句会は夏雲システムで行っております。

このブログは公開の句会記録です。 


兼題「半夏生」「光」、「光」の漢字、または部分に「光」が含まれる漢字、例えば「洸」「晃」「輝」、等 を使った句。出題文代。

投句一覧

1. あなたなるコンチキチンやカーラジオ

2. ぶなの森青水無月の光射し

3. 冷し酒さうかさうかとしか言はず

4. 山車を押す男たち顔は動かず

5. 折り返し少し迷ひて蛇消ゆる

6. おじぎして笑ふ山の子夏の空

7. 行水を子につかはせる土不踏

8. 半夏生湯船に長き手足をたたむ

9. 湯治場の畳を拭いて半夏生

10. 雲の端を縁取る光半夏生

11. 銅像の下で草取る男かな

12. 呼びかけて返事しさうな青林檎

13. 七夕に逢ひにゆくわけにもゆかぬ

14. 夕闇に泰山木の花光る

15. 半夏生血管透ける足の甲

16. 半夏生コップの水を見つつ呑む

17. 夏夕暮れシャワー後のトミー・フラナガン

18. 夏休み熱海停車は少なし

19. 声こぼれくるプールの下を通りけり

20. 半夏生カラニスといふ店の閉じ

21. 足高くベンチに組みぬ巴里祭

22. 暑き日の小獣なれば陰に潜む

23. 古利根の小雨にけぶる楸邨忌

24. ビー玉の光ごと飲むラムネかな

25. 半夏生せめて身仕舞いしゃんとして

26. 鮮やかな思い出光るびいどろ忌

27. 光琳の壺のレプリカ遠花火

28. 掬ひ来し金魚を鉢に放ちけり

29. サマータイム生きていくのは易しいか

30. 思い出のもうこの道は歩かない

31. パラノイア己が貌の庭を造り

32. 夏越の祓え蛇に逢ふたは吉兆か

33. 虎尾の一葉おしろい半夏生

34. 日ごと日ごとにさざめく半夏生

35. 海月浮く儚きものは輝きて

36. 半夏生月に抱かれ白くなり

37. 陽光のブルーインパルス富士の蒼

38. 句会終へお庭に満ちる夏の宵

39. 熱心な鯰の口を覗き見る

40. 梅雨晴れ間ベンチで読書猫も来て

41. それぞれの病葉を木の秘めしをり

42. 幼子の汗は光の粒へと昇華

43. 黄昏に悼む辛口のジンジャーエール

44. 金星と燻る蚊遣と暮れなづむ

45. さりげなく生きぬいてみる半夏生

46. 徒跣(かちはだし)裾たくしあげ夏の海

47. 入相の遠のく鐘や半夏生

48. 路地灼くる光みなぎる透きとほる

49. 亀の首ぬつと現はる梅雨の沼

50. 蚯蚓身に一糸まとはず白昼を

51. 翠彩の青水無月の炎かな

52. 五穀まだ成りを定めぬ半夏生

53. くそ暑し己の影も置き忘れ

54. 池の面に針さすごとくあめんばう

55. ごとりと置かれ宇治金時のかき氷

56. 栗島忌三十年(みととせ)前の住所録

57. 格子戸のひがしの廓晩夏光

58. 夏の空紺碧の海舟の家

59. 担ぎ手の皆引揚げし神輿なり

60. 満員電車に香水の責め苦

61. 心象は弱い光に座したまま

62. 炎天の階段一歩また一歩

63. 雷光は天をめがけて駆け上る

64. 生きたいと泣いているのか半夏生

65. 夏の風邪意識並行感失す

66. 昼寝覚夢の自分は消えてゆく

選句・選評

10点

(特選)武内・佐柳(選)白浜・掃部・文代・小川・きなこ・三空

冷し酒さうかさうかとしか言はず(さとうか

しこ)

