私たちは、患者さまが本当に                           
求めていることに応えているだろうか

病と闘う、苦しさ、孤独は
何をもって埋められるだろう・・

私は、その答えを解らないまま
 その心のそばにいたい・・
生きている今を
どうか、あなたらしく生きられますように

そう願いながら、
看護を模索してきたように思います

患者さまから学なばせて頂いたことを
お伝えすることが
懸命に生きたひとへの感謝となり
看護への思いを実践していく勇気になると信じて

一井みづほ
 
 
 
(その2)✨家に帰りたいを叶えよう🌱🍋 

前回の続き

 

「家の窓からね

レモンの木が見えるの」

 

「へえーっ!レモンの木?

🌱見たことないです」

と言うと

 

「可愛い花が咲くのよ😊‥」

と微笑んだ 

 

🌱🍋

 

・・✨・・✨・・✨・・✨・・

 

難病の進行で

人工呼吸器をつけることになった

専業主婦だった患者さま

 

人工呼吸器を装着して

命は助かった!

でも患者さまの表情は晴れない

 

人工呼吸器は

彼女から声を出すことを奪い

呼吸器の接続が外れないように

横を向くのも制限があり

痰が絡むと

チューブで吸引をしてもらわねばならず

アラームが鳴ると

神経を使い・・

 

 

病室を訪ねると

その表情は

切ない眼差しで私を見上げた

 

今までに経験したことのない不自由さの中で

ストレスを抱え、

ひとり思い倦ねていたのが分かる

 

これから

どこでどんな風に暮らしていきたいか

いっしょに考えていく

 

 

患者さまは

そばで音を立てる人工呼吸器にチラッと目をやり

『それでもワタシは、ワタシの家で暮らしたい』

と、涙ぐんで訴えた

 

🏡 普通の暮らしに 🌱🍋

幸せを紡いできた彼女の選択

 

「そうだよね・・

そうだよね!

家に帰りたいよね・・😊

これから先

お父さんと家族離れ離れで

(呼吸器があるからって)

ずっと病院が

安心な場所じゃないんだよね😊」

 

患者さまは

ほっとしたように

こっくり

うなずいた

 

今のこの状態のもどかしい悔しさを

命が助かった!✨生きていることの喜びに

変えることができるのは

彼女の好きな窓辺に

帰ることだ!🌱🍋

 

彼女の

🌱🍋窓辺の景色を思い出した時の

😊微笑みに

 

 

わたしは

なんだか

大きな勇気をもらった

 

家に帰りたいを叶えよう!

 

好きな窓辺を見にいこう🌱🍋

 

・・・・・

 

病院なら

何かあれば、すぐ医師もいる

24時間、夜中も早朝も、休日も

看護師がそばにきて看護している

人工呼吸器のメンテナンスも

臨床工学技士が毎日きて安全に管理している

 

でも、だからといって

それが安心できる患者さまの居場所ではない

 

 

その当時、この地域では、

人工呼吸器をつけている患者さまは

何人も、病院に、長年にわたり

入院していた

 

患者さま本人の意思とは別に

周りも、家族も、私たちも

退院に踏み込めなかった

 

家族は、医療従事者ではないし

 

高齢化する中で、

 

家族も、病院が一番安心だと

 

困惑する現実があった

 

・・・・・

 

でも、何のために人工呼吸器をつけたのか

誰のためにこの命を繋いだのか

 

これから先の人生を

生きている今を

誰とどこで、どんなふうに生きるのか

 

そこに

患者さま本人の思いを叶えることができなければ

生きていることの喜びは

どこに見つけられるだろう

 

・・・

 

繋いでいこう!!

患者さまの思いを❣️

 

 

・・〜・・〜・・・〜・・〜・・

 

チームになって繋がっていく

 

都会や他の地域では

在宅で人工呼吸器をつけて暮らしている人々はいる

当時見たテレビ番組でも

若い方に車椅子を押してもらい

いつもの日常がそうであるように

ロフトで楽しそうに

買い物をしている様子が映り、心に残っていた

あれは、確か

サポートするNPO法人団体の紹介だった

 

でも、この地域には、そういう団体はないから

 

・・・

 

主な介護者は、家族になる

 

 

この地域の在宅サポートは・・?

