このブログは公開の句会記録です。 


句会は「夏雲システム」で行っております。

毎月17日23時に投句(5~7句)締め切り。

同月24日23時に選句・選評の終了。

1年後同月末、このブログに結果を掲載します。

水の会では参加者を少数募集します。

会員をご存知の方はその人を介してお申し込み下さい。知人の居ない方は今月の選句選評の下段の補遺をご連絡ください。

投句一覧

1. 青梅雨やふと見る路地の深くして

2. 街路樹に紫の花梅雨晴間

3. 金山の今は昔や蕗を刈る

4. それぞれの窓にともしび梅雨の星

5. 三日月の作る濃き影蛍湧く

6. 梅雨寒しひとつふたつと手離して

7. 荒梅雨に山の斜面の滑り落つ

8. 十薬や臨時賞与が出るといふ

9. 青梅雨や水の匂ひのする女

10. 濃二藍返し技一本剣の道

11. あの頃をばかり肴に冷やし酒

12. このところ失せ物多し梅雨晴間

13. 山の寺藍錆色梅雨間近

14. ガリバーの旅彷彿と蟻の列

15. ひつそりと子が泣いてゐる夕涼み

16. 生まれ来てアサギマダラは旅に出る

17. 富士筑波品川寺領梅雨夕焼

18. たっぷりと生姜効かせて背越し鯵

19. 濃き緑ワサワサワサと揺れ動く

20. 一日花苔茂る沙羅浮かびをり

21. 走り梅雨三四郎池にて遭難す

22. バスの窓より流れきて梅雨の風

23. 忘れ物届けるついで梅雨に入る

24. 坂道の夏鶯の日暮かな

25. 墨磨って珠洲の歌書く梅雨の月

26. なんとなく満ち足りていて姫女苑

27. 渾身のまづ一つめを朴の花

28. 祭近づく黎明の写真館

29. 白蛇の脱皮の如く風邪治る

30. 万緑の中より軽きげっぷかな

31. 咲きそろふ雨にはぜるや紫陽花苑

32. 青梅雨やただ真茶色の造成地

33. 棚田の池モリアオガエルの泡タマゴ

34. かはほりに二藍移るゆふべかな

35. 岩陰の山あじさいの紫の

36. 梅雨三日月田の面にもあり明るかり

37. 富士の山梅雨前線層状雲

38. 源氏香若紫の風を聞く

39. こんな日は寂しくないな陽のまぶし

40. 夕焼けを惜しむ山河の濃紫

41. 火星には火星の暮らし額の花

42. 一間づつ整理してゆく梅雨深し

43. 梅雨雲に一暼くれて歩き出す

44. 紫を最初に踏めり虹の端

45. 三光鳥胡乱な鴉攻撃す

46. 刈草のひんやり匂ふ梅雨入りかな

47. 吾よりも長生きしさふこの金魚

48. 菖蒲田の紫のなか白菖蒲

49. 梅雨茸のオムレツ朝のパンに添え

50. たっぷりの梅雨を飲み込み樹よ育て

51. 同じ方へなびく茅花の恐ろしき

52. 二藍の紫陽花の色移ろひて

53. つかのまの二藍なりき尾根暮るる

54. きらめくや源氏が舞う梅雨の星

55. 梅の木も椎の木もある茂かな

56. 熱き湯にしぼる雑巾梅雨じめり

57. 影のような静かな町で子を産んで

58. 笹百合の古代紫裾模様

59. 梅雨曇白き十字架空に立ち

60. 雨の日はひとり座りて梅仕事

61. 梅雨の星小さき吾娘の生まれし夜

62. 紫の飴玉もらふ小さな手

63. 陰口につい釣り込まれ梅雨寒し

選句・選評

6点句

(特選)かしこ(選)武内 文代 佐柳 きなこ

 青梅雨やふと見る路地の深くして (三空)