* 酔っているのか?と思った。何回か読みなおして 口をはさむことなく相手の話をじっくり聞く。頷きながら。この空気いいなぁ。こういう大人になりたい。──武内

*お父さんかお祖父さんか、優しいお酒ですね。──佐柳恵美子

*久しぶりの帰省でしょうか?祖父か伯父かに現在の生活や思いを話しているのでしょう。時代も異なり、若者の話に異や説教を唱える能力は無く、無限の包容力の様にそうかそうかと相槌を打つ二世代位上の人の描写。甥等にはそれに近い対応を取っております。──白浜和照

*「さうかさうか」と人にいってるの?「冷し酒」に言ってるんだよね。そう解釈すれば面白い飲み方だね。酒の飲み方は人それぞれ。──掃部けいじ

*冷やし酒を飲みながら、そうかそうかと聞いてくれる人、いいな。何も言わず、ただ聞くって、心で寄り添ってくれること──文代

*昨今、「聞く力」が話題になっていますが、掲句は冷酒を酌み交わしながら、世間話か、はたまた身の上相談か、よく分かりませんが、”さうかさうかとしか言はず”では「聞く力」が問われますよね。でも、こういう場面が多いかも知れませんね。──小川浩志

*さうかさうかとしか言わないのは、酒の相手なのか、冷酒そのものなのか。

意見が聞きたいわけではない、ただ受け止めてくれるだけの方が心に沁みる場合もある。──きなこ

*細かいことを言わず愚痴のような話を優しく聞いてくれる人と飲んでいる一時。何か自然に癒されていくように思います。冷し酒が効いています。──三空


5点

(特選)文代(選)かしこ・半田・安達

栗島忌三十年(みととせ)前の住所録(白浜和照)

* 栗島さんはもういない。三十年前の住所録には彼の人生が詰まってる。その中にもう入ることもできない。寂しさに立ち尽くす。──文代

 *栗島忌は、一般化していないここだけの季語ですが、この句会だから季語として扱ってもいいかと思います。三十年前から栗島さんと親交のあった方もいらっしゃるのですね。藍生が30周年でしたから。住所録と、少し離して捉えたところが、さっぱりして好感が持てました。──さとうかしこ

*7月17日が祥月命日の栗島さん。初めてお会いしてから三十有余年。時の流れはあっという間でした。でも楽しかったですね。ありがとう。──半田真理

*栗島先生と三十年句座を共にした、その三十年前の句友の住所録。文字通り〈様々のこと思ひだす〉で…。──安達潔


4点

(特選)かしこ(選)文代・武内

ビー玉の光ごと飲むラムネかな(半田真理)

* 中七の、光ごと飲む、が特選。ビー玉がコロンと動く。光も一緒にころんと動く。なんとのどかで詩的な光でしょう。光ごと飲んだ人は腹の底から透き通るのでしょうか?──さとうかしこ

* 昔小さい頃、真夏の太陽の中で、ビンのラムネ飲んだなあ。ビー玉の光ごとってよくわかる。シュワーつて、太陽の光を飲み干した感じだった。──文代

* 水色の瓶の中 コロリと音がする。どうやってビー玉を入れたのか?子供の頃を思い出しました。──武内

(選)白浜・きなこ・半田・佐柳

七夕に逢ひにゆくわけにもゆかぬ(さとうかしこ)

 *栗島先生の「まさかハンカチを振るわけにもゆかぬ」の本歌取り、栗島忌を意識した先生へのオマージュ。年に一度の逢瀬の日にハンカチを振るわけにはゆきませんです。

遠洋漁業の船が帰国、間男の煩悶と言う句か。さて?──白浜和照

* 何故いかぬ?お相手はすでに不帰の人?遠距離恋愛?それとも不倫?