 

往診医・・探さなければ・・

✨夜間休日の体調不良は?・・病院が協力し、バックアップすれば

きっと受けてくれる

地域の先生方は温かい

 

訪問看護ステーション・・毎日、休日なしで訪問してくれるだろうか?・・

✨有力な頼れる看護師さんを知っている

大丈夫!!

訪問介護ヘルパー事業所・・呼吸器をつけたまま体を拭いてもらったり

入浴介助も看護師と協力がいる!

✨信頼できるケアマネージャーさんが

きっと手配してくれる!

✨介護ヘルパーさんは、人情の熱い親身な人が多い

訪問リハビリだってある

 

車椅子・・体位を支える過ごしやすいスタイルのが要るよね

経済的には、何か使える支援があるだろうか?・・

私がいた地域医療連携室には、

頼れる医療ソーシャルワーカーがいる

✨彼女たちの専門知識、熱意、真摯な姿勢は病院の誇りだ

 

 

患者さまにとって呼吸器のアラームや

痰がからんだ時の対応は

不安がないように

ご家族へ吸引や在宅介護の方法

人工呼吸器の取り扱い指導も必要になる

病棟看護師の協力は必須!!

 

✨忙しくても、彼女たちはいつも前向きだ

心強い。大丈夫!!

 

 

呼吸器のメンテナンスは・・回路交換は?・・

その度に病院に連れてくるのは大変だ

呼吸器に関係する必要物品の定期的な調達も・・

万が一、停電したら・・一般家庭では?・・

✨病院の臨床工学技士さんは、いつも的確で親切だ。

相談に乗ってくれるに違いない!

 

急変や緊急時の対応は?・・救急隊とのスムーズな連携も、事前に必要だ

隊員さんたちとは面識がある

✨勉強会も熱心に合同でしてくれた

情報共有しよう。大丈夫!

 

 

電話をかけては思いを伝える

直接会っては思いを伝える

 

こちらが、患者さまの思いを繋ごうとすれば

地域の力があることに感謝が溢れてくる

 

 

しかし

 

ご家族の在宅介護を

在宅サービスである程度補えたとしても

 

人工呼吸器の取り扱いの注意

呼吸器の加湿器の蒸留水の補充や

呼吸器の回路(管)の水滴除去、

夜間、日中問わずの吸引

呼吸器のアラーム(トラブル)対応

等々

 

ご家族自身に

介護してもらうことがいろいろある

生活スタイルも

家族がちょっと外に出ているときに

何かあっても

患者さまは自分で対処できないから

ご家族は

在宅サービスとの時間の折り合いの中で

暮らすことになる

 

 

患者さま同様に

ご家族の思い、

意思が大事になってくる✨

 

 

ご家族と話し合いをする

また

ご家族だけでも話し合いが繰り返される

都会で立派に働いている娘さん

家族にも仕事があり、人生がある

 

経済的な生活そのものの問題も重要だ

こちらから

押しつけてはいけない

 

患者さまの思いを受けて

ご家族は気持ちを整えていく

 

 

ご家族が

できるところと、できないところ

不安なところを

一緒に出し合って考えていく

 

退院後の生活が想像できるように

ご家族の思いを聴いていく

 

在宅をサポートしてくれる方たちと

先ずは顔合わせもする

 

ご家族が、

これなら家で介護できると思えるところへ

一緒に

話し合っていく

 

・・✨・・✨・・

 

病棟看護師は、

ご家族に指導を始めてくれる

臨床工学技士さんは、

人工呼吸器が在宅で使いやすいように

機種の選択も考えてくれる

停電時に対応できるバッテリー内蔵型に

別にバッテリーを準備することも

ご家族に寄り添って教えてくれる

 

 

初めての人工呼吸器での在宅生活サポート

呼吸器のメンテナンスも含め、

患者さま・ご家族の在宅療養の不安や

地域の在宅サポートの方たちとの連携は

退院後も

病院からも継続的な関わりが必要ではないか

 

トップに相談すると

継続した在宅への関わりを後押ししてくれた

 

臨床工学技士さんも、

人工呼吸器の患者さまについては

直接在宅へ訪問し、人工呼吸器のメンテナンスや

回路交換を在宅でサポートしてくれることになった!

