仕事から帰って追っかけ再生。

 キプロス、まずまずのチーム。この相手では不十分と書くものは少数派になってきたが未だにいるのが気に障る。いつも言うのだが、だったら自分でどんなマッチメークができるのかほんのちょっと考えてみればわかることだ。
 仮に南米や欧州、アフリカのワールドカップ出場国がこの時期にブラジルに行く前に日本に寄ったとしたら、自国のマスコミの袋だたきに遭うだろう。
 ギリシャと似たタイプでさらにはやる気があるチームを見つけてきただけでも重畳。

 試合開始時点から「日本代表の身体が重い、動きが重い」と解説陣は言い続けているのだが、少なくとも立ち上がり10分ではそこまで気にならない。
そういう重さというものがないとは言わないが、それが明らかに表れたとすれば、少し時間が経ってからで、そのときには相手のキプロスも移動疲れで動きが落ちてきたのでそれほど気になる流れにはならなかった。

 後半になってから解説陣からは「身体の重さが」という台詞はなくなってしまったわけで、合宿で身体をいじめていて重いことはたしかだったとしても、それを大きく取りあげるのは先入観が過ぎるというもので、公平にものを見ているとは思えない。

 怪我人もなく、チームの形が見えてきたという部分ではワールドカップ前の壮行試合としてはまずまずに見えた。

 問題はパスの精度、コンビネーションの精度。ぶれがかなりある。

 これがその重さのためだというのであればいいのだが、コンビネーションがまだまだだということであれば、あと2試合でどこまでどう詰められるのか不安がかなりある。とはいえ、代表チームに関して言えば、今はどこも合流してからチーム作りが始まるわけで、その点では似たり寄ったりだろう。

 攻撃では1点しか奪えなかったがチャンスらしいチャンスが数多くできていたし、それが日本らしいものばかりだったから、あとはこれがコートジボワールやコロンビア、ギリシャに通じるかどうか、さらにはフィニッシュを決められるかだが、それはやってみなければわからない。
しかし、イタリアやオランダに通じた実績があるのだから期待してみる価値はある。というか、ザックはそれに賭けたわけだから、それはそれでいい。

 一方で、この試合では守備はほとんど試されていない。
予選リーグといえどもこんな簡単にポゼッションをさせてくれるはずもなく、つまりは自分たちのサッカーはできない中でどうもちこたえるかの時間帯が多いはずだが、それを試す機会はないままに本大会をむかえてしまったのはとても残念なことだ。コンフェデの経験がどこまで活かされるか。
つまりは、それでもつなぐのか、切るところは切るのか、だ。

 後半35分、大久保が本田のパスを受けてシュートチャンスだが右脚アウトでトラップしてしまったのでディフェンスに構えられてチャンスは潰れた。
風間の教えが具体的にどんなものかは知らないが、自分ならこう教えているはずだと感じるポイントを指摘すれば、あそこで左脚のインサイドでトラップして、左に抜けるぞという構えを見せなければチャンスは広げられない。
続けてのシーンで本田が右サイドで右脚、左脚と続けて使って狭いスペースでボールを捌いたのとは技術的に大きな差がある。

さらにその点で言えば、次のシーンで清武が右脚ばかりを使って潰されてしまったのもダメダメ。
大久保もそうだが、清武にしろ乾にしろ、そんなだから壁に当たると見ているわけで、そこから抜け出せない選手は厳しい。

 大昔に時々書いていたことだが、メッシでさえも右足を使えなければダメだと、シャビに言われ続けた時期があるわけで、日本にはそういう視線で若い選手を導く存在が少ないから、あるところから伸びない選手ばかりになる。
プロになったら一人前だから後は自分で考えろではいつまでたってもこの国のサッカーのレベルはそこそこにしかならない。

 そういう点では本田、コンディション的にヨレヨレながらも、考えながらプレーするという部分では変わらずにいいものを見せていた。サッカーの本質のひとつである駆け引きではこの男はトップレベルにいる。

 あるいは長友、見ての通りに溌剌とプレーして成長を示した。
で、逆に、だからこそ、それ以外の選手達の停滞が目立つし気になるわけだ。

 そういう選手達でどうにかしたいというのだから、ひとつは柿谷、香川、清武、大久保のセレッソ組のコンビネーション、そして実現しなかったが中村憲剛、大久保のフロンターレ組のコンビネーションに期待するのが真っ当な選抜チームのチーム作りに思えるのだが、そういう発想はザックにはなかったようで残念。

バランスを捨てて攻撃に重心を置いたのなら尚更だったのではと感じている。