私たちは、患者さまが本当に                           
求めていることに応えているだろうか

病と闘う、苦しさ、孤独は
何をもって埋められるだろう・・

私は、その答えを解らないまま
 その心のそばにいたい・・
生きている今を
どうか、あなたらしく生きられますように

そう願いながら、
看護を模索してきたように思います

患者さまから学なばせて頂いたことを
お伝えすることが
懸命に生きたひとへの感謝となり
看護への思いを実践していく勇気になると信じて

一井みづほ
 
 
 
🏡 家で看取るって
綺麗事ではできない
本当は苦しいんです・・
 
 
あるご家族からの告白

 

🏡 🌱

 

父が倒れた!急に!

 

左官職人だった父は、いつも元気に現場に出勤していました

なのに、突然倒れた!

救急病院に搬送され、駆けつけると意識不明の重態

 

不安に慄きながら、

救命処置を受ける父を待つ

・・・

懸命な治療で、一命は取り止めたと聞かされ

ホッとしたのも束の間

 

担当医師から告げられた診断

「脳腫瘍のステージⅣです」

 

えっ!脳腫瘍?

ステージⅣって・・

癌の末期でよく聞く言葉

命が危ない?!

助からないってこと??

 

絶望感で頭の中は真っ白になった

 

昨日も、元気に何もなく仕事に出て行った!

体の不調なんて聞いたことない・・

いつも私たちにも、孫たちにも

優しくて、温厚な父

 

どうして??

 

・・

 

懸命な治療で、

父の意識は戻り

入院して治療を受けることになったが

 

・・・

 

医師は、「余命半年」であることも付け加えた

 

 

 

母も、私も、夫も兄弟も

何が起こっているのか、受け止め切れないまま

父の入院生活が始まった

 

 

コロナ感染予防のため、

入院後は

着替えを届けるだけで

 

父に面会は

・・できなかった

 

 

父は、集中治療が終わり、リハビリへと進んだが

余命わずかで、

治療方法はもうない

これからどんなふうに症状が進んでいくのか

 

・・・

 

医師は、一つ一つ

これから起こる父の症状を説明してくれた

・・

到底、そんな症状は見た経験もなく

想像もつかず

受け止め切れないまま

日にちだけが過ぎていき、

ある日、

退院が近いと

病院から連絡が来た

 

 

残された父との時間を考えると

父が望む我が家で看ようと

父は、家に退院してくることになった

 

 

一命を取り留めた父に

やっと会えたが、

あまりの変わり様に驚いた

 

父の姿は、

倒れる前と全然違っていた!

 

顔の表情は

今までの優しい父の面影がなく

険しくなっている・・

 

言葉が話せない・・

半身は麻痺して手足が動かない

こちらの話をどこまで分かっているのか

視線や反応で伺う・・

 

支えれば、少し歩けたが

コミュニケーションをとるのが

慣れない私たちは戸惑った

 

それでも、余命わずかの父を

家で看ようと

家族で介護することになり

我が家の生活は一変した

 

🌱

 

・・✨・・✨・・✨・・✨・・

 

父の症状は、退院後

どんどん進行し

顔は、日に日に険しく変わっていく

 

支えても立っていることができなくなり、

とうとう寝たきりになってしまった

 

・・・・・

 

帰宅した時は、まだ何とか意思表示できたが

目は虚ろになり、何を思っているのか

こちらの言うことも

聞こえているのかいないのか・・

 

父らしい優しい表情がなくなっていくのが

一番

悲しかった💧

 

父との思い出までが、遠くなっていく

 

 

 

それから

母は一生懸命栄養をつけようと

父の口にスープを運ぶが

父の反応はなく

食事を取ることも

できなくなっていった

 

無理に入れれば、

喉に詰まらせるのではないかと不安で、

でも、

食べれないままでは

衰弱していく

 

・・・

 

どうしていいか・・

家族はみんな解らない💧

 

不安や焦り・・疲れが重積していく

反応のない虚しさに

母は苛立ちさえ覚え始めていた

 

動かなくなっていく父の体は

横に向けるにも重く

母は、疲れ果てていく

 

 

言葉は話せないのに、

夜になると、

雄叫びのような大きな声を上げるようになった

体が急に、ガタガタガタと痙攣し

てんかん発作も起こす

 

 

母も私も、もう不安で

どうしていいのか・・

こわくなっていく

 

夜も眠れない母

 

孫の成長を楽しみに

可愛がってくれた優しい父が

遠くなっていくようなやり切れなさ

 

・・・・

 

 

家族みんなが、疲れと虚しさゆえに

気持ちがすれ違い

ぶつかってしまう

 

父は、

お医者さんが説明した通りの症状に

すごいスピードで

変わっていく

 

わたし達、家族の気持ちは、

置き去りになっていく

 

このままではいけない

仲の良かった家族が

みんなバラバラになっていく

 

・・・

 

そこで、私は

退院当初勧めてくれた訪問看護を思い出し、

頼んでみることになった

 

 

訪問看護師さんは

苦しくなっていく私たち家族の気持ちを知ってか知らずか

「こんにちわ!」っと、

明るい声で入ってきて

 

父のベットのそばに行くと

「お父さん!こんにちは!

今日はいいお天気ですよ😊」

 

血圧を測ったり、色々ケアしながら

言葉が話せない、

聞こえているか、いないかも知れない父に、

 

話しかけ出したんです。

 

ある時は

 

「お父さん!

外は気持ちいいですよ!

春になってきましたね😊 」

 

「お父さん、

台所から🍲

美味しそうな匂いが

してきますね!