*どこかの映画監督のカメラアングルのような描写。モノクロに近いカラー。

情緒のある句。──さとうかしこ

*視界に入ってきた「青梅雨」自分の顔も建物も 花の色に染まって。──武内

*草木が色鮮やかな緑に煌めき、雨の滴る音が聞こえる。ふと見た路地の奥に青い吸い込まれそうな細い道。まるで別の世界の入口のような幻想的な青梅雨の句。──文代

*しっとりと、そして少し暗くて植物の繁茂した路地が見えてきます。──佐柳恵美子

*梅雨は、いつもの路地もすべての景色も、陰影濃く、深いものに見せる。──きなこ

*予選── 季語が景全体と上手く響き合っていると思いますが、上五がくっきりと「や」切れているので、後半、中七の「の」で、軽くですがもう一度切れが入る感じがする…、そこが少し気になりました。──安達潔

(特選)安達(選)紫苑 武内 きなこ 文代

影のような静かな町で子を産んで (白浜和照)6点

*無季ですが、「影のような」の巧みな比喩に惹かれました。現代語表記がよく嵌って、取り立てて大型店があるわけでもなく、個人商店や個人事務所が所々に寄り合っているようなその町の佇まいが、すんなり立ち上がってくる、そんな感じがしました。静かな町での出産、母と子に幸あれかしとつくづく思う次第です。──安達潔

* どんな状況なのかわかりません。想像膨らませても分かりません。知りたいです。

とにかく小さな命がそっと育まれてる、、。──紫苑

*誰にも言わず 一人 見知らね地で産んだのか?胸が締めつけられる句です。──武内

*影のような町とは・・・静かで平和で、世の中から隔絶されているようなそこはかとなく哀しみを含んだ町?

その影のような町で母と子はひっそりと幸せをかみしめている(いた?)のでしょうか。

ところで、父は何処へ?(笑)──きなこ

*これも無季語か。何だか、心惹かれ句。“影のような静かな町”って、どんな所だろうか。転勤で夫についてきて?それとも一人で隠れるようにそっと産んで?それとも実家なのかしら?想像してみるといろんな人生が見えそう。今はきっと静かな町で住んではいないんだろう。──文代


5点句

(特選)掃部(選)白浜 三空 半田

刈草のひんやり匂ふ梅雨入りかな (安達潔)

*「響き」「リズム」「切れ」韻文としての句姿が出来ている。──掃部けいじ

*全く縁の無い世界ですが、飼料なのでしょうか。梅雨入り前に刈られ丸められた屋根の下の草だと思います。「ひんやり匂ふ」で季節感と情景が的確に描写されているのだと思います。なだらかな牧草地の広がりと薄い雨雲の暗さも見える様です。──白浜和照

*「ひんやり匂ふ」はとても詩的でいい表現だと思います。梅雨入の頃の空気感が伝ってきます。──三空

*どんな草なのかなと思ったら、刈草でした。

読んだ時に、刈ってない草がいいのでは、と思いました。

でも草の置かれている様子を想像するに、例えば朝露の濡れた匂い。ひんやりと匂うのは梅雨入りであることが納得、と感じました。──半田真理

4点句

(特選)紫苑(選)白浜 半田

雨の日はひとり座りて梅仕事 (佐柳恵美子)

* 梅仕事ととは巧みです。

やらなきゃこの時期は終わらない。晴れより雨の日が絶好。

少々疲れてきましたが矢張りやりました。一粒づつヘタをとり

丁寧に拭いて、そして仕上げた時は、、そりゃ一人で悦にいります。勿論ひとりすわりてですよね。──紫苑

* 梅仕事がなんとも良いですね。映像ならば、田中泯かイッセー尾形か男の感じを受け取りました。 ただ作者は女性かと思います。男前過ぎる句なので。──白浜和照

*なかなか手間のかかる仕事ですよね。

夢中になって、気がつくと猫背になっていたりして。すっかり日も暮れて、あ、お夕飯作らなくちゃ。

この句は、雨の日だから成立しているのでしょう。──半田真理

*予選──花も良し、香りも良し、6月実がなれば梅干し、梅酒、梅ジュース、梅は素晴らしい。

雨の日は一人静かに梅仕事。──きなこ

(選)掃部 紫苑 佐柳 三空

 梅雨寒しひとつふたつと手離して (文代)

