翌日のスポーツ新聞。
残念ながら一面ではなく、裏一面のスポーツ紙が半分。

驚いたことに佐々木監督がゴール裏のサポーターのところまで行ってメガホン持って謝罪だかなんだかしたらしい。日本サッカーの悪しき風習、、、。

その次期監督に高倉の名前を各紙とも取りあげている。
キャッチーな初の女性監督という枠組みと実績を考えれば有力候補であることは確かだが、障害もあるから簡単ではないだろうね。

世代のギャップに落ち込んだあげく、世界レベルの大会への道が閉ざされた現状などを考えれば、今後は練習試合もままならなくなって、道は険しくなるばかりだろう。

初の女性監督誕生はキャッチーだろうが、代表レベルでもリーグレベルでも撤退するスポンサーも出てくるだろうから女子サッカーの未来は簡単じゃない。
ことにワールドカップよりもオリンピックに出られないというのはかなりきついことだ。

各紙、いい加減(適度なという意味でだが)な取材でいい加減なことが書いてある中で、日刊スポーツが選手の言葉としてこちらの琴線に引っかかることをいくつか書いていたのでとりあげておく。

川村「チームが前に行こうとしたときに引っかかってとられた。(パスせずに)自分から前に出ればよかった」

感じるのは、自分のミスパスって思っていないかもね、この娘は。

なでしこリーグでもこの程度のパスのブレはこの子にとっては普通だから、なんであのパスとってくれないのという感じかもしれない。ふたりがお見合いしたからいけないと、、、

阪口もそうだったが、世界のサッカーの中で低い位置からパスをつなぐのが普通になった結果、低い位置でもパスミスが多発するゲームは各国のトップリーグでも当たり前になっていている。
それで弱いチームはどんどん失点しているのがブンデスリーガあたりで見えている現実。
負けても良いサッカーという輩(新聞記者でもサッカーファンでもサポーターでも)はそれでいいのだろうが、そうでないときにこういうサッカーしかできないのはきつい。

プロならお客に見せて喜ばれるサッカーをとか書いている輩(選手や記者)も多いが、勝たないでも喜んでくれる客がそんなにいるのかと自分はハナで笑っている。
実際、五輪に出られなくなれば、サッカーの中身が仮に良かったとしてもなでしこリーグの観客数は激減するだろう。
皮肉だが、中身をよくしてお客が喜んで増えるというのであれば、そうしてもらいたいものだ。

積極的にパスをつないでビルドアップする結果としてミスはある程度致し方ないというのが世界のサッカーの潮流であることは受け入れるとして、
それで勝ち続けているチームはバルサの様にビルドアップでとられないチームか、
あるいはドルトムントの様にとられてもすぐに取り返せるチームかということが見えてきている。

なかでも低い位置でとられても取り返せるということは守備の中心選手が非常に高い能力を持っているということだ。

なでしこのボランチ、ことに川村はボールの取りどころとして狙われていて、しっかり狙い通りにやられたのがあの失点だ。
コメント見る限りは本人にはおそらくその自覚はない。

自分の知る限りはこういう選手は男女ともトップリーグレベルでいくらでもいると感じている。
自分のようなおっさん観戦者の間では少し前から話題になっているわけで、つなぐサッカー=良いサッカー病に冒された日本サッカーの不幸だね。

つなごうとしてミスしたんだから、すなわち良いサッカーをやろうとしてミスしたんだから、仕方がない。本当にそうかもいぶかっているというのに、それがそうだとしても、こういった事態になっても本人はさほど責任は感じないという状況だと、まあ、サッカーって、このひとたちにとって勝負ごとじゃないのかなと違和感を感じる。

東スポに監督の求心力がなくなってきていて、カナダのときから「次もノリオが監督ならば出ない」とかいっている選手たちがいたと書かれている。
東スポなんて嘘八百だから、真に受けることないが、一方でこの件については根も葉もないわけではないだろう。

ワールドカップ優勝のときから、つなぐサッカーをやりたがる選手たちに、相手は強いからと割り切って縦蹴りをやらせて成功したという話は、当時ここに書いていて、それに対して選手からもっとつなぐサッカー=良いサッカーをという話が出ていたのは知っている。

佐々木なでしこの長いストーリーを見ていると、そこからスタートして、結局のところはザックジャパンの様に選手のやりたいサッカーに進んできた結果、運動量もコンビネーションも失ったぼやけたチームができあがったということだと考える。

後出しジャンケンの結果論だが、もっと早く監督交代すべきだっただろう。

そのなかで、なんだかんだ言っても勝ちたい、勝たなければ意味がないと思っていた選手とそうでない選手とではコメントの温度差が随分違うということになったのではないか。
宮間は「ここ3戦かなわないとは思わなかった。(なのに負けた。)今まではかなわないと思う相手に勝ってきた。それがサッカーの怖さであり、難しさですかね。」

そもそもなでしこのレベルというのは世界一になったときでも、強い相手には頑張らないと勝てない。弱い相手には頑張られれば負けるというレベルでしかなかった。

それが中国あたりがそれほど頑張らなくてもなでしこに勝てる様になってしまった。

大儀見は「他の国のレベルは上がっているのに、自分たちは上がっていない。メディアも含めて、認めていかないといけない。改善しないと成長した姿は見せられない」と言っている。

どの方向にどう進歩させるかは重要だが、互いに高いプレスを掛け合って自分たちのサッカーを簡単にさせてもらえない時間帯が続く中でどのように戦うのか、そのスキルを身につけることが重要で現時点でのなでしこリーグではレベル的にはかなり難しいと思える。
川村は「自分たちができることをしよう」と臨んだが、相手のプレッシャーもきつく、本来のリズムでボールを回せなかった。「チャンスはゼロではないので、諦めずに自分たちのサッカーをしたい」と言ったそうだ。

このあと相手が弱くなれば「自分たちのサッカー」ができるかもしれないが、それでは先に向かっては何の意味もないわけだ。

周到に準備してきた中国は「なでしこの自分たちのサッカー」の弱点が低いところでのボール回しにあると見透かしていた。

いや、日本中で見られているバルサもどきサッカーのほとんどがそうだから、代表も当然そうなるよね。

プレスかけちゃえばミスパスするか、ロングを蹴るかだけど、ロングはラインを越えてこないから安心して高い位置をキープしてプレスかけ続けなさいと、、、
バックラインもボランチも思っているよりもなでしこの選手は下手だから、周りが見えていないからプレスバックすれば、気づかないでいるからとれるよと、、、

世界のサッカーがとっくの昔に「バルサのサッカー」対「アンチバルサのサッカー」という対立構造を通り過ぎて、別次元に入り込んでいるときに、未だにつなぐサッカー=良いサッカー のレベルにとらわれたままだ。

誰が引き継いでも、しばらくは苦労するだろうね。