病院の呼吸器や透析、医療機器全般の管理業務だけでも大変なことは知っている

でも、その時の臨床工学技士さんが言ってくれた言葉が忘れられない

 

「僕たちが扱っているのは、医療機器の機械だけど

患者さんにマッチして安心して暮らせて

初めて医療機器の提供価値がある。

医療機器は患者さまの一部でしかない

患者さんが、安全に

安心して生活できてこそだから

在宅へ行きますよ!

一緒に行きましょう😊」

 

神〜っ🙏✨

 

感動した❣️

 

✨チームで仕事ができることの喜び✨

 

気持ちが一つになった!!

 

 

そして、毎月、看護師の私と臨床工学技士さんは

人工呼吸器を使っている患者さまの家へ

継続して訪問できることになった

 

病棟では、人工呼吸器の指導チェックリストも

出来上がっていった

救急隊への連携も、直接家に行って共有できた

 

訪問看護師さんたちは、

いろいろな在宅環境のアイデアを提供し

入院中から患者さまとご家族に会っては

寄り添い、安心させてくれる

 

元々温厚なご主人

やっと本来の笑顔が見れるようになってきた

会話の中に

在宅介護に覚悟を決めた気持ちが

どうにかなるやろ😊・・という言葉になった

大丈夫!!

 

 

病院の中でも

病院の外の人々とも

チームになって繋がっていくことを

教えてくれた患者さま✨💖

 

人工呼吸器があっても

病院から、我が家へ!🏡

この地域で、この病院で、初めての取り組み

 

 

患者さまの切ない眼差しと

🌱🍋「可愛い花が咲くのよ」と言った微笑みは

 

それから、何年経っても

何人もの人工呼吸器の患者さまに出会うたびに

私に在宅へ支援することの大切さと

地域の人々との絆を与え続けてくれた

 

 

患者さまの願いが叶って

訪問看護師さんや臨床工学技士さんと一緒に

 

🌱🍋 家に退院した日 🏡

 

ベットに休むと

窓からレモンの木の葉っぱが

風にそよいでいるのが見えました🌱

 

そして

窓からのぞき込むように

ご近所の奥さんが

 

「お帰りい❣️

帰って来れたんかねえ・・」

と言って

患者さまと顔を見合わせると

 

声をつまらせ

・・・

お互いに

涙いっぱいにためて

 

「よかった・・お帰り😊」

 

迎えてくれました🌱

 

その光景に

胸がいっぱいになりながら

家に帰ることの尊さを

心に刻みました🏡✨

 

・・〜・・〜・・・〜・・〜・・

 

患者さまの思いや抱えている暮らしの事情は様々

病気や障害のために抱えている苦痛や

これからの暮らし方の不安

 

どこで、どんなふうに

暮らしていきたいかの希望✨

 

病気や障害によって

自分の力だけでは今までのように

暮らしていけなくなった時、

患者さまもご家族も

本当は、こうなりたいという希望と困難さの中で

苦しみ、悩みます

 

 

入院から退院への方向に向かう時

患者さまとご家族の思いをできる限り叶えていくために

私たちがその方のために

できることを探していく過程

いつも

患者さまの

その心のそばにいたい

 

病院にいるナースだけでは

叶えられない

 

地域の人々との繋がり✨

 

 

患者さまは

病院の病床の患者さましか知らなかった私に

病院の外の景色を

生き生きと

見せてくれました✨🌱🍋

 

 

 

・・✨・・✨・・