*省略の妙。〈さらり〉感覚の余韻に好感。──掃部けいじ

*身辺整理でしょうか。一つまた一つ。あんなに大事だったものが今となれば取っておいても仕方ないなあと思えてくる不思議。えーい!とタンスごと手放した私です。作者は惜しみながらの様な。──紫苑

*終活でしょうか。暑くなる前にやっておかねば。梅雨寒しで明るくはない気持ちが伝わります。──佐柳恵美子

*思い出のしみこんだ物を手放すのは、その思い出を無くすようで何となく寂しいことでしょう。梅雨寒がその思いを強めています。──三空

*予選──片付けてゆく中 いろんな思い出も手離しているのでしょう。──武内

* ──半田真理

(選)かしこ 掃部 武内 文代

一間づつ整理してゆく梅雨深し (三空)

*梅雨深し、で取りました。

終活かな。──さとうかしこ

*「づつ」「ゆく」「深し」の〈流れ〉としての〈まとめ〉が功。──掃部けいじ

*同じ経験をしました。──武内

*亡くなった方のお家を一間ずつ片付けて整理しているのか。梅雨の中を。こんなものがあった。思い出に浸ってなかなか進まない。梅雨深しがあってる。──文代

*予選──佐柳恵美子

3点句

(特選)白浜(選)掃部

ひつそりと子が泣いてゐる夕涼み (安達潔)

*上五中七と下五の離人症的乖離がとても魅力的です。ひっそりと泣く子、この子が児童幼児の類ならば問題の深そうな家族関係が浮かびます。また年を取った子ならば、親子どちらかが死を覚悟せざるを得ない大病の宣告を受けたのでしょうか。読み手には、様々のマイナーな想像が湧きます。いずれにせよ作者には状況の認識はあるものの、それが感情に触れる事は無く若しくは無関心の世界。夕涼みの、個人的な皮膚感覚がまた良いですね。──白浜和照

*上五・中七の措辞が〈静寂〉。静けさも〈涼しさ〉には大きな要素。──掃部けいじ

*予選──どうしたのかな?──きなこ

(特選)武内(選)佐柳

つかのまの二藍なりき尾根暮るる (安達潔)

*「ニ藍」から 空のうつろいと山の変貌。作者は登山経験者か?この後もいろんな景色が見えてくるようです。──武内

*美しい。二藍が適材適所な感じです。──佐柳恵美子

(特選)きなこ(選)紫苑

青梅雨や水の匂ひのする女 (文代)

*水の匂いって、どんな匂いなのでしょう?

連想・・・ひんやり・たおやか・清涼、惹かれますなぁ。──きなこ

*水の匂いって?どんな匂いかしら。季語 青梅雨が語っているんでしょう。妙に気になる句。いただきました❗️──紫苑

*予選──「水の匂ひのする女」具体的にはどの様な人なのか分からないのですが、含みの豊かなイメージ描写だと感じます。きっと「青」梅雨だから一ランク上の良さなのでしょう。青春、若々しさ、季節も体も瑞々しいエロスを感じます。──白浜和照

(特選)文代(選)佐柳

梅雨曇白き十字架空に立ち (三空)

*身のまわりに亡くなる方が続いた。乳児の頃から娘をお世話して下さった方も、クリスチャンのご両親の白い十字架の下に一緒に眠っている。雨の隙間の梅雨曇に白い十字架のような雲が立ったら、私も娘も彼女が恋しい。そんなことを思わせる句だ。──文代

*天草の風景が浮かびました。視点がぐいっと上に上がる感覚が好きです。──佐柳恵美子

(選)掃部 安達 文代

白蛇の脱皮の如く風邪治る (きなこ)

*このような治癒の感覚を経験したような気がする。奇異な感覚ながら同感──掃部けいじ

*季語を比喩に使って、しかもナルホドです。「く」が「し」だったらなあ…。──安達潔

*お城の石垣で、蛇の白い抜け殻を子どもが見つけた。得意そう。私に持たせてくれない。蛇は皮をもそもそと脱ぐ。ちょっとお休みして、草叢にするりと潜り込む。ただの蛇でない。神様の白蛇だ。そんな風に風邪が治ったら、上手く生きられるかも知れない。──文代

