ。183と長身の行彦は目立つ体格とは裏腹な控えめな男で、いつも人より一歩下がって見守るタイプである。明と修司、行彦の三人は美月の教え子時代から下級生の男子をたぶらかし校内のあらゆる物陰で猥褻な行為をたのしむというピンポイント問題児であった。「え?美月先生、なんでいんの?え?」「いちゃわりぃかよ。」「行彦さん、今日はひとり?」努がどちらの席に案内しようかと尋ねる。「すぐ後から明と修司も来るよ。」努は頷いて、いつものボックス席に誘導すると、美月がとことこ後をついて行彦の隣に座った。「お前らが努にちょっかい出してた頃さ。」「何よ、美月先生。そんな昔のことで叱られても困っちゃうからね。」行彦の目が泳ぐ。美月が胸からすり寄っているからだ。美月は昔とは体型も大分変わっていて胸にも脂肪が残るようになり行彦の二の腕にはかなりな感触が伝わる。「きもちいい。」「あ、ごめん。」なんだかへんな会話を交わしたあとも美月は相変わらずの距離感で行彦に話しかける。「あの頃、明と歩って何か絡みあった?」「え?ああ。あいつ、歩は好きだよ?」「えっ?!」すぐ横の美月と、カウンターから努と卓三人の恐ろしくシンクロしたリアクションがハモッて行彦はかなり驚いていた。「そうだよ?はじめ、明は歩を食いたかったんだ。」「で?」「振られてたな。速攻で。」努がつとめて平静を装いながら訊く。「でも。ずっとそれ、引きずってるなんてことは」「多分ずっと好きだよ。」「えー……。」三人が今度は同時に落ち窪む。「誰にも言わないけどね。きっと分かってるんだあいつから離れられなくなったら身の破滅だし。」何しろ明にはかおるという奥さんと二人の子どもがいるのだ。「精神的にボロボロになるだろ。」努は双子の弟に対する、それこそボロボロな評価に複雑な気持ちだったのだが美月も、卓までもが深く頷いているのに思わず首が折れた。「努はあれから佑樹と落ち着いたろ?明は喜んでた。何だろうな。放つ匂いが幸せそうなもんに変わったって。」「そりゃ、どうも。」努はお尻がむず痒くなる。すごく照れ臭い。「歩は危なっかしいって。言うんだよ。」美月や努が、行彦から明の本音を聞いて問題が一筋縄では行かぬと息を詰めていたころ。ローズマリーの一本先の通りで二人は鉢合わせていた。「歩。」「明さん。ローズマリー?」「ん。その前に、少し話さないか。」「何を?」「いや。その。」「何か、話があるんじゃないのかよ。ねえんなら、もう行くよ。」「ん。まあ、この前は、ごめん。」二人は駅前に戻って、騒がしいファストフードショップの奥に落ち着いた。トイレ前のカウンター席に、寄り添って座る。古い建物の昔から雑然とした店内だ。二人ともここで、お互いの相手と触り合っていたこともある。もう、明の息は弾んでいる。「俺は。お前がずっと好きだよ。」「くだらねえ。」「全くだ。俺もそう思う。」「ばあか。」「だから、ずっと騙してきた。自分で。自分を。」「言っとくけど。俺はあんたを何とも思ってないよ。」「どうでもいいよ。そんなこと。」「情に訴えるつもり?」「馬鹿だな。俺は。」「そうだね。」「こんな親父になってから。どうしようもなくなった。すごく辛いんだ。」「抱いてほしいの?」「そんな風に考えてると気が狂いそうだ。何にも変わりやしない。離れられなくなる。」「それは正解だと思うよ。」「お前が。亮さんに惚れてるって。」「何度言ったらわかるんだよ!あの人は関係ねえよ!!」「笑っちゃうだろ。嫉妬だよ。」「もう二度と亮さんのことは出すな!」「大事なんだよ。お前は。亮さんが。」「大事だよ!好きだもん。あんたなんかより。」「比べてもらえるのか。糞くらえだ。」「いい年して。いい加減にしろよ。」「因果だな。今まで気持ちとか関係なしに男を抱いてきた。ツケが回って来てるんだ。」「なるほどな。でも、そんな風には結論づけたくねえけど。」「俺は辛いけどね。」「俺は。俺にぜんぜんなびかないあのおじさんが好きだよ?」「歩?」「ぜんぜん俺の気持ちなんかわかってくんない、ホモとか別世界の話な、ピンと来てないあのおじさんが好きだよ。」「そうか。」「抱きたいのに抱けない。気持ちに応えて貰えない。あの人が愛してんのは美月だけ。そんなあの人が好きだよ。抱きたいくらい。抱かれたいくらいね。」明はうつむいて。ずっと手元のトレイを見つめていた。「俺とあんたが寝るのは簡単だよ。別にあんたと寝るのは何でもない。でも、あんたが壊れていくのはいやだよ。」歩は立ち上がると、まだ隣で手元を見つめる明の耳にやさしくキスした。「もう。ちょっとは反応しなさいよ。」歩に何度か耳を吸われて、明の腰がいきなりピクピク動いた。顔を上げると真っ赤で目が潤んでいる。「やめろよ!声出ちゃうだろうが!!」「出せばいいじゃん。」歩はワルい笑みを浮かべて自分のトレイを片付ける。「先に行ってるから。」「歩。」美月はどちらが来ても、そうなにも考えずに楽しく酒は飲めないと分かっているので反応が薄くなってしまう。「美月。」歩はメールで相談してきたほど切羽詰まった表情はしていなかった。カウンターに座っていた美月にまっすぐ歩いてきて抱きつき、頬にキスした。「んも!やめなって!」「くそぉ。美月がもっとおまたユルユルのやりまんだったらずこずこ突っ込んで慰めてもらうのになあ。駄目だよなあ。」「歩。」美月は歩をひっぺがして、頭を思いっきり叩いてやろうと思ったのだが、予定を変更してその頭を胸に抱いた。歩はすごく悲しそうな顔をしていた。努は後から来た明にいつものように話しかける。「もう、歩には手を出さないで。あれでも俺の大事な弟だから。」表情も、声のトーンも、話し方も。いつもと同じなのに。言ってることがかなり強硬だ。「ごめん。お前のことも傷つけてたよな。」「あれ?明さん。」「大丈夫。カタはついた。」わりと拗れていた感じなのに。いつのまにカタがついたんだろう。努は何にせよ良かったと思う。明の表情は寂しそうだったけどちょっと嬉しそうだった。「惚れなおした。」「え?」歩は明に見向きもせず。カウンターでずっと美月にくっついて酒を飲んでいる。そのうち美月を迎えに亮がやってきて歩を挟んで隣に座ってくれた。歩は美月にゴロゴロ、亮にゴロゴロと思う存分二人に甘えていた。