お母さん、大根炊いて

くれているみたいですね😊」

 

・・・

返事のできない父に、

まるで会話をしているかのように、

看護師さんは、話しかけていく。

 

「お母さん 😁

今日は、お父さんいい顔色してますよ。

ほら、見てあげて ! 😊」

 

 

それを台所で聞いていたお母さん、

部屋の隅で聞いていた私は、

ハッとします。

 

そうだ!

お父さんは、

お父さんなんだ!!

 

今は、口から食べれないけれど、

ずっとお母さんの作ったご飯をべて、

お母さんの夕ご飯を作るにおいを感じながら、

 

テレビを見たり、

新聞を読んだり、

うちの暮らしをしてきた家族なんだ!

 

お父さんの顔を

ちゃんと見ることも

できなくなっていたことに気づいた

 

普通に暮らしたらいいんだ・・

 

お父さんは、ここに居る!

私たちの声が届くここに生きている。

 

何も構えなくてもいい。

私たちも、

「ただいま!お父さん」って、

帰ってくればいい。

お父さんは、お父さんなんだから!


 

その時、

この訪問看護師さんの

笑顔でお父さんに接する

話しかけている光景に

単に

介護の労力を代わってくれるだけじゃないという存在に

 

家族の気持ちは

闇の中からスーッと

救われた!

 

✨ ✨ 💗 ✨ ✨

 

また、いつもの家族関係に戻れた!

 

そして何より、

お父さんと過ごした日を思い起こし、

お父さんと居る時間を

大切に思えた💞👩‍🍼

 

 

 

医師の言うように、最期を迎える時期になると

病状はさらに進行し、

夜中のてんかん発作も頻回に繰り返すようになり、

表情は苦しそうに、険しくなり

家族では、どうしてあげたらいいか

判らない状態になっていった

 

そんな父と

母の眠れない毎日を見て、

訪問看護師さんが、

お母さんが倒れてしまわないように

 

「お母さん、

よく頑張りましたよね。

看護を受けられる施設で

看取ってもらうことも

できるんですよ」

と、紹介してくれた。

 

自分たちだけだったら

この決心は

できなっかった。

 

父のためにも

安らかに緩和してもらうことが必要だった・・

安らかに看取ってあげれる自信は

もう、なくなっていた

 

でも、

この看護師さんの言葉がなかったら

ここまで来て、

自分たちから手放すような決心は

できなかった。

 

 

看護師さんが、

症状が進むお父さんの苦痛の表情と

もうお母さんも限界だなと判断して、

お母さんが、辛さで潰れないように

もう十分頑張ったお母さんに、

 

提案してくれたのだ。

 

・・・

 

最期は、父は施設で息を引き取った。

 

・・・

 

お母さんは、今でも、

あの退院当初、

お父さんの介護に疲れ果てたことを思い出すと

「お父さんにもっと、

優しい言葉をかけてあげたらよかった」と

しょんぼりすることがある。

 

でも、

四十九日の日も

 

「・・でも、あの時

訪問看護師さんが来てくれて

「お父さん、いいお天気ですね!

お母さん、

お父さんいい顔色してますよ😊」と

 

そばに寄り添い、

話しかけ、

助けてくれた!

 

あの訪問看護師さんに、

本当に感謝している。

もう一度会って

お礼が言いたい••🙏💞」

 

と言っています。

 

✨✨・・✨✨・・✨✨

 

最後に

 

彼女に聴いてみた

 

「看護師さんが、患者さまや家族さんに関わるのって、

何が一番大事って思いましたか?」と尋ねると

 

「私は、看護師じゃないから、

専門的なことは分からないけど、

患者さんに寄り添うことが、

家族にも 寄り添うことになる!

と思います。」

 

と、涙を溜めて

そう答えてくれました🙏✨

 

 

🌱 🏡 ✨

 

・・〜・・〜・・・〜・・〜・・

 

患者さまやご家族の思い

抱えている暮らしの事情は様々

病気や障害のために抱えている苦痛や

これからの暮らし方の不安

 

どこで、どんなふうに

暮らしていきたいか

どこでどんなふうに

最期の時を迎えるか・・✨

 

病気や障害によって

自分たちの力だけでは今までのように

暮らしていけなくなった時、

患者さまも、ご家族も

本当は、こうなりたいという希望と

その困難さの中で

苦しみ、

悩みます

 

 

入院から退院への方向に向かう時

患者さまとご家族の思いを

できる限り叶えていくために

私たちがその方のために

できることを探していく過程

 

いつも

患者さまの

その心のそばにいたい

 

症状の進行は

医療従事者なら想像できても

ご家族や

まして、ご本人は

計り知れない不安があるだけに

受け入れられるものではなく

うろたえ、判断することも

葛藤し、

苦しくなります

 

 

退院となるのなら

できれば、

入院している時から

その思いを共に解ってあげられる

訪問看護師と会わせてあげて

 

在宅生活を

状態のいい時も共に喜び

 

状態が悪化していくのを

家族の不安を緩和しながら

初めから、家族とともに

見守って行けたらなら

 

ご家族の後悔や

苦しい時間が

また、違った看取りが

できるかもしれません

 

 

病院にいるナースだけでは

叶えられない

退院後の患者さまの思い

ご家族の思い

 

地域のナースとの繋がり✨

 

今日もあなたの街にも

「こんにちわ!

訪問看護です😁

今日は、いいお天気ですね😊」

と、

訪ねてくるナースの声が聞こえます

 

・・✨・・✨・・