*予選──白蛇なんですね。風邪を折り畳んで財布に入れると金運が爆上がり。風邪の効用と言う本では、真に健康な人は半日程度風邪を引き体のバランスを回復させるとあります。作者も内部の神々しい体に再生されたご様子。──白浜和照

*──紫苑

*──三空

2点句

(特選)佐柳

ガリバーの旅彷彿と蟻の列 (掃部けいじ)

*蟻たちを見てガリバー旅行記に重ねる、面白いです。──佐柳恵美子

*予選──紫苑

(選)紫苑 白浜

熱き湯にしぼる雑巾梅雨じめり (掃部けいじ)

*熱い湯でギュと絞ってキュキュと拭き上げて、、あ〜気持ち良いこと。やってみよう。──紫苑

*遠い昔にこんな記憶があります。

このリアリティは特選なのかも知れません。一体どこの記憶なのかしら?自宅では無い、小中学校でも無さそうな廊下の雑巾かけでした。湯で雑巾を絞るのは、梅雨時期の水分を早めにとばすためなのでしょう。季節の深い生活感が丁寧に描かれております。──白浜和照

(特選)三空

なんとなく満ち足りていて姫女苑 (白浜和照)

*「なんとなく」で作者の慎ましい生き方が見えてきます。季語の姫女苑の選択素晴らしい。──三空

(特選)半田

こんな日は寂しくないな陽のまぶし (きなこ)

*このような気持ちになると、口語体がしっくりと合いますね。

口をついた呟きは、もしかすると自分に言い聞かせているようでもあり。言葉に鎧を着せないからこそ、素直な心情を吐露した、のだといえるのです。──半田真理

*予選──寂しさは人生の重大問題の一つなんですね。「VRおじさんの初恋」のテーマ曲の歌詞にも「側に誰かが居れば寂しくはない」と歌われていました。寂しさのあまり凶暴になった犬猫を知っております。陽の翳った日には俳句でも詠んで誤魔化しましょう。──白浜和照

(選)三空 半田

それぞれの窓にともしび梅雨の星 (文代)

*梅雨の星空の下で穏やかに営まれている人々の生活が静かなタッチで描かれています。──三空

*ともしびの向こうに何を見ているのでしょうか。

団欒かな、笑い声が聞こえてきているのかも。

しかし、そう思う作者には、心に少し曇りがありそう。それは梅雨の空だから。──半田真理

(選)紫苑 武内

梅雨三日月田の面にもあり明るかり (さとうかしこ)

*三日月が田水に映り周りを照らしてる。まだ田植えが済んだばかりで月明かりに消されてしまうくらいの丈。うっとりしますね。──紫苑

*等間隔に並んだ苗も「 田の面」に映って そこに映り込む「三日月」「明るかり」の効果バツグン!!だと感じました。──武内

*予選──情景によくマッチした季語なのですが、最後の所での字数の揺れ、どうかしら?──安達潔

*──梅雨三日月。これは動かないです。──半田真理

(選)安達 武内

紫の飴玉もらふ小さな手 (佐柳恵美子)

*子の手に置かれたのは「紫」の飴玉。それに注がれる、子どもの幸福そうな眼差し。う~ん、「紫」、効いてると思う。──安達潔

*「紫の飴玉」見た瞬間 祇園小石で買った「むらさき抄」を思い出した。「小さな手」には丸い飴玉なのだろう。──武内

*予選──「不思議駄菓子屋銭天堂」を連想。

五円でご縁結べば幸も不幸も気まぐれ~♪ 選ぶのはあなた!──きなこ

1点句

(選)きなこ

街路樹に紫の花梅雨晴間 (佐柳恵美子)

*ジャカランダでしょうか?鮮やかな紫ですよね。──きなこ

*何の花かな。紫陽花でなかったらおもしろいかも。──半田真理

*── 三空

(選)かしこ

走り梅雨三四郎池にて遭難す (佐柳恵美子)