なにか事情があるのでしょうが、何か気になる句。──きなこ

* これは7月17日に逝かれた栗島さんへのオマージュでしょうか。

「まさかハンカチをふるわけにもいかず」という一句に恋の匂いを感じていた頃。朝日カルチャー時代の作品でした。

この句は、七夕に逢いに行くのを恥じらっている、のでしょうか。──半田真理

*照れているのか大人の事情なのか。──佐柳恵美子

(選)文代・小川・三空・武内

掬ひ来し金魚を鉢に放ちけり(安達潔)

* 夜店で苦労して掬ってきた金魚。綺麗なガラス鉢に放つとぱっと散る。ひらひら赤い尻尾を揺らめかせて泳ぎだすのが、目に見えるよう。──文代

* ”金魚掬い”懐かしいですね。昔も今も縁日などで子供たちの人気の的です。これはやってみると意外と難しい、ゆっくりやると紙が水で溶けてしまうし、急いで掬っても紙が破れてうまく行かない。金魚鉢に移した愛らしい姿を見ていると猛暑を忘れさせてくれますね。──小川浩志

*ビニール袋の金魚が広い金魚鉢に放たれて、うれしそうに泳ぐ様子が目に浮かびます。──三空

* 縁日で掬った金魚。狭苦しい袋から鉢ヘ。勢いよく泳ぐ姿が見えます。──武内

*予選──室生犀星の「蜜のあわれ」を読んだ夏、何年前だったかしら。──半田真理

3点

(特選)半田(選)かしこ

足高くベンチに組みぬ巴里祭(掃部けいじ)

 *まるで脚の長いパリジェンヌが見えるような。

巴里祭を詠まれることが、年々少なくなっているような感じがします。革命記念日といってしまうと、またニュアンスが変わりますが。

林隆三がシャンソンを歌っていたのを急に思い出した。また聴きたいな。──半田真理

*巴里祭りだからでしょうか、格好つけていますね。足高くなんて。キザな格好も、巴里祭りだから許される。そう思って詠んだ人と読んだ私。──さとうかしこ

(特選)小川(選)安達

五穀まだ成りを定めぬ半夏生(掃部けいじ)

*”半夏”とは、夏至から数えて11日目、7月2日ごろ、カラスビシャク(烏柄杓)という毒草の生ずる時期を云い、そのころに降る雨が”半夏雨”と歳時記にはある。梅雨の後期に当たり大雨が降ることが多い。近年は特に梅雨末期に集中豪雨などで災害をもたらす時期でもある。こうした中、五穀豊穣の願いを込めて掲句を戴きました。──小川浩志

*自分の中で本意を掴まえるのがなかなか難しい季語でした。それと正面から向き合っておられる句づくりの姿勢に、感銘を受けました。

採らせていただいた後で気付いたのですが、「定めぬ」を「定めず」として、その後に切れを入れる手もあったかな、とも思います。──安達潔

(選)文代・半田・安達

金星と燻る蚊遣と暮れなづむ(掃部けいじ)

*宵の明星、金星が大きく見える頃。蚊遣の煙が燻って立ち上る。暮れなずむって言葉がとてもきいている。──文代

*金星、大きいのが見えましたか。燻る、がいいですね。煙の流れが見えるようです。──半田真理

* 「金星」が、いかにも庶民らしい生活の一コマを大きく切り取る上で、効果的に働いていると思います。──安達潔

(特選)きなこ(選)佐柳

くそ暑し己の影も置き忘れ(白浜和照)

*まったくだ!影も焼き尽くされる暑さ!何処へ行った?私の影?!──きなこ

*口も悪くなり、大事な影も置き忘れてしまうほどの暑さが伝わってきます。──佐柳恵美子

(特選)掃部(選)白浜

昼寝覚夢の自分は消えてゆく(三空)

 *「夢」そのものが「自分」と云う一人称の織りなす世界。「夢の自分」は目覚めれば当然「消えてゆく」。殊に「昼寝覚」であれば「夢の自分」の儚さもひとしお。非常に味わい深い措辞。──掃部けいじ