      24
      テーマ:
  • 10 Oct
    • 明と歩

      「歩。」バータイムのローズマリー。実はバータイムには、あまり顔を出さない歩。たまたま今夜は外回りからの直帰で前を通りかかった。なんとなくカランカランとドアベルを鳴らしてみた。「久しぶりじゃん。」時計は8時を回ったばかりで今帰れば朱音と駆が興奮して眠らなくなる。歩は改めて、一杯引っかけようと決めてカウンターに腰を下ろした。そこへちょっかい出しにきたのが明だ。「なんだよ、明さん。」歩は初めて明と出会った頃のことを思い出していた。この人は中学の頃からの有名な男色家で、ホモというわけではない。男にも女にも、性的興奮を覚える。お互い高まりあって、絶頂を味わう。それだけのことだという。それにしたって、女はかおるだけというあたり実は純粋でシャイなのだとわかる。両刀使いか。歩はこういうやつは相手にしないなと品定めをして規格外によけた。それは15のときから。ずっとよけたままだ。「亮さんにご執心なんだって?」「うるさい。」迂闊にも歩は顔を赤くしていたらしい。「ねえ。キスしようよ。歩。」「え?」明は、いつもと何ら変わらない屈託のない笑顔で。歩の頬に手を伸ばす。「この泥酔した客は追い出してもいい?努。」歩は多少慌てながら、明の顎を掴む。あ。いつも亮さんにこうしてキスを拒まれる。そしていつも自分がされるように、顔ごと振り払った。「つれない。」明は尚も歩の肩を抱いて頬擦りする。気持ちいい。なんだ、この暖かいのは。「なんのつもりさ。」「気持ちいい?抱いてやるよ。」やぶさかではない、なんて考えた自分に一番自分がショックだった。こんな中途半端に、男の性も女の性も弄ぶような趣味のやつに。胸がキュッとなっちまった。「亮さんは絶対なびかない。わかってるくせに。」歩は自分の気持ちに薄々気づいている。俺は亮さんは抱けない。もし抱いたとしたら、後から猛烈に後悔する。いつもみたいに二人で飲みに行くなんてこと出来なくなる。別れ際に、また飲もうななんて気をつけろよなんてやさしい言葉はもらえない。歩はそれがたまらなく辛いことだともう知っている。「明さんには関係のない話だろ。」「歩にしても、努にしても。亮さんがローズマリーに来るようになってから変だぜ?」「変じゃねえよ!」歩はカウンターを拳で思い切り叩いた。グラスやボトルが鳴った。「抱いて慰めてやりたくなるのが男じゃん?」「なんか、変なのは明さんじゃない?最近。」厨房から努が出てきた。やさしく明の頬っぺたをつまんだ。「なんかあったの?」逆にやり込められた。明は努の髪を撫でて離れた。「そうだよな。過度な心配は、鬱陶しいだけだ。」明はボックス席に戻り、常連客たちとは少し離れてグラスを煽る。「歩は、明さんのこと、何にも感じないの?」「努こそ。明さんにはメロメロだったろ?」「いつの話をしているのさ。」「俺は。ああいう人と体でどうこうって。ないな。」「両刀使いだから?」「あの人、男を抱くのをさ。どこまで当たり前と思っているんだろ。」「歩も、すこし変だよ。」「なぜ、あの人が亮さんのことでムキになるのかな。」歩も努も、それは変だと思った。ホモがノンケに惚れて。抱けそうで、でも手が出せない。友情を壊しそうで告白まで踏み切れない女子中学生のようで。いい年してすごく切ない。そんなもどかしい淡い気持ちを軽口でごまかして。そんな人の奥さんのことだって大事にしている。そんな危ういバランスを必死で保ってるのは普通の人から見ればかなり滑稽なものだろう。「俺たちがそんなに足掻いてるように見えて可哀想って思っているのかな。」「明さんに言われることじゃないだろ。」努も歩もしかめっ面でしばらく黙っていた。「あれ?珍しいね。歩。」裏の入り口から入ってきた佑樹。会社帰りで、まだスーツ姿だ。バータイムに集う常連客は近所の住人が多く、私服に着替えてからふらりと現れる。そんな中でのスーツ姿はわりと目立つのだ。歩もスーツ姿で、カウンターで二人並ぶと少し見慣れない絵面になる。「今日は誰かにちょっかい出されてないかい?努。」佑樹は努に頬を寄せる。努は佑樹の頬にチュッと音を立ててキスした。「なんか、明さんがおかしいの。歩にまで迫ってきたんだよ。」「え?ごめん。ふたり、そんな仲だったかい?」「そういや、初めて会ったときにもキスしようって言われたな。」歩は思い出した。あの時は、明さんに努を抱いてやってほしいと楽しませるからと、話を持ちかけたのだ。なのに明さんは自分に物欲しそうな目を向けた。「もしかして、俺に遠慮したの?歩。」歩は考えた。確かに明さんはいい男だし、色々と上手そうだった。なぜ、あの時に規格外に避けたんだろう。「なんか、嫌悪感が。」「そこまで言う?」歩と努はふたり、声を合わせて笑った。明が帰り際、またカウンターの歩に近づく。「もう帰るの。」「ああ。」いつも明は閉店間際まで陽気に飲んでいるが今日は様子がおかしい。歩はやっぱり後味が悪かった。「明さん。」「なんだ?」歩は明の袖を掴み、自分に引き寄せた。バランスを崩したところで強引に自分の隣に座らせて、食いつくようにキスした。キョトンとした明から離れた歩は無理にワルい笑みを浮かべた。「抱いて慰めてやるなんて余裕ねえくせに。あんたは俺の慰みものになるだけだ。」「ぬかせ。」明はやさしい笑顔から、歩の腰を抱いてやわらかく唇を重ねた。「んっ。んんっ。」歩は計算外だったんだろう。とろんとした目を必死に鋭くしてやめろと抗議をする。唇と舌で気持ち良さそうに愛撫を繰り返す。明はまだ抵抗する歩の股間に手を伸ばして妖しく指を動かす。「んあんっ!」歩はやっとの思いで明から離れて肩で息をしながら悪態をついた。「何すんだよ!この強姦魔!!」「したのは、お前からだろ。」カウンターの反対側から一部始終を見ていた努と佑樹は、あんまりにも見慣れない光景にただ立ち尽くすばかりだったが、努がカウンターから出て明の腕を取った。「もうお勘定はいいから。出ていって。」明はうなだれて、ドアへ歩く。ポケットからくしゃくしゃの五千円札をレジに放って出ていった。「慰謝料みたいだよ」努がお札のシワを伸ばしながら歩に差し出した。「ふざけんなよ。」不貞腐れた歩は見もしないでさっさと自分で水割りを作り始める。「気持ちは分かんなくもないけど。飲みすぎない方がいいよ?」佑樹は努からお札を取り上げると済ましてレジを打った。「お釣りは金庫に入れておくから。」努はクスッと小さく笑う。「お義兄さんは冷静ですこと。」歩は少し持ち直した様子で軽口を叩く。「だって、俺には関係ないもん。」馬鹿馬鹿しいな、と何故か笑い飛ばせた。三人は結構長い時間、笑い合った。

