9/19、約二年間続けたAQUA CUPも、この日で最後の開催となった。



AQUA CUP最後の決勝に駒を進めたのはこの四人。


新井さん +213.0

ひでっちさん +207.3

ポル超完全体さん +158.7

井上貴志さん +129.6


新井さんは、予選で役満を二回アガり、堂々の予選一位で決勝に臨む。

ひでっちさんもトップ3回二着1回という素晴らしい成績で予選二位。その差はほんの僅かだ。

ポル超完全体さんは、AQUA CUP最初の開催の優勝者。最後も優勝し、有終の美を飾れるか。

井上さんは、並びを作らないと優勝は厳しいが、どこまで食い下がれるか。



決勝の席順は、東家から

井上さん-ポルさん-ひでっちさん-新井さん

となった。



東一局。いきなり親の井上さんが猛攻を見せる。

メンタンピンの5800点ををポルさんからアガると、更に次局、ひでっちさんの仕掛けとポルさんのリーチに対して14巡目

1244445678999 ドラ七

待ちは悪いが打点は驚異的。これをポルさんが掴んでしまい、24000は24300。僅か二局でポルさんは箱下に。

流局を挟み、三本場になった所で、新井さんがかわし手を入れ、親が流れる。


東二局。初っ端から展開の悪いポルさんの親。

ここは意地の2600オールをアガるも、反撃は続かず。


東三局。親のひでっちさんはドラ2のチートイツだが、なかなかツモが噛み合わず、捨て牌に対子が並ぶ。

そうしている間に新井さんが300-500をツモり、親が流れる。

チャンス手だっただけに、悔しそうな表情を見せるひでっちさん。


東四局はリーチ合戦となった。

まずは親の新井さんの先制リーチ!

四①②③⑦⑧⑨456789 ドラ四

そして、西家のポルさんが追っかけリーチ!

六七八④④⑤⑥556677

ここはポルさんが一発で⑦をツモり、3000-6000。反撃の狼煙を上げる。



東場が終わって、点数状況は以下の通り。

井上さん49400 ポルさん13000 ひでっちさん15400 新井さん22200



南一局。井上さんが1500点をアガり、再び連荘で点数を稼いでいくのか!?

と思ったところで二本場、4巡目に西家ひでっちさんがリーチ!

四四五六七①②③34589 ドラ⑦

待ちは苦しかったが、これを一発で引き寄せ、裏ドラも乗って2000-4000は2100-4100の大きなアガり。


南二局は、全員が仕掛けて空中戦となった。

これを制したのはひでっちさん。自ら親を持ってきた。


南三局。10巡目に新井さんが先制リーチ。

親が落ちて厳しい状況に追い込まれてしまったポルさんは、以下の形でテンパイする。

四六③④⑤⑥⑦⑧456777 ドラ⑤

ここは7を切ってダマテン。(五はリーチの現物)

そしてポルさんの元に、五が引き寄せられる。

―――しばし自分の手を見つめた後、ポルさんは③を切ってフリテンリーチを選んだ。

それは、勝ちに対する執念の一打。

前半、ポルさんにとっては心が折れてもおかしくないような展開だったが、まだその目に戦いの炎は消えていなかった。

しかし、この手は実らず。新井さんが2600点をアガる。



オーラス、点数状況は以下の通り。

井上さん44200 ポルさん9900 ひでっちさん23500 新井さん22400


事実上、ひでっちさんと新井さんの一騎打ちになった。

ひでっちさんはアガれば優勝。新井さんはひでっちさんを捲くればOK。


南四局。一刻も早くリーチをかけたい新井さんが、先制リーチ。

新井さんの一人テンパイで流局。

ここで一旦二人の順位が入れ替わるも、ノーテン罰符で変わる点差のため、よほどの状況でない限り新井さんは伏せられない。


一本場。親の新井さんの配牌は絶望的だった。

いつ、形テンを取りにいこうか…。第一にそれを考えてしまうくらい、ひどい配牌だった。

それに対してひでっちさん、終盤に条件を満たすテンパイを入れる。

まだか、まだか…どこにいるんだ!

ツモる手にも力が入る。

しかし、最後まで14索は姿を現さず。

新井さんも最後の最後で形式テンパイを入れ、勝負は次局に持ち越された。


二本場。

新井さんから倍満直撃、もしくは三倍満ツモで優勝、というかなり厳しい条件を突きつけられた井上さんから16巡目にリーチが入る。

一一二三三四五六七八九白白 ドラ二

よくもここまで、この手を育てたものだ…と、思わず感銘を受けてしまうほどの手作りだった。

そして、海底。

ツモれば、まさに伝説となる大逆転!!!

…しかし、最後の牌は力なく河に置かれた。

新井さん、井上さんの二人テンパイ。まだ勝負は決まらない。


三本場。ひでっちさんは出アガリ2600点以上、ツモは400-700以上、直撃は何でもOKという条件になった。

ここで中を仕掛け、必死にアガりに向かう。

もう少し。あと少しで、優勝なんだ。さっきから、あと一牌なのだ。

しかしここで新井さんから「ツモ」の声。ツモ、一盃口、ドラ1で2000は2300オールのアガリ。


これが決定打になり、新井さんがAQUA CUPファイナルのチャンピオンとなった!!


思えば新井さんは、予選こそ派手なアガりで通過してきたものの、決勝は全然手が入っていなかった。

しかし、現在の自分のポイント状況を考慮し、我慢を重ね、勝負どころできっちりと決めてきた。

まさに試合巧者。まるで、タイトル戦の決勝を何度も経験しているかのような試合運びだった。チャンピオンにふさわしい戦いだったと思う。


そして、他の三人も、本当に素晴らしい対局だった。

準優勝のひでっちさんは、いつも丁寧に熟考し、ゲームを進めていたのがわかった。

しかしなかなかツモが噛み合わず、最終的には「あと一牌」に泣かされることになった。

今回は惜しくも優勝を逃してしまったが、きっと今日のように麻雀と真摯に向き合い続けていれば、いつか神様は微笑んでくれるものだと思う。


第三位の井上さん。

親番での爆発力と、オーラスでの厳しい条件を満たしたテンパイ。

開始時のポイントは、優勝はあまり現実的なものとは言えなかった。

しかしここまで上位陣を追い詰め、あわや優勝という所まで持ってきた技術と気力。

見ている者の誰もが心を奪われ、ワクワクさせてくれた。


第四位のポルさん。

不運に見舞われながらも、決して腐ることなく、最後まで戦い続けた。

せっかく決勝まで来たのに…悔しい気持ちは、本人が一番感じていただろう。

オーラスも、一番厳しい条件だったが、それでも笑顔で打ち続けた。

麻雀は、必ず誰かが負けるゲームだ。この決勝が素晴らしいものになったのは、ポルさんのようなプレイヤーがいたからではないかと思う。


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新井さん、優勝おめでとうございます!!!


そして、年間優勝は…


おっさーさん!!!

感動的なスピーチをありがとうございます。


皆様のご協力のおかげで、ここまでやってこれました。

AQUA CUPは最後になってしまいますが、これからも水瀬千尋・水城恵利を宜しくお願い致します。


この観戦記も最後となってしまいましたが、みんなの宝物になってくれたら嬉しいなぁ。



水城恵利