*どうしたらあのちっぽけで汚い三四郎池で遭難できるのかしら?と思うと楽しくなりました。身体ではなく心が遭難したのでしょうか。──さとうかしこ

(選)かしこ

忘れ物届けるついで梅雨に入る (佐柳恵美子)

*とぼけた表現に俳諧味を感じました。──さとうかしこ

(選)白浜

梅雨雲に一暼くれて歩き出す (佐柳恵美子)

*上手いですねぇ〜。これから取る行動と、雨の予想対策の確認を一瞥の目の動きだけに込めて…。「くれて」のきびきびと決断の早い有言実行のお方かと。──白浜和照

(選)安達

金山の今は昔や蕗を刈る (掃部けいじ)

*夏は蕗に覆われる金山址に、今はその茂りを刈り取る人がいて…。「蕗」と特定されて、今の佇まいから昔の金山をしのぶ縁が素直に導き出される、そんな感じに惹かれました。──安達潔

(選)三空

あの頃をばかり肴に冷やし酒 (掃部けいじ)

*人間味に溢れた温かさを感じる句です。「冷やし」がとても効いています。──三空

*予選──ウーム、良き頃はあった。あの頃は良かった。それが最高の肴!

でもそればかりじゃちょっと寂しいね。今は?──きなこ

(選)三空

渾身のまづ一つめを朴の花 (掃部けいじ)

*最初の花には、朴の木が一年間溜めた精気が強く注ぎ込まれるのでしょう。真っ白で大きな花が目に浮かびます。──三空

(選)佐柳

陰口につい釣り込まれ梅雨寒し (掃部けいじ)

*誰かの悪口、同調してはいけないとわかっているのについ。──佐柳恵美子

*予選──私は陰口を言う方。気をつけます。──武内

* ──陰口に同調してしまった自分の唇寒し、胸寒し。

そんな時は、黙って笑っているのがよろしいようで・・・。──きなこ

(選)掃部

十薬や臨時賞与が出るといふ (三空)

*「臨時賞与」給料取得者には元気の元。「十薬」の効能か?──掃部けいじ

(選)安達

バスの窓より流れきて梅雨の風 (三空)

*「梅雨」と「風」の取合せが新鮮。外は曇り空。少し開いたバスの窓から入って来る「梅雨の風」。なるほどぉ、でした。──安達潔

(選)きなこ

坂道の夏鶯の日暮かな (安達潔)

*まるでこの坂道を自分が歩いているように状況彷彿。

そうです、鶯は春だけではなく夏も高らかに鳴いているのです。──きなこ

*予選──三空

(選)白浜

梅の木も椎の木もある茂かな (安達潔)

*梅はもう実をもがれたのでしょうか。そちらの椎の花期は終わったのでしょうか。文化と生活感のある、落葉樹と照葉樹のさらりとした対比での里山全体の描写。木の選択が名人ですね。──白浜和照

(選)文代

かはほりに二藍移るゆふべかな (白浜和照)

* 無季語なんだ、これは。川堀の水面に夕焼けでも映っているのだろうか?赤から紫、青までの微妙な色合いが川面を移ろうていくのだろうか。──文代

(選)かしこ

火星には火星の暮らし額の花 (白浜和照)

*火星には火星の、地球には地球の、月には月の。それぞれの暮らしを侵食してはいけません。額の花、というと日本紫陽花で、丸い西洋アジサイとは違うのですが、額の花がかすかに揺れて、そうだそうだと言っているような。──さとうかしこ

(選)きなこ

三日月の作る濃き影蛍湧く (さとうかしこ)

*蛍狩りに行った時、懐中電灯の明かりも消しました。

満月はだめ。三日月ならば影ができるから蛍は光る。──きなこ

(選)半田

生まれ来てアサギマダラは旅に出る (きなこ)

*旅する運命なのだ。と大げさに構えなくても、旅の空。わたしは見上げるだけしかできないのでした。──半田真理

(選)半田

墨磨って珠洲の歌書く梅雨の月 (文代)