      8
      テーマ:
  • 08 Oct
    • 努と美月と。

      「忙しいんだね。亮さん。」仕事の忙しい時期がやってきたのか亮がしばらくローズマリーに顔を出さない日が続いていた。平日もほぼ日付を跨いで帰ってくる。土日もどちらかは殆ど仕事をしていてどちらかは貪るようにひたすら眠る。「ワガママなのはわかってるけど。寂しい。」美月はカウンターで水割りを煽る。仕事にかまけて冷たいご主人にほったらかしにされた奥方が夜の酒場でやけ酒を。酔い崩れたところを、他の男に持ち帰られる。のかと思えば、この奥方はウイスキーを一瓶飲み干しても滑舌は滑らかだ。まっすぐ、背筋を伸ばして凛とした姿で席に就いている。牛乳でも飲み干すように健全なフォームでグラスを傾けている。「美月は本当に酔わないんだね。」横でつまみを盛り付けていた卓はまだ慣れずに、その度に体が固くなる。努が美月を一人の友人として男性が女性に相対するように万事をエスコートするような言動を取るようになり初め、卓はちょっと腰が抜けた。努は女が嫌いなのだ。なぜ嫌いなのか。女は性差という以上に男には女に対しこうあれ、という大前提で自分を見るからだ。それは男だって同じなのだが努は嫌いな女を女として扱い自分を殺してまでちやほやして、守ってやるつもりは毛頭ない。特に、男友達に「友達以上恋人未満」の甘ったるいお遊びを強要するタイプ。特別扱いを当然と考えている女は反吐が出そうに嫌いだ。元々「女」という生物が穢れを象徴するものだと生まれながらに思っていた努だからマイナスからのスタートは簡単にはリカバリー不能なのである。まれに、性を乗り越えた部分で人間としての芯の部分が共鳴する女の子はいた。そんな子とはずっとつき合いが続いている。女同士のようでもあり男同士のようでもある。それが中学の時の同級生である加奈子やかおるだった。そして卓の彼女、鈴とも努はアレルギーの発作も起きず仲良く寄り添うことが出来る。そこで卓と佑樹は、猛烈な嫉妬に駆られたわけだがそれはまた別の話になる。今の美月と努の関係は今まで見たどんな女性たちとの関係とも違うのだった。よく勘違いされるのだが努はオカマではない。ホモセクシャルとは男性として男性を愛するもので自分が女性的だから男性を欲するわけではない。逆もまた然りである。男性に惹かれるのは、決して女性と同じ目線を持つからではない。「亮さんは、どう?体、キツいんじゃない?」こんな気遣いが努らしい。「ちょっと今回はしんどそうだな。」「心配だね。」「本人、心配されるのは最後まで嫌がるんだよね。ギリギリまでSOS出さないし。」卓もそれは心配だった。亮はなんでも人の事が先である。自分はなんでもないよと言うのがプライドなんだ。過ぎると厄介だよな。で、年に何度か酔いつぶれてきたり口をきかなくなったりする。「あたしに頼るギリギリにならないと来てくれないけど。危なっかしいよね。」「何をしてあげるの?」努はいつもの普通の客ではしないほどの仕草でカウンターの正面に座る美月に近づく。「言えないよ。恥ずかしい。」そんな美月の答えに、努は声をたてて笑う。「だいたいわかるけどね。どう?ギリギリまで甘えてこない男を甘やかすときって。」「そうだね。このために存在してるんだなって。」卓はさりげなく、チーズと生ハムのサラダを持ってボックス席に逃げ出した。「お。卓来たね。」明は遠慮なく卓を抱き締める。「やめてくださいよ。」あっさり明を振りほどくと卓は角の席にお尻を半分だけ乗せながら水割りのおかわりを作ってやる。「美月と努。変わったろ。」「分かります?何ですかあれは。」「ママからの卒業だよ。」「は?」明は努の変化に気づいていた。亮ともつき合うようになって。夫婦を見ているとわかる。自分が美月だけを見て甘えたいと思う気持ちが変化していくのだ。「努の両親の話、聞いてる?」「ああ。オカマとオナベのカップル……」「あいつの、美月に対する想いはね。母への感情の再構築だったんだよ。」まあ、あれはコンプレックスに成りかねない。複雑すぎて卓にはわからなかった。いくら美月が男勝りだとはいえあの人はれっきとした女だし。