- 夕凪の街桜の国/こうの 史代
- ¥840
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こうの史代さん原作の広島の原爆をテーマにした作品。
原作が好きで、何度も読み返した作品でしたので、今回はどうしても早く見たくて
試写会をオークションで手に入れて(笑)見てきました。
原爆が投下された、広島から13年。皆実は、原爆投下時の痛みを背負って生きてきた。
その痛みは、自分がだれかに『死ねばいい』そう思われるに値する人間であるということ。
そんな彼女に原爆症の症状が現れて・・・。
そしてもうひとつの時代・・・今。
皆実の弟の家族の話・・・。七波は、最近不審な行動をする父の後をつけ、広島に。父はそこで
亡き姉の足跡をたどっていた。
そして同行した友人からいまだ続いている原爆の悲しさを知ることになる。
原作では、皆実がなぜ誰かに『死ねばいい』と思われるような人間になったのかいろいろ書かれて
いるんだけど、映画ではそこはオブラートに包まれている。
その部分は、人間が極限におかれたときに、こうあってしまうそんな悲しさをあらわすのに残して
欲しかったと思うのだけど、この描き方でも十分に伝わってくる。
原爆を投下する命令を下した人は・・・そこに命あるたくさんの想いがあると言うことに気がついて
いるのだろうか。
いや・・・戦争だけではなく・・・人と争う行為そのものすべて。
相手は、敵と書かれた看板(三原順先生の作品からの引用の言葉)ではない。
家族もいる、未来もある、もしかしたら友達にだってなれるそんな人かもしれない。
皆実が死ぬ時に・・・原爆を落とした人は・・・
『やった。またこれでひとり殺すことができた』と喜んでくれてる?
そんな言葉を残して死んでゆく。
この言葉はせつなすぎる、死に値する人間ではないし、これから精一杯生きていって
いい人なのに。
被爆者の家族であることから、その後遺症がいつも背中合わせにいた七波の家族。
七波の弟は被爆者の家族と言うだけで、結婚を反対されていた。
七波もどこかに母の死などから、被爆者の家族と言うことを重荷に生きてきた。
ラストシーンで、それを全部受け止めて、しっかり前を向いて涙を流す、田中麗奈の
演技はすばらしかったと想う。
静かな映画だけど、みんなに見て欲しい。
戦争がこの世の中からなくならない限り、この物語は、終わらないと想うから。