こんにちは、ペット家族動物病院瑞穂店です。

蝉の大合唱が連日にぎやかですね。

お祭りや花火大会など楽し気なお知らせが続々で、夏らしさ全開の空気感に、うきうき出歩きたくなってしまいます。熱中症対策を万全にした上で、存分に暑さを満喫しましょう! 

 

盛夏にあるあるのお問い合わせ、それは「○○を食べちゃったけど、大丈夫?」

○○には、いろんな虫の名前が入ります。夏は、多くの虫たちが姿を現す季節。地面に転がっている蝉やミミズをパクっとやってしまうワンちゃんや、バッタやゴキブリを狩るネコちゃん、いますよね ゲッソリ

 

通常、虫を食べたとしても健康被害は出ませんが、以下のような場合は注意が必要です。

・腐敗した虫 →下痢・嘔吐する可能性あり

・大量の虫 →下痢・嘔吐・腸管閉塞の可能性あり

・殺虫剤等で駆除された虫 →中毒を起こす可能性あり

・蜂(の針) →アナフィラキシーショックや死亡の可能性あり

 

食べてはならないものを食べることを「誤食」と言います。

動物にとって虫を食べることが「誤食」に該当するかどうかは微妙なところですが、生死に関わる可能性がある場合は、病院に連れて行ったほうが良いでしょう。

 

動物は、虫以外にも思いがけず色々なものを飲み込んでしまうことがあります。小石、タバコ、害虫駆除剤、コンタクトレンズの収納ケース、スマホの充電器、乾電池、保冷剤、乾燥剤、灯油、釘、ピアス、歯間ブラシ、ヘアゴム、リボン、フィギュア、破壊した犬用トイレの一部、食いちぎった壁紙、ティッシュペーパー、ビニール袋、ゴム風船、生肉、生魚、ブドウ、レーズン、アボガド、桃の種、梅干しの種、ユリ、スナック菓子、チョコレート、ココアの粉、タマネギ、ネギの混ざった納豆、作成途中の餃子、アルミシートごと薬を飲み込んだ・・・等々。これらは、誤食を主訴に来院した動物のごく一例です。生活圏内にあるものなら何でも誤食し得る! という感じですね。

 

誤食しても何の問題のない物もあれば、ひと舐めでも重大な健康被害をもたらす物も存在します。

「うちのこが△△を食べてしまった!」

その時は△△の誤食が動物の健康状態に影響するのかしないのか、必ず調べて下さい。調べても情報が出てこない場合は動物病院にご連絡下さい。調査・連絡のタイミングは、誤食に気がついた時点ですぐ、です。大したことじゃないと思った、誤食させてしまったことを知られたくなかった、連絡する時間がなかった、等の理由で様子を見てしまう方が稀にいらっしゃいますが、絶対だめです。中毒物質や、腸に詰まったり刺さったりする可能性のあるものは、時間経過するほどに死亡する確率が高くなってしまいます。できるだけ早急に対応することが肝要です。

 

 

誤食してしまったものを体の外に出すには、3つの方法があります。

 

①催吐(口から出す)

吐き気を誘発する薬剤を使い、誤食物を吐き出させます。誤食物が胃の中にあり、安全に吐かせられる形状のものであれば、からだへの負担が少なく確実な方法です。誤食から時間経過している場合や、とがった物、粘膜を焼く可能性があるもの、大きい物は適応外です。ごく稀ではありますが、強い薬剤を使っても頑固に吐かない動物もいます。衰弱して吐く力がない動物でも行うことができません。

 

②下剤(肛門から出す)

下剤を使い、誤食物を便と一緒に排泄させる方法です。時間経過していて誤食物が腸まで流れてしまった場合に実施することがあります。腸を通過できる形状で、毒性が少ないものであれば行えますが、途中で腸に詰まったり、吸収されて毒性を発現するリスクはあります。とがった物、粘膜を焼く可能性があるもの、大きい物は適応外です。

 

③手術(内視鏡や胃腸切開で出す)

内視鏡や胃腸切開で誤食物を除去します。①②では対応不可能な誤食物を摘出する方法です。麻酔や入院が必須です。

 

ほか、補助的に、吸着剤や点滴を使ったり、胃にカテーテルを入れて胃の中を洗う胃洗浄を行う事もあります。どの方法で行うのが最も適切かは、誤食物の種類・形状・量・いつ誤食したか、で変わってきますので、受診する際にはこれらの情報を正確にお伝え下さい。

 

ご協力のほど、よろしくお願い致します。