父といるとき、嫌と言うほど思い知った。「両親が男と女として愛し合ってて、運命共同体なんだって分かってくるのも、親離れの一歩。なんじゃないかって思うんだよね。」「なるほど!いいこと言いますね明さん!」卓は今まで味わってきたモヤモヤが納得できた。ノリで明の手を取る。「お?俺の良さが分かったかい?」明は卓の肩を抱いて頬に唇を寄せた。「そういう良さではないです。」卓は明の頬っぺたをつねりあげた。「努はそんな親離れを二回経験したんだろ。普通の親離れとは一味違うやつをね。」「じゃあ、努さんはもううちのお袋を……」「ん。大切な女友達にしたいんだ。きっとあいつも試行錯誤の真っ最中さ。」だいぶ深い時間になってきた。美月のケータイがバイブレーションで着信を告げる。「亮?お疲れ。今どこ?」美月は席を立って、店の外に出た。電話に出たときの美月の表情。なんて嬉しそうなんだろう、と努は呆れた。大好きって、あんな顔だ。美月が電話を切って戻ってきたんだろう。ドアベルが鳴る。「一杯だけな。」美月が亮を連れてカウンターに帰ってきた。「亮さん。いらっしゃい。」「努、久しぶり。」美月は少し後ろから、亮の肘にちょこちょこ手で触れながら歩いてきた。今夜は早かったね。ん。だいぶ落ち着いてきたから。そっか。他愛ないことをぽつりぽつりと会話してる。美月の笑顔はこれでもかと言うくらいに甘い。「水割り?」「や、ロックで。」亮は酒には強い。酒を提供する側の努にはこの人が他の普通の客に比べて酒豪の域に入る猛者だというのがよくわかるのだが。「飲み過ぎたら駄目よ。」この奥方にかかれば小学生が隣で大人の飲む酒をかすめ取って叱られているかの如くなのだ。まあ、さきほどダルマを一本軽く飲み干した人なので、誰も文句が言えない。「大丈夫。みっともないことはしない。」「明日に差し支えるわ。」美月が旦那さんの世話を焼く振りで体を擦り寄せている。好きでたまらないのだ。「親父。お帰り。」「お。卓。お疲れ。」卓がカウンターに戻ってきた。親子揃い踏みだ。「何か腹に入れながらの方が良くない?」「そうだな。チーズとクラッカー。」「わかった。」卓はカウンターでクラッカーを皿に出しながら笑顔になる。努が気づいて、肩に手を乗せると卓が照れ臭そうに笑った。耳元で、親父と会話したの二週間ぶりですと囁いてまたくふっと吹いた。「はあ。うまいね。」「そうそう。もろみ漬けのクリームチーズあるよ。」「へえ。つまんでみたい。」努はなんだか長内家にお邪魔しているような気分になった。確かにここには、一家の団らんがある。「亮はさ。」「ん?」「毎日、最近は特に頑張ってるよね。」美月は亮の頭に手を伸ばして、優しく髪を撫でた。「偉いね。いいこいいこ。」随分不器用な甘え方だな。努は心の中で笑いながら、美月の頭を撫でる 振りをした。「寂しい思いさして、すまねぇ。」亮はお返しとでも言うように美月の頭を撫でる。「ちがわい。そんなんじゃねーや。」「正直に言えよ。もっと触ってって。」美月は何故だか虚勢を張り、亮は美月を可愛くて仕方ない風に見つめる。「はいよ。飲んで食ったら家帰って寝ろ。」卓がチーズをクラッカーに乗せる。一つ一つ、小皿に出すとすかさず亮が手を伸ばす。寿司屋のカウンターみたいじゃない?と努が言うと、みんな気づいて笑った。夫婦は先に帰って行き、卓は店じまいを一通り手伝った。いつも閉店時間がまちまちなためか、卓は常連客より早く帰る日もある。店じまいを客も手伝ったりすることもある。「美月、嬉しそうだったね。」努がいうと、卓は頷いて答えた。「まあ、もう母親から女に戻してあげてもいい頃ですもんね。」「卓。」「でも俺としては、まだまだ自分のお袋から恋愛相談なんかされちゃうと尻が落ち着かないんで。それは努さんにお願いしてもいいですか?」努は目をぱちくりさせると一瞬言葉を失っていたが首から折るように大きく頷いた。「まかせておいて。」街の明かりも随分消えて、暗くなった。みんな、眠る時間だ。夜をよく休んで、朝を迎えるとすっきりする。少しパンク気味の胸の中も、ちょっとは整理がついていることを期待した。卓は一つ大きく伸びをして店を後にした。