*梅雨の月に、墨を磨る。これだけで、句になっているのですが、さて中七になにを持ってくるのか。

嗚呼、そうきましたか。──半田真理

*予選──墨を磨るなんて久しくしてません。珠洲の歌はなんと?──紫苑

予選句

 このところ失せ物多し梅雨晴間 (さとうかしこ)

*──同じく起きてから探し物です。

一日は早い早い。──紫苑

紫を最初に踏めり虹の端 (さとうかしこ)

* ──赤・燈・黄・緑・青・藍・紫。

するってぇと最後に踏むのは赤で?──きなこ

菖蒲田の紫のなか白菖蒲 (さとうかしこ)

* ──白菖蒲、確かに目を引きます。──安達潔

 同じ方へなびく茅花の恐ろしき (さとうかしこ)

*── 佐柳恵美子

源氏香若紫の風を聞く (文代)

──源氏物語の若紫の君と組香。「風を聞く」が格好いい!──武内

*──風を聞く、とてもいいです。──半田真理

梅雨の星小さき吾娘の生まれし夜 (文代)

*──吾娘さんの名はなんと?愛しさが溢れてます。──紫苑

富士筑波品川寺領梅雨夕焼 (安達潔)

*──作者の立ち位置は品川?──さとうかしこ

*──紫苑

*──半田真理

たっぷりと生姜効かせて背越し鯵 (白浜和照)

*──美味いでしょ。たまらない。──紫苑

*──骨付きのままのブツ切りって、ちょっと残酷なようでもあるけれど、生姜効かせるといかにも美味そう。う~む、夏料理。──安達潔

*──うまそ!!生姜ですよね!──きなこ

吾よりも長生きしさふこの金魚 (三空)

*金魚って時々、確かにこんな風に話題になる。分かるなあ。──安達潔

総評

*──今回の特選は独得の間で、どこか栗島先生の方法論(私の解釈ですが)を彷彿とさせる句でした。今回の予選句と入選句の差は微妙なその時の気分以外ありません。特に今回は、サラリとした句柄が多くレベルの高さを感じました。(白浜和照)

*──色彩を詠む句。紫にもいろいろあることを知りました。実際には100色以上あるそうですね。今月の句にも「星」「月」「光」「風」····宇宙を感じました。

歳時記に「梅雨」とつく季語の多さに(*_*) 詠む途中で何度も季重なりの句が出来てしまい 〆切りギリギリまでやり直し。

皆さんの「表現の引き出し」また季語の持つ明暗を意識して詠まれてる一句一句。毎回 励みになります。(武内)

*──気になる句がたくさんあって困りました。梅雨というのは色々な意味で句にしやすい季節なのでしょうか。

今年も酷暑のなりそうです。皆様、ご自愛下さい。(きなこ)


[ 兼題出題 ] 
☆文代
梅雨一切、紫(二藍) 藍染めの青に紅花の紅をかけるといろいろな紫になります。私はこの色が好きで染めてみたり、よく身につけていました。

補遺
[ 水の会参加要領 ]
☆会費無料。
☆参加資格、俳句が好きな方。
☆投句締切、毎月17日23時55分。投句数(5~7句)当季雑詠、兼題あり。
☆選句選評締切、毎月24日23時55分。選句選評数(5~7句)選評字数制限無し。
☆スマホ・PCどちらでも参加可能です。
☆上記は、夏雲システム(ネット句会の自動進行ソフト)を利用させて頂きます。
☆過去このブログは同時進行の句会でした。 現在は原則、句会の公開記録です。アップ更新は上記締切月の1年後です。(24年7月より)
☆参加ご希望の方は下記メールアドレスまで。

kairasz-a@yahoo.co.jp

水の会は故栗島弘先生が主宰なさった句会の一つです。先生の句とお人柄が好きな人と、先生が他の句会で面白く思われ誘われた人で成り立っていました。現在もその人達が中核です。

夏雲システムを使ったネット句会は非常にクールで公平です。
また、現在の水の会は選句選句に一週間の時間があり対面の句会とは質が大きく異なります。
その時間作業は必然、自分への向き合いを深めて行きます。
「より自分自身にそしてオリジナルに」栗島先生の創作精神だと思っております。

ご参加お待ちしております。
水の会事務