こちらの作品とつながってるかもしれない雰囲気のお話です

『なんか違うなあ』と思いながらも『まあそんなものなのかな』と思いながら生きてきた。
北東北の小さい町で流されるように生きてきて、なんとなく付き合っていた人との間にうっかり子どもが出来て、高校卒業の次の日にそのまま結婚してしまって。
そうやって主体性のない人生を生きてきたから、今になって悩んでいる。
「どうしたの?」
「もっと早くに私が女の人好きだって気づけたらよかったなーって」
子どもを保育園に預けるようになってから周りのお母さんとなんとなく合わないなあと感じて、独り言を聞いてもらいたくて作った秘密のSNSアカウント。
そこから偶然に知った地方在住のレズビアン女性たちの話で、ようやく自分の中の『なんか違うなあ』の正体に気づいてみても時すでに遅し。
それでもいいよと言われて参加したオフ会で出会った人と今こうして付き合っている。
「そしたらなんか違うなーって首傾げる回数減らせたし、結婚なんてしなかったと思うし」
「でも結婚したから自分の違和感に向き合えたんだと思えば必要な回り道だったんじゃない?たぶん」
甘え気味に膝枕をしてくれる彼女の手のひらは暖かい。
主体性なく流されるように生きてきた私に、彼女はやけに優しい。
「そういうものなのかな」
「たぶんね」
彼女と出会うまでは与えられたことをこなしながら、何も考えずにただ流されるように生きている人生だった。
そんな人生がちょっと明るくなったのは出会えたからだ。
彼女だけがわからないばかりの私の人生の答えを一緒に探してくれている。


以前書いて気に入ってた過去作の続き的なやつ。地方の既婚レズビアンと独身レズビアンの話、長編化できたらいいなあ(やるとは言ってない)