      8
      テーマ:
  • 06 Oct
    • 努と美月

      「歩が言ってたけど、本当に全然酔わないの?」「うん。卓、なんにも言わない?家では酒で酔えるのは亮だけだよ?」珍しく土曜日のバータイムに美月が一人でローズマリーにやってきた。亮は珍しく幹部の飲み会だとかで夜に自分をもて余すのは久しぶりだと少し艶っぽい言い方をする美月。少しドキドキした努。努は美月を女性として好きだった時期もあったが卓のように感じさせたいとか亮のように抱かれたいとか今はそういう思いはない。美月の母性にずっと惹かれている。まだまだ弱いところばかりの自分が、気持ちを聞いて欲しいと他の人には誰にも言えないような感情の汚い部分を、吐き出したいと思える唯一の存在だった。そんな弱さを包んでくれる美月。聞いてくれて、認めてくれて一緒に悩んでくれる。他の人では駄目だ。こんな風に心が強くなるような力をくれる、そんな女性は美月だけだ。いくら女が嫌いとはいえ母を嫌う子はいない。雷蔵さんは、男らしくて鍛え上げられた筋肉が頼もしさを感じるけど話をしていると微かに母が匂う。姉と自分たち双子を産み、育ててきた数年間雷蔵さんは咲子に戻って、母として子どもたちに愛を注いできたのだ。ふっくらと暖かくてやわらかい母は今の雷蔵さんとは明らかに別人だ。同一人物と頭では理解しているが努も歩も、母はもういないと思っている。雷蔵さんは、ジェーンの配偶者だ。二人は、自分の親だが。母ではなく父ではない。そこは両親だということに落ち着いているがやっぱり。違うのだ。そんな欠けたところに美月はすんなり嵌まって努を溢れる母性で何度も守ってくれたし何度も助けてくれた。もし、美月がどうにもならない悲しみにうちひしがれて、努が抱いてやることで心の安寧が得られるのならば。努は美月を抱くだろう。でも、そんな場面が訪れないなら。そんなことは絶対にない。努は思う。美月は亮に生かされていて亮にも同じことが言えるのだ。何故かそう考えると、努の胸は痛む。美月を守りたいと思うことは滑稽で亮がいる限り、そんなことは一生実現しないから。美月と亮。今、努は二人を好きで。二人を守りたい。二人に、守られたい。こんな関係、他にはない。亮に対しては、美月は悲しいほど女だ。かといって単に弱いだけでも想いに溺れ甘いだけでもない。亮の絶対的理解者で肯定者で彼が彼であり最善の者であり続けるため彼女は必要不可欠な存在なのだろう。美月を失くした亮亮を失くした美月どちらも想像がつかない。もしかしたら、全くの別人になってしまうのかもしれない。もう、もはや雷蔵さんとジェーンが母でも父でもないのと同じように。誰のために生きるか。その誰かを得ることのできた幸い。失う痛さ。全部を直視できる自信はないがいずれ誰しもが通る道。「美月。なあ。キスして。」明がすごく嬉しそうに美月にちょっかいを出す。「かおるが怒るよ?」かおるは明の奥さんだ。この二人は幼なじみで、二人とも美月の教え子だ。随分と早熟で、明はもう中学に上がる頃には男とも女ともしていたし、2つ下のかおるにも性的興奮を覚えていた。「小学校高学年の女の子がもう、俺にはたまらなくエロっぽかったんだ。もう、女はこいつだけでいいってその時決めた。」そして中2の時に、明は小6のかおるを犯した。とても丁寧に。合意の上だった。「あいつ。誘ってきたんだ。多分抱かれるってどういうことかはわかってなかったけど。舐めてほしかったって。」二人は何に縛られるでもなくお互いを慈しみながら成長してきた。毎日のように新しくお互いを好きになる。「あの頃はなあ。お互い初々しかったな。」明は、かおるのことを話すとき目が輝く。すごく、愛してる。なのに、いまだに男の尻を追いかけたりしている。「美月。別腹って言葉は知ってるだろう?」飄々としている明。でも残念ながらここで話を聞いている美月と努は知っている。この明という男は単純で真っ直ぐで熱い。優しくて、人の痛みを分かる男だ。こんな甘えることも甘えさせることもできる奴は中々いないと思う。たまに、どちらも中途半端になるのが玉に瑕だ。「美月は、男にもモテる旦那さんをどう思ってるの?」美月は本当に何でもない風に笑う。「あいつはいい男だからね。」絶対に何でもないはずない。努は思う。だって。じゃあ、俺があのひとを誘惑して。感じさせて。俺を抱かせたら、どうするの。きっと、美月先生は泣くんだから。意地張らずに言えばいい。あのひとを取られたら。生きていけないって。「そんな呑気にしてると。取っちゃうよ。」なるべく冗談に聞こえるように。努も、何でもない風に茶化すように。ほんの少しの本気を混ぜて問いかけた。「取られてもいいなんて覚悟では一緒にいないけどね?」意外なことに、美月はとても強い瞳で努を見つめた。「美月。大丈夫だよ。亮さんはどんな誘惑にも屈しないな。うん。」明はなんだか嬉しそうに言った。「もし、努が亮を取れると思ってるなら亮に言っとかないと。」美月は尚も続ける。「そんな気を持たせるような失礼な真似するな!って。」努は驚いた。ずっと脆いと思っていた恋心がこんなに透き通って強いものだったなんて。透明で美しくて、かといってダイヤのような華美な光も放たない素直でまっすぐな水晶のような。「なんてね。そうでも思ってなきゃやってられないよ。努と会った日はいつもデレデレしてる。だらしないひと。」そして美月は本当に亮を素敵で、可愛くて、たくましくて想うだけで体が熱くなるというようなヤラれちゃってる表情をした。「んもう。かなわないよ。美月には。」努は、はじめて美月を呼び捨てにした。彼女から『自分のお母さん』という記号を外したかったからだ。美月の前髪を掻き上げておでこに、キスした。目の前の素敵な女性にたいして紳士として自立したと伝えたかった。「きゃっ。」美月は本当に思ってもみなかったのだろう。二十歳前の小娘のように驚き、恥じらい、慌てている。「ずるいなあ!俺も!」明も美月の首筋にわざと大袈裟に唇を突き出して迫っていく。「明は調子よすぎだよ?」美月に、顎を掴まれてご機嫌だった。

