先週、父の命日を迎えました。
亡くなって丸5年になります。
私は昔から歴史が好きでした。
中学生の頃には大河ドラマを見ていた記憶があります。
思えば、そのきっかけには歴史好きの父の影響もあったのだと思います。
父に「歴史上で誰が好き?」と聞いたことがあります。
その時、父は「秋山兄弟」と答えました。
当時の私は「誰だろう?」と思っただけでした。
振り返れば、その頃は司馬遼太郎『坂の上の雲』が新聞で再掲載されていた時期だったのかも。
もともと歴史好きだった父ですから、きっとこの作品にも興味を持っていたのだと思います。
結婚前、おそらく2000年のお正月だったと思います。
私は父が好きだと言っていた『坂の上の雲』を急いで読み、父を誘って大連・旅順へ二人旅をしました。
父は海外旅行には慣れていて、ずいぶんと連れて行ってもらいましたが、父自身大連や旅順を訪れるのは初めてだったと思います。
二〇三高地にも立ちました。
寒かったことは覚えています。
そして歴史を感じる重苦しさ。
今では、当時の細かい街の風景や旅行の記憶は、少しずつ薄れてしまっていて、そのことがどこか切なくもあるのですが、不思議と重苦しいだけの記憶ではありません。
父と二人で同じ景色を見た時間として、今も心に残っています。
その後、結婚してからNHKで『坂の上の雲』のドラマが始まりました。
通常の大河ドラマが12月に終わり、翌年1月から新しい作品が始まる、その間の時期に放送されるという、3年越しの大きな企画でした。
小説冒頭の、
「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。」
という一文、からの、
久石譲の音楽に乗せたサラ・ブライトマンの「Stand Alone」。
初めて聴いた時の衝撃は、今でも忘れられません。
切なく、美しく、何度聴いても涙が出てきます。
私にとって特別な一曲です。
そんな中、今年、発表会で小学5年生の生徒さんが「Stand Alone」を弾きたいと言い出しました。
家族でドラマを見始めたことがきっかけで興味を持ったそうです。
「だんだん話が難しくなってきて、ついていけなくなって……」と苦笑いのお母さま。
5年生というと、ちょうど歴史に興味を持ち始める時期なのかもしれません。
普段は忘れていることのほうが多いのですが、音楽というものは不思議ですね。
一瞬でその頃の景色や気持ちを連れてきてくれます。
その出来事がきっかけとなり、私はまた、図書館で『坂の上の雲』を借りて読み始めました。
幾度かの引っ越しで文庫本は手放してしまいましたが、久しぶりにページをめくっています。
全8巻という相当なボリューム……今は2巻目です。
ページをめくるたびに、父との旅や、「秋山兄弟が好き」と話していたことを思い出します。
父ともう一度、『坂の上の雲』について話したい。
「あの旅、覚えている?」
「どうして秋山兄弟が好きだったの?」
そんなことを聞いてみたい。
そして、歴史の面白さを教えてくれた父に、「ありがとう」と伝えたい。
一曲の音楽が、忘れていた記憶や大切な人との時間を再びつないでくれる。
いやぁ……毎度のことながら、音楽の力ってすごいですね。