* 一炊の夢の類。常に取り残された様な感覚。現実の二者択一でもう一方は常に夢。ドグラ・マグラですネェ。自らの尾を喰らう蛇、メビウスの輪、エッシャー、曼荼羅、エトセトラ…。ハマっちゃいましたネェ。──白浜和照

*予選── 当たり前のことを言っているけど、なにか引っ掛かる句。──半田真理


2点

(特選)白浜

熱心な鯰の口を覗き見る(佐柳恵美子)

 *熱心な鯰とは…???、口が開いているのですね。それを覗く人、印旛沼の泥鰌の数でも見えるのでしょうか?定形ではありませんが「覗く」で終わるのが好みではありますが。瓢箪鯰的ナンセンスと何より変な強靭さが魅力です。──白浜和照

(選)かしこ・掃部

折り返し少し迷ひて蛇消ゆる(佐柳恵美子)

* 先日同様の経験をしました。中七、少し迷ひて、がその時の様子を彷彿とさせます。その前に上五、折り返しとあります。まさに折り返したのです!道に横線を書くようにヘビが折り返したのです。素早く、ではなく、オロオロと。わたしは、非〜っと言って後戻りしました。──さとうかしこ

* "蛇の道は蛇"と云いますが、「迷ふ」という事もありますか。──掃部けいじ

(選)かしこ・掃部

半夏生血管透ける足の甲(佐柳恵美子)

*年月の流れをしみじみと振り返る時間。この足もよく働いたなぁ。人生の折り返し?もう、折り返して長いなぁ。この句を読んで我が足の甲を眺めた次第です。──さとうかしこ

* 素足の"生身感"が焦点。季語「半夏生」の季感と同時に語感・文字感とも連係の効いた作品。──掃部けいじ

(特選)三空

雲の端を縁取る光半夏生(安達潔)

* 光に縁どられた雲は神秘的で、半夏生と響き合っていると思います。──三空

(選)白浜・三空

担ぎ手の皆引揚げし神輿なり(安達潔)

* 神輿蔵に入れられ後は鍵を掛けられるだけ。年に数日の浮き立つ時が過ぎ担ぎ手も神様も去った乗り物の淋しさ。何か皆から嫌われてでもいる様な、神輿をこの様に詠った句はあるのでしょうか。──白浜和照

*担いでいた人達が去った後の神輿、ちょっと淋しい感じもしますが、大役を了えてほっと休んでいるようにも見えますね。──三空

(特選)安達

翠彩の青水無月の炎かな(文代)

*「青水無月の炎」。焼き物の色合いの、これはなかなか動かない、確かな喩えと思いました。「青水無月」と「炎」の結びつきは見事だと思います。──安達潔

(選)掃部・佐柳

おじぎして笑ふ山の子夏の空(小川浩志)

* 素朴な「山の子」。今でもこういう子と会うと、気持ちが良いですね。──掃部けいじ

*映画のワンシーンのようです。笑う子供の白い歯と青い夏空がよい対比。──佐柳恵美子

(選)かしこ・三空

海月浮く儚きものは輝きて(小川浩志)

 *海月は見た目ほどちっとも儚くないけれど、浮くと海中よりも光ります。海中でも光があたっていると幻想的に輝きます。けれど、頑丈で手強いです。──さとうかしこ

*儚いものほど美しく輝く・・・。いろいろと想いが広がるところがいいですね。──三空

(選)掃部・きなこ

湯治場の畳を拭いて半夏生(白浜和照)

 *とかく湿り気の気になる「半夏生」の頃。熱い湯で絞った雑巾の登場。「湯治場」が"湿っぽさ"の効果を上げている。──掃部けいじ

* 農閑期の湯治場には、近所の村のお爺さんが孫と一緒に、自炊の湯治場に来ていたっけ。田舎の温泉場の話。──きなこ

(選)小川・佐柳

呼びかけて返事しさうな青林檎(掃部けいじ)