      8
      テーマ:
  • 05 Oct
    • 珍客 もう一人の息子2

      水曜の午前中。10時開店のローズマリーにはモーニング営業はない。ランチは11時半から。特に平日の開店間際は、ゆっくりとした時間が流れているのだった。だいたい平日の午前中は努が一人で店にいる。卓は土日の午前中はシフトを入れるが平日はいつも2限には授業が入っていて顔を出すのも慌ただしいくらいなのだ。そもそも、お客があまりいないから。努は心の中でクスッと笑う。笑っている場合でもない気がするが笑ってしまうくらいに誰もいない。カランカランとドアベルが鳴った。それでも努はゆっくり扉に顔を向けただけで。いつも郵便屋さんが来る時間帯なのだ。受けとるだけか、判子がいるか。そんなつもりで目が郵便配達のおじさんを探す。「もう、やってます?」恐る恐るといった感じで店内に入ってきたのは、渉であった。ちょうど退屈だったんだよ。そんな風に言うわけにもいかず努は渉を無言で歓迎した。「大学は?」「3限からなんですけど。」何でも産休明けの奥さんが勤めに出て娘は保育園に行っているという。3限は午後イチで、朝から叩き起こされ朝ごはんを食べた後、嫁は慌ただしく娘と出掛けていって自分は時間をもて余してだいぶ早く家を出てきたようだ。「珈琲、ください。」「かしこまりました。」珈琲を淹れながら思う。卓の双子の兄、渉。この男にはひとつも性欲が湧かない。もう卓には、耳がすごく感じやすいのがわかっているし、首筋がとてもセクシーで一度思う存分感じさせて鳴かせてみたいといけない想いを抑え込むのが愉しい。イキそうな声だって想像できる。その後を舐めてやったらどんな風に恥ずかしがるか。ワクワクしちゃう。そんなときは、やはり自分にも悲しいかなあの鬼畜と同じ血が流れているのかと胸の中で舌を出しながら十字を切ったりしてみるのだけど。この渉には、そんなキモチ、欠片も湧かない。「美味しい。」彼の好みはチェック出来るほどのつきあいではないし、単なるブレンドを普通に淹れてお出しした。まあ、及第点はいただけたようだ。「モテるでしょ。女の子に。」「は?」そう。努がひとつもムラムラ来ないのは渉が放つ匂いは女だけが反応する本来の男のものだからなのだ。「自分が好きじゃない女、迷惑なだけです。」痛い目にも遭っているらしい。気の毒に、と努は目を細めた。「その点は弟が羨ましかった。」卓は大学でも回りの女性たちときちんと友達関係を築けている。自分が大好きな女からだけ男として愛され、幸せにやっている。余計な揉め事に巻き込まれることはなく真っ直ぐに鈴を愛しているだけの卓が羨ましいという。「でも、最近そんな弟の様子が変わってきて。」渉はカップをソーサーごと持って旨そうに珈琲をすすった。満足そうなため息をついた。「まあ、人生にはそんなちょっとした心の傷みたいなの。あっても悪くないのかなって。」何だろう。努は普段の卓の様子を見ていて何かあったような素振りはみせていないなとそこは双子ならではの、通じ合うものがあるのだなと感心していた。「随分心酔してるみたいで。」「どんな?」「そんな自分に後ろめたさも感じてて。」努は、そんな感情もあっていいかと思う。そんな、傷が染みるような痛みを心の中で騙し騙し抱えていくことも人として必要とまでは言わないけどそんなことの分かっている人に自分は惹かれる。そう。そんな人が好きだ。「ひどいことにはならないと思うんですよ。もう、あいつの中では楽しいことのようだし。」それは良かった。努は心底そう思った。「何でもない風にハグなんか出来るようになったら、もう卒業だって。」そう言うと渉はくすぐったそうに笑いだした。「知ってるひとなんだ。」「そうですね。顔を合わせて。少し会話をしたことがあるくらい。卓のことをね。」「ふうん。」努は自分の弟、歩を思う。あいつは俺の心の中をほとんど見透かして。そこの一番痛いところを刺すようにしてくる。本当にひどい。でも、それは必要なことだと後からわかる。その距離の近さがたまに辛くなるのだ。この渉と卓のように、間合いが取れればそれに越したことはない。いいなあ、と思う。カフェタイムも佳境に差し掛かり卓がエプロンをかけながら手を洗っている。「おはよう。卓。」「おはようございます。努さん。」ペーパーで丁寧に雫を拭うと、卓は真っ直ぐ努の前に歩いてきた。卓は努より10センチくらい背が高い。正面から近づいて来られると胸が甘くなるような圧迫感がある。ここからは抱かれる。そう、佑樹となら。逆に抱き合うのが普通の佑樹とでなければこんなに胸に近づく人はいない。ふっとやわらかく、卓の腕が上がり胸が開いた。「いつも、ありがとう。大好きです。」卓にやわらかく抱かれて、不覚にも赤面した。自分はいつも卓をもてあそぶように斜め上から見ているのに。かわいいとか、感じさせたいとか、鳴かせたいとか。自分に自信がないから、体に触れたり、反応を愉しんだりなんてことからしか繋がりを持てない。それなのに、卓はこんな自分をこんなに真っ直ぐに見てくれていた。「ごめんね。最初で最後だから。」努は、卓の頬にちょんとくちづけした。「俺も。大好き。いつも、ありがとう。」

