私たちは、患者さまが本当に                           
求めていることに応えているだろうか

病と闘う、苦しさ、孤独は
何をもって埋められるだろう・・

私は、その答えを解らないまま
 その心のそばにいたい・・
生きている今を
どうか、あなたらしく生きられますように

そう願いながら、
看護を模索してきたように思います

患者さまから学なばせて頂いたことを
お伝えすることが
懸命に生きたひとへの感謝となり
看護への思いを実践していく勇気になると信じて

一井みづほ
 
 

 

『お父ちゃんは、最後なんて言いたかったの?』

 

・・**・・・**・・

 

『お父ちゃんは、最後なんて言いたかったの?

あの日、夜勤だった担当の看護師さんに、

師長さんから聞いてほしい。

 

お父ちゃんは、その瞬間、

死ぬって自分で解ったのかな?

私に何か言ってなかった?って

聞いてほしい。

 

心臓悪かったから、死んでしまったのは仕方ないと思うけど、

お父ちゃんは、

私に

何も言わずに死ぬ訳がないと思うんです。

何か、言いたかったはずなんです』

 

入院したその日の夜に急変し、

救命処置の甲斐もなく亡くなった

患者さまの奥さまから

 

数ヶ月経ってお会いした時に、

かけられた言葉です。

 

・・**・・・**・・

 

奥さまが、夜中、

病院から呼ばれて駆けつけた時には、

すでに心肺停止しており、

ご主人が息を引き取る最期に立ち会えなかった

ことが、

数ヶ月経った後も、

ずっと自問自答し、

苦しんでおられたのです。

看護師を何十年経験したからといって、

人の臨終に慣れることはありません。

お一人お一人の闘病生活も、

人生も違うから、

心に遺っています。

 

でも、看護師は、

御見送りした後も、

次々、他の患者さまのことがあるから、

心の内に、亡くなった重みを持ちながら、

仕事を続けます。

 

そしてまた、新しい患者さまが入院して、

働きながら月日は経っていきます。

 

・・**・・・**・・

 

しかし、患者さまのご家族は、

ずっと24時間、

亡くなった人との思い出を

家のあちらこちらに感じながら、

『もういない、帰ってこない・・』

という現実と、

向き合って生きていかなければなりません。

 

 

もしも、亡くなる最後の瞬間を

枕元で手を握り、

息を引き取るご主人に

 

「ありがとうお父ちゃん」と

声をかけ、

お別れを告げる看取りができたなら、

 

その後の悲しみや苦悩は、

また違ったのではないか

と思うのです。

悲しみを乗り越えていくには、

時間(年月)がかかります。

 

悲しみを慰められるのは、

時間だけかもしれません。

 

 

胸に抱えている苦しさを吐露できるまでにも、

すごいエネルギーを要します。

 

 

人生で、人に一番ストレスを与えるのは、

最愛の伴侶・最愛の子どもを亡くす経験

とも言われています。

 

 

入院して間もなく亡くなってしまった患者さまとは、

私たちナースも、

ご家族との関係性が構築できないまま

お別れすることになり、

亡くなった後の家族さまへのケアが、

十分できていないことを

理解しなければなりません。

 

 

亡くなってしまった後、

私たちにできることは、

限られているかもしれません。

 

でも・・・

ご主人との思い出をたくさん聴き、

ご主人に今、思っていることを

話したいだけ話してもらう。

 

 

いろいろなご主人との場面を

再現していく過程で、

奥さまは、

 

『そうやわ!

主人はきっと

こう言いたかったに違いない。

 

私が悩んで苦しんでたら、

あの人、心配するね。

 

自分の方がしんどかったはず

なのに、

私の身体を心配して、

遅くまで畑仕事していたら、

「お母ちゃん、もう終われよ!」

って

言いに来た。

 

 

お父ちゃん、ごめんよ。

もっと早く病院へ連れていくべきやった。

頑固やったから、言うこと聞かへんやろって

思ってた。

 

 

お父ちゃんは、

「お母ちゃんは、長生きせえよ」

って

言ってるね。

 

・・・

 

長年連れ添った奥さまは、

話すうちに、

ご主人の思いをちゃんと本当は、

解っていることに気づいたのです。

 

『最後の声を聴きたかった、

最後の声を届けたかった』

 

この思いは、

生涯消えないかもしれませんが、

 

思いを吐露することで、

前を向いて生きてゆく気持ちを

見いだしてゆくのです✨🌈

 
・・**・・・**・・
 
「ナースになりたい」と思った日を
✨💕
 
いろいろな職場風土や現状との葛藤がある中で、
見失いたくないもの、最優先すべきもの、
「患者さまが求めていることに、
私たちは応えているだろうか・・」
ということ。
 
どんな状況や病状でも、
患者さまのそばに行けるのは、
私たちナース。
 
私たちは、
病院という環境で闘う患者さまの生き方に触れながら、
患者さまから、
とても尊い時間をいただいている。
 
誰だって、
人生の終の住処を病院で・・とは、望まない
 
でも
動きがとれなくなった体で
どうすることもできない。
 
家族の事情も、ご本人の事情も
ここに居るという選択の現実
 
だからこそ、
私たちは
 
患者さまの思いに耳を傾け、✨
ご家族の気持ちにも
寄り添っていく✨
 

患者さまに

寄り添い続ける優しさと、

ナースになった時の志を
持ち続けられるよう応援したい
そう思って
このブログを書いています
 
今日も
あなたの声を待っている
患者さまがいます
 
 
今日は
どんな会話をしましたか?
 
患者さまの思いに触れれば触れるほど
 
きっと
 
あなたも笑顔になれる😊
 
この仕事を選んで良かった!
 
患者さま、ご家族の思いに
寄り添った時
 
患者さまが
あなたに
 
「ナースになりたい」と思った日を
思い出させてくれるから
 
✨💕