*一読、野口五郎が歌った「青いリンゴ」を思い出しました。──小川浩志

*呼びかけたら返事をしそうなんて素敵な目線です!──佐柳恵美子

(選)武内・佐柳

声こぼれくるプールの下を通りけり(三空)

*子供のプール教室か?「何10秒潜れた!」初級·中級·上級と「まずは25m。次は·····」ターンの練習。「出来た!」と 喜びの声が聞こえてきそう。──武内

* いつも犬の散歩で通る中学校、プールは高い塀に覆われていて、そこから声がこぼれてきます。まさにこの光景なのです。──佐柳恵美子

1点句

(選)半田

夕闇に泰山木の花光る(きなこ)

* 泰山木の花が光るのは、心証風景にも思えます。作者の心には、乳白色の花がいつまでも残っているのでしょう。──半田真理

(選)武内

夏夕暮れシャワー後のトミー・フラナガン(きなこ)

 *「夏の夕暮れ」がいい。さっぱりしてジャズピアノを聴く。──武内

(選)白浜

サマータイム生きていくのは易しいか(きなこ)

*是非冷房をもう一度下げて、夜も消さないように。酷暑、生き延びてください。

これは無季句、ガーシュインですね。イザリの乞食がヤク中の娼婦に恋する物語らしいのですが、それも生きていればこそ。

サマータイムにインスピレーションを与えた曲を巡りました。「時には母のない子のように」(寺山修司、カルメン・マキは無関係)ゴスペルをルイ・アームストロングのトランペットとボーカルで。「ウクライナの子守唄」「セントルイスブルース」ついでに「サンフランシスコベイブルース」ブルースに浸った良い時間を過ごさせて頂きました。シエシエ。

生きては行くのは易しいか?人それぞれでしょうが、それ以前に天文学的時間と確率で物の世界に参加出来、疑問を持ち得る存在と言う超幸運が発する自問ではあります。──白浜和照

(選)小川

半夏生湯船に長き手足をたたむ(佐柳恵美子)

*”半夏生”という恐れを秘めたような季語にぶつけた”湯船に長き手足をたたむ”の唐突さが何か面白いですね。──小川浩志

(選)三空

古利根の小雨にけぶる楸邨忌(小川浩志)

*楸邨の利根川の句を背景にして、しっとりと情緒のある句になっています。──三空

*予選──* 古利根とは、よく知らなかったのですが、しみじみ。──半田真理

(選)きなこ

それぞれの病葉を木の秘めしをり(掃部けいじ)

*それぞれにどこか病むところをさり気なく隠して、なんでもない顔をして生きているのですねぇ。──きなこ

(選)武内

蚯蚓身に一糸まとはず白昼を(掃部けいじ)

*地中ではモグラに喰われ 暑い中 地上に出てきて蜥蜴に捕まり 見向きもされない蚯蚓は 地熱に干からびてしまう。よく見ると長くなったり短くなる。人間の腸は蠕動運動というけど蚯蚓は?糞も落ちてます。──武内

(選)小川

ぶなの森青水無月の光射し(文代)

* ”青水無月の光射し”の響きがいいですね。梅雨明けの「ブナの森」が青々としている光景が目に浮かびます。──小川浩志

*予選──三空

(選)安達

半夏生コップの水を見つつ呑む(三空)

* 「見つつ呑む」。夏負けの兆し加減が上手く伝わって来ると思いました。(「飲む」なら、まだ元気。「吞む」となると、もう結構進行中の感じかしら)。──安達潔

(選)文代

半夏生カラニスといふ店の閉じ(半田真理)

*カラニスって、老舗のガラスギャラリーだとか。キラキラ光の煌めきが消えていく、、、店を閉じる人の寂しさ。半夏生のうつむいた涙。雫の形のガラスが揺れている。──文代

(選)きなこ

暑き日の小獣なれば陰に潜む(白浜和照)