      9
      テーマ:
  • 04 Oct
    • 努と亮

      バータイムは久しぶりだった。もうさほど気にしてはいないがその日、卓はお休みで。相変わらずの賑やかな常連客がボックス席で盛り上がる中カウンターで静かに飲んでいる亮。このローズマリーではバータイムの客の60%は努狙いである。いや、80%は行くだろうか。常連客がグループ客の場合、全く関係なく酒だけを飲みにくる客が混ざっている時もある。カウンターは、努に近いいわばアリーナ席だ。常連客の中では紳士協定が締結されていて抜け駆けは一切許されていない。年齢、経歴には関係なくまずはボックス席から努にラブコールするそうした取り決めになっているのだ。じゃあ、亮がカウンターで努と差しで呑みながら話をするのをなぜ常連客はスルーするのか。答えは簡単だ。亮は努を狙っちゃいないからだ。「たまにお安くないなと思うよ?」明はフラリとカウンターにやってきてちょっかいを出していくのだが明がちょっかいを出すのは、実は亮にだ。気になって仕方がないみたいだ。「大丈夫だよ。お前らみんなの努に手は出さねえからさ。」「違うよ。」明は思わせ振りに言葉を切る。亮には分からないが、努は目を伏せて明を無視する。「こんないい大人でも、切ないキモチを味わえるなんて素敵なんじゃない?」すれすれのことを言う努に、明はため息で返す。「そうだな。あわよくばとは思うが。お前を抱きたいなんて口だけだ。」「明さん。」「お前には佑樹がいるんだ。だろ?」「どういう意味なのさ。」「わかってるだろ?」いつもと違う空気に、亮が少し緊張する。「明さん。ちょっと。」努が珍しくショーケースとレジの陰に明を連れていく。彼には関係ないよ。それに。俺にだってブレーキくらいついてるから。努。しっかりしろよ。俺が、しっかりしてないって?努はつま先立ちで明の耳元に唇を寄せる。馬鹿にしないで。明の顔色が変わる。みるみる頬が赤らみ、羞恥と恍惚の混じりあった淫らな表情から弱々しく声をあげた。あ、ああっ。んあん。んふ。今度はもっと。だからね。出過ぎたことを言ったお仕置き、とでも言うのだろう感じさせておいて、ほったらかし。努は澄ました顔でカウンターに戻ってきた。「あ、もう飲み物ないじゃない。また、水割り?」亮は頷きながら、胸が早くなるのを落ち着かせるのに必死になっていた。「そろそろ帰るよ。」常連客が半分ほど帰った時刻だ。まだ店にいる常連客も酒が回ってソファーに体を預けるタイミング。もうすぐ日付が変わる。「いつも、ありがとう。亮さん。」亮は少し立ち上がってから躊躇いがちに目を泳がせる。ゆっくりレジに歩いてくるともうすでに待っていた努に微笑む。「今日は、どうした?明に何か言われたか?」明はまだボックス席に居て帰ろうとする亮を、チラチラと気にしていた。努は目配せすると、つんと顔を逸らした。ゆっくり亮に向き直る。「大丈夫。長い付き合いだから。」「よかった。こんな商売、色々あんだろうけどさ。」亮はカードで会計を済ませると努の頭をがしゅがしゅ撫でた。「ごめん。経営者を子ども扱いしちまった。」「ううん。いいの。嬉しいから。」明は、亮が帰って行った後努に駆け寄り、抱き締めた。「俺じゃ駄目かよ、俺じゃ!」「明さん。いい加減怒るよ。」努は明の腕を荒っぽく振りほどく。後ろを向かせて、明の背中に抱きついた。「ばか。逆に意識しちゃうでしょ。んもう。明さんが余計なこと言うから!」「ごめん。」「こらあー!明、抜け駆けは禁止だぞう!!」まだ残っていた常連客四人が次々二人に抱きつく。真ん中の努は、少し小柄なせいもありディープな押しくらまんじゅうをされているような気分だった。「んもう。みんな帰って寝なさ~い!!」「はあ~い!」みんな御返事だけはよく、押し合いへし合いしながら努の体にペタペタと触ってきた。お触りパブじゃありませんよっ!!努は喉が枯れるくらい叱った。平均年齢45歳の園児たちは一向に言うことをきかなかった。

