その時、担任の先生から言われた言葉は、
「持って来なかったくせに、嘘をつくんじゃない」
でした。
「嘘なんかじゃない!! 本当に持って来たのになくなったんです」
泣きながら一生懸命訴えました。
でも、先生には信用してもらえませんでした。
悔しくて、悲しくて……。
今でも心に残っている出来事です。
そして、その時、幼い私は思いました。
「先生になろう‼️」
「子どものことを考えてくれる、優しい先生になりたい」
それが、私の最初の将来の夢でした。
子どものことですから、周りの友達に影響されたり、テレビのヒロインに憧れたりして、「将来なりたい職業」が変わることも度々ありました。
でも、高校2年生の頃には、
「大学は教育学部に進んで、小学校の先生になろう」
と決め、国公立大学の文学部コースを選択しました。
ところが――。
いよいよ進路を最終決断するという時、父から思いもよらない言葉を告げられました。
「お前は、看護師になれ!」
寝耳に水とは、このことです。
看護師になるなんて、それまで一度も考えたことがありませんでした。
病気をしたこともなかったので、看護師がどんな仕事をするのかさえ、よく分かっていませんでした。
それでも、父には逆らえませんでした。
しぶしぶ父が持ってきた願書を書き、受験しました。
「落ちればいい」
そんなことまで思っていたのに……。
なんと、まぐれで受かってしまったのです。
「えっ……受かったの?」
ここから私の人生は、自分が思ってもいなかった方向へ進み始めました。
あの時、もし落ちていたら――。
私の人生は、どうなっていたのでしょう。
今振り返ると、人生には、自分で選んだ道だけではなく、思いもよらないところから道が開かれることがあるのだと思います。
当時の私は、まだ何も知りませんでした。