* 小獣・・・この言葉がいいです。それは犬か猫かそれとも蜥蜴か。あるいは自分自身であるか。(それが一番GOODですが)──きなこ

(選)安達

徒跣(かちはだし)裾たくしあげ夏の海(武内)

* 杏子先生の句があるので、上五では、ムム、一遍上人かと少々身構えるのですが、な~んだ、海辺の水遊び! 中七の措辞が、そんな〈な~んだ〉感を上手く引き出しながら、同時に、作品を愉快な句に仕上げる上で、とても佳く働いていると思いました。──安達潔

(選)三空

池の面に針さすごとくあめんばう(さとうかしこ)

*針のように細い脚を水面に立てているところがぐっと拡大されて見えてきます。──三空

*予選──針、刺してる!──半田真理

(選)半田

ごとりと置かれ宇治金時のかき氷(三空)

*ごとり、と置かれるかき氷の大きさ。それを目の前にする作者のゴクリと息をのむ様子が臨場感たっぷり。

これは、かき氷屋のおばちゃんが、持ってきてくれたのかな。海の家とか、そういうところ。決してお上品な喫茶店とかではない風景と思いたい。──半田真理


0点句

半夏生月に抱かれ白くなり(文代)

* あの葉の白は、月のせいだったんですね。──きなこ

路地灼くる光みなぎる透きとほる(安達潔)

*動詞三つ重ねてるが、躍動感がある。──文

総評

*今回は皆さま夏バテの様相。──きなこ

*言葉の勢いやエネルギーを考えて句を仕立てることの難しさ。固有名詞を詠むことの難しさ。う~ん。──武内

 *この夏は、色々がありすぎて、思い出も、思い入れも、何もかもやりかけのまま、過ぎていく。今月は、気になる句が多く、予選がもっとありました。そこに一言、言いたい自分がおりました。

光を連想させる、または漢字を使うというのは、なかなか難しい。夏の日差しと、明るさと、光はどうしても「つきすぎ」になってしまうのです。勉強しないと。──半田真理

*「半夏生」は意味合いが広く自分には苦手な季語の一つですが、皆さんの様々な捉え方を見て、そうかこういう風に纏めればいいんだと勉強させて頂きました。──三空

 *今回は梅雨なのに酷暑。藍生の終了と次への移行準備と大変さの重なった方達も。

私的にも防府市への転居準備と、24日は乳癌検査と慌ただしく過ごしました。乳癌の1%が男性。男性でマンモグラフィ撮った人は少ないと思いますが挟むんですね。スピロノラクトンと言う高血圧治療の利尿薬の副作用かも。他、渡辺純さん(さて?)の事だとかあれこれ。──白浜和照


[ 兼題出題 ]

☆文代


補遺

水の会参加要領 ]

☆会費無料。

☆参加資格、俳句が好きな方。

☆投句締切、毎月17日23時55分。

 投句数(5~7句)当季雑詠、兼題あり。

☆選句選評締切、毎月24日23時55分。

 選句選評数(5~7句)選評字数制限無し。

☆スマホ・PCどちらでも参加可能です。

☆上記は、夏雲システム(ネット句会の自動進行ソフト)を利用させて頂きます。

☆過去このブログは同時進行の句会でした。

  現在は原則、句会の公開記録です。

 アップ更新は上記締切日の1~2日後です。


水の会は故栗島弘先生が主宰なさった句会の一つです。先生の句とお人柄が好きな人と、先生が他の句会で面白く思われ誘われた人で成り立っていました。現在もその人達が中核です。


夏雲システムを使ったネット句会は非常にクールで公平です。

また、現在の水の会は選句選句に一週間の時間があり対面の句会とは質が大きく異なります。

その時間作業は必然、自分への向き合いを深めて行きます。

「より自分自身にそしてオリジナルに」栗島先生の創作精神だと思っております。

ネット句会で最もスリリングだったのが、参加者14人・投句5句・7句選でした。

ご参加お待ちしております。

 

水の会事務