      7
      テーマ:
  • 03 Oct
    • 歩と努

      「努は亮さんに惚れてんの」相変わらず有無を言わせない聞きづらいことをズケズケと聞いてくる歩である。「馬鹿だな歩は。」言えるわけないだろ、と無視を決め込む。「あのさ。それは肯定してるってことだよ。」またまた憎たらしい笑顔を溢れ返らせる歩である。「いい加減にしてくれない?!」相手にしちゃいけないと思いながらも歩の思うままのリアクションをしている自分が情けない努。「俺は抱きたいよ。もう可愛くて仕方ない。」「えっと。歩はストライクゾーンてどこまで。」「珍しいよ、こんな年上は。まあ、女は60を抱いたことある。でも、すごく可愛い人だった。」「いくつのとき?」「一昨年。あの時は俺もすっかりセンチになっちまって、ひと月浮気も手につかずだ。」「意外。」「何て言うか、俺たまに。いじらしい人とか一途な人とか。弱くなる。」「だから、亮さんなの?」「あの人は、存在が可愛い。あれに美月もころっと行ったんだな。それなのに、こっちが弱くなってるとすごく暖かくて。駄目だねあの人。浮気に至らなくて済んでるのは単に運が良かったってだけだよ。多分やられてる女たくさんいる。」努は歩のこんな一面も知っている。でも、鬼畜の中の一つまみの純情だ。その一つまみが美月を愛し、それを鬼畜が飲み込んでいく。それをコントロールしているのは他ならぬ美月だ。「俺に愛撫されれば嫌がるだろうね。それを快感でねじ伏せて。最後には亮さんから入れてって言わせられたら勝ちだ。」ほら。鬼畜だ。こう、いとも簡単に鬼畜がバトンタッチしてあっという間にとって変わる。「亮さんの父性に溺れないでいられるの?」亮の「兄貴」であり「親父」である、あの魂は強い。歩に可愛いと思わせるのは、純度が高いだけだ。相対して、目を見て語りかけられればたちまち手の中に落ちる。あっけなく、甘やかされてゴロゴロと喉をならす弱く無邪気なものにさせられる。「馬鹿にするなよ。俺は下半身の鬼畜だぜ?」「一度殴られて、あの時は一週間くらい跡が残ったでしょう?」鬼畜には無駄だと思いながらも警告を発する。だがやはり。「自分がされることにあそこまで怒りは作り出せないよ。あの人は。」美月を介していたからだ。分かりやすい。「じゃあ。俺が惚れてる人だからって言ったら。」「ずるいよ努は。そういうのなし。」歩はおどけて努の唇にふわっと指先で触れた。「あん。」「あの時のお返し。」お仕置きのつもりで歩の耳を感じさせた、あれだ。「歩はさ。今度は美月先生に泣かれるよ?」歩は不思議そうに止まった。「え?美月こそ、殴る、だろ?」「え?美月先生は泣くよ。決まってるじゃない。」この世の終わりを見たような、悲しい瞳で大粒の涙をぽろぽろと溢れさせて。美月は泣く。言葉も出ないほど、悲しそうに。歩は想像がついたようで、黙った。重い沈黙が空気に澱む。体にまとわりつく。肺に入ってきて呼吸さえ苦しい。「くそ。」歩は立ち上がる。「どうしてふたりとも。俺なんかにやさしいんだろ。」努も胸が痛くなる。どうしてだろう。なぜ、あんなにやさしいの。「はっくしょっ!くっしゅいっ!うえーい。」「いつも思うんだけどさ。そのくしゃみに必ずつく、うえーい。ってなんなの?」「しらねえ。」亮と美月は何にも考えていなかった。日常である。

      8
      テーマ:
AD

